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ビッグ・リボウスキの何が好きか⑤

杜子春「あ〜アカン、色々あったけど人間と関わるんもうしんどいわ。じいさん、あんた仙人やろ。何回か金持ちにしてもろてありがたかったけど、わしもあんたと同じ仙人にしたってや」

仙人「ええで。ほんならおれが棲んでる峨眉山に連れてったるわ。ちょっと偉いさんに会ってくるからここで待っといて。その代わりおれが戻ってくるまで絶対に一言もしゃべったらアカンで」

杜子春「りょ」

虎「ガルル!」
蛇「シャー!」
杜子春「…」

雷「ゴロゴロ!」
豪雨「ドドドド!」
火柱「ゴオオ!」
杜子春「…」

三叉の矛を持った巨人「しゃべらんかったら刺すで」
杜子春「…」
巨人「グサ!!」

閻魔大王@地獄「お前なんで峨眉山に来たんや?ここ何処やと思っとんねん、サッと答えんかったら地獄の苦しみ味わわすで」

杜子春「…」

閻魔「こいつアカンわ。おいちょっと手下、畜生道にこいつのオカンとオトンおったやろ、アレここに連れてこい」

手下「りょ」

杜子春の父母そっくりの顔をした馬2頭「…」

手下「ボコボコボコ!」
馬「!、!、!」
杜子春「…」
閻魔「もっとやれ」

手下「ガッ!バキ!グチャ!」
馬「!、!、!」
杜子春「…」

死にかけの雌馬から漏れる母親そっくりの声「杜子春、あんた黙ってたらこのまま幸せになれるんやからちゃんと黙っときや。お母さんらのことは気にしたあかんで」
杜子春「オカン!」

仙人「チャレンジ終了〜!」

現世に戻らされた杜子春を煽る仙人「おつかれ。しゃべってもうたから仙人になるのナシな」

杜子春「なれへんかったけどええねん。オカンとオトンどつかれてんの黙って見すごして仙人なるぐらいやったら、人間らしい正直な暮らしするわ」

仙人「そうか。ほなもう二度と自分とは会わんけど、その代わり家と畑やるわ。好きにそこ使い」

杜子春「あざした」

新宿中央コーエン兄弟「杜子春さん、ちょっといいですか」

杜子春「何やねんお前」

新「新宿中央コーエン兄弟という名前でゲボみたいなnoteを上げている者です。3コぐらい質問させてもらっていいですか」

杜子春「…ええけどサッと終わらせてや。もう家帰りたいねん」

新「森羅殿で言いつけを破って叫んだとき、ちょっとはこの報酬のこと想像してました?」

杜子春「なにが言いたいねん」

新「いやすみません、杜子春さんってどうしようもない放蕩者ですけど、鉄冠子に弟子入り申し込んだり、思わぬ度胸と狡猾さをお持ちじゃないですか。なのであそこでいろいろ考量した結果叫んだのかなって思っちゃったんですけど」

杜子春「お前その『思っちゃった』って言い方やめろ。わしその言い方キライやねん。人を刺しに行きたいくせに自分は責任持ちたないみたいな魂胆が透けすけやぞ」

新「すみません」

杜子春「あんな土壇場でアレコレ考えられるわけないやろ。苦しんでるオカンがそれでもわしを配慮しようとしてるのが心苦しくて咄嗟に声に出てもうたんや」

新「国語のテストで回答欄にそれ書いたらまぁ正解だと思うんですけど、もう1歩先を訊きたいんですよ」

杜子春「それ以外の答えは無いわ。早よ残りの質問せぇ、警察呼ぶぞ」

新「じゃあチャレンジ失敗した理由はそれとして、現世に戻されたときに鉄冠子に何か言ってらしたじゃないですか。あの言葉って元々考えてたんですか?」

杜子春「…」

新「何でしたっけ、あの、『オカンとオトンどつかれてんの黙って見すごして仙人なるぐらいやったら、人間らしい正直な暮らしするわ』みたいなやつ。すごい鼻フガフガなりながら仰ってました。アレって森羅殿にいたときから考えてましたよね。現世に戻らされたら言ってやろうと思ってらしたんですよね」

杜子春「…」

新「お立ち台での決め打ち感と言うか、人目を意識した特有のやつをビンビン感じたんですよね。もちろん杜子春さんの行動自体は立派で称賛されることなんですけど、それとは別として、あ、この人、当てにいってる、アクターモード入ってる、みたいなニオイがすごかったんですよ」

杜子春「死ぬほどめちゃくちゃ気分悪いからもう帰ってくれ」

新「わかりました、最後の質問です!杜子春さん好きな映画は何ですか?」

杜子春「伊丹十三の『タンポポ』と『セントオブウーマン』と『キックアス』」

新「ツイッターフォローさせてください」

杜子春「今ブロックした」

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