内観

こーゆーのがあったらいいな
あーゆーのがあったらいいな

そこで止めることに慣れ過ぎて

いざ叶えてあげようとすると

一気に面倒くさくなる


休日ずっと家にいるのは良くないと思い
今日こそは出かけようと思ったのに

どこに出掛けて良いかわからない。


どこにだって行けるのだ。

車は無いけども、電車があるし
その気になればバスだって。
歩くための、二本の立派な脚もある。


どこにだって行けるのに、

どこにも行けないような。

そんな感覚になった。


買い物一つで、そんな感覚
みんなならないんだろうな

何処か人と違うんだろう

いや、誰しも同じような感覚は
物が違えばあるのだろうか


本当はショッピングモールに行きたい

なんでもありそうだから


でも、バスに乗らねばならない
バスは何故か落ち着かない


行ったところで、私の根拠のない期待は
応えられるのだろうか


応えられなければならぬ

そうしているから、苦しいのではないか。


一回で100点を求めるな。

それは苦しい。


今日もこのまま出掛けなければ
それは今までと何も変わらぬ。

何故そこまでしたいのか。

何を変えて、どうなりたいのか。


明確にはわからぬが
このままではダメな気がするのだ。

ダメになってしまう気がするのだ。

何かが。

いや、自分が。


とりあえず行ったことのある街に出かけた。

本が欲しい。

器が欲しい。

それらは嵩張るから後に、
と思い、衣料品店を見るがどうにも異物感である。

何が欲しいのか。
私が欲しいものはあるか。

以前に、ここに私は場違いではないか。
そもそも、今日の私の格好はおかしいのではないか。

そう行きついて、気づく。


良くない思考パターンに入っている、と。


そこで昨日見た映画が過ぎる。
外見がわからずとも、自分を美人だと思い込んで人生が変わった女性の話を。

私も同じだ。

知り合いは誰もいないのだし
誰の目を気にしているのだ、と。




目の前に「幻冬舎」と飛び込んでくる。

あんなに重かった足取りが嘘のように
書店に吸い込まれていった。


講談社を探し、あいうえお順に作者を探す。


たしか、講談社で良かったはず。


京極夏彦はすぐに見つかった。

ぶ、分厚い。

噂には聞いていたが、想像以上に分厚い。
電子書籍で調べた時に、同じタイトルだが何個か分かれて出てきたのが頷ける。

魍魎の匣。

手に取り中を見る。
私に、読めるだろうか。

少し読んで、閉じる。

そして、棚にしまう。

新作ではないのに、京極夏彦のところは
今日誰かが購入したのか、
棚には隙間が空いていた。

買うか、買うまいか。


読めるのか、挫折するのか。


しかし、やっぱり。
舞台、アニメと追ってきて

時々登場する、作中の文章。
その美しさたるや。

そして、舞台とアニメでも
キャラクターの描かれ方が違う。
これを生み出した原点は、どう描かれているのか。

舞台でもアニメでも、描かれていない部分を知りたい。

ここまでの思いがあれば
私は読むだろう。


本一冊買うのにこの決意。

もっと色々
気軽に生きていきたいものである。


そうして連れ帰ってきた
魍魎の匣。

沼にはまるか否か。
いや、もう
はまっているのだろうか。

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