蠍座が輪郭を持って存在する話 その1

長いこと、身体がある事が邪魔だな、と思って生きてきました。

重さがなければ、形がなければ。
それらは全て制限で、それらがなければ自由に世界に染み入ることが出来るのに。

誰かとまるで同じもののように溶け合うことが出来るのに。

呑み込むように本を読み、滲むように感情を迸らせ、深く入り込んでいきたい。

気に入りの作者がいれば端から端まで読み、気になる分野があれば始まりから終わりまで調べる。

人の気持ちや感情を引き受けて、同じ(だと思い込んでいる)痛みを感じたつもりになり、分かり合えると思っていたらそうではない、と言うことを、小さい頃から繰り返していたように思います。

没入、没頭、日常を取りこぼしながらただ一つのことに打ち込んでしまうので、日常を取り回さねばならない今は何かに打ち込まないようにしています。

寝るのも忘れて本を読むことも多く、体を壊すこともしばしば。

太陽水星蠍の私は、輪郭を持たずに生きてきたように思います。

水底に沈み込むように、重く深く。

それが、西洋占星術を大人になって改めて学び始めてからしばらくして、人と私の間に2本の境界線を敷くようになりました。

私の輪郭と、あなたの輪郭。

みな、それぞれに違うホロスコープを持っていて、違う人であるのだというのは、私にとっては新鮮な驚きであり、この世に生きるものとして健全な認知であったと思います。

水底に沈み込んで生きてきた私が、形を持ち始めたお話を、しばらく続けようとおもいます。

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