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会津木綿について

setoでは、常に自分たちのプロダクトの「表皮」にふさわしいファブリックを探し続けていますが、今回選んだ「表皮」は、400年の歴史をもつ伝統的な平織物『会津木綿』です。

長い歴史の中で人々の生活に寄り添い、育まれてきた「会津木綿」は、丈夫で堅牢ながら、ふっくらとした風合いがあり、そして個性的な「しましま」の柄が特徴で、生き物をモチーフとするsetoの作品に活き活きとした生命力を与えています。

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会津木綿は、陸奥国会津郡(現在の福島県西部)に伝わる、伝統的な木綿織物です。厚地で丈夫、肌合いも良い会津木綿は、主に日常着や野良着として使用され、さらに吸汗性・保温性があるため、夏は盆地で暑くなり、冬は豪雪地帯で寒さが厳しく、寒暖差の激しい会津の気候風土に非常に合っており、人々にとって欠かせないものとなりました。

歴史は古く、およそ400年前の1627年(寛永4年)に、陸奥会津藩初代藩主である加藤嘉明が、以前の領国である伊予国松山から織師を招いて、会津に技術を広めたことが始まりと言われています。

会津木綿の特徴的な「しましま」の柄は、瀬戸内海の貿易の影響により、外国風の木綿の縞織物を特産品としていた伊予国の技術が、織師によって広まり、現在の会津木綿の多彩な縞模様の素地となりました。

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会津木綿が、厚みがありふっくらとした質感で、丈夫な平織物である理由は、糸を織り込んでいく工程に特徴があります。経糸を小麦澱粉の液に漬けて固く糊付けすることによる細かな節が、経糸と横糸の間に空気の層を含む役割を果たしています。この、生地によく空気を含む特性のおかげで、冬は保温性に優れ、夏は風通しがよく、汗をよく吸い込み、さらっと快適にお使いいただけます。

また近年は、美しい縞柄を保つために、色あせのしにくい高い染色加工がされており、いつまでも美しい柄のまま、洗うほど使うほどに、手触りと風合いが良くなり、非常に味のある生地に育てることができます。

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木綿は、とても身近な素材の一つですが、現在多く市販されている木綿繊維製品の多くは、織り上げられた布を染色する「後染め」の工法でできており、「伝統工芸としての会津木綿」は機織(はたおり)をベースとした「先染め」(糸を織る前に染め、機織によって多様な模様を作っていく工法)でできています。

その工程は大量生産に不向きであるうえ、明治後期〜大正時代には最盛期を迎えた会津木綿も、昭和30年半ば以降、人々の生活スタイルの変化とともに需要は減少し、30社以上あった織元も、いまではたったの2軒を残すのみ。setoで使用している会津木綿は、このうちの1軒を引き継いだ『株式会社はらっぱ』の生地を使用しています。 

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株式会社はらっぱは、2015年3月に、 会津若松で120年その暖簾を守り続けた 会津木綿工場の「原山織物工場」の事業 を継承するために、設立されました。 前社長の従兄弟である小野太成さんと、 会津木綿をメインの素材として お洋服を作って来た「ヤンマ産業」の 山崎ナナさんとで立ち上げられました。

「原山織物工場」が守って来たポリシーを受け継ぎ、また次世代への橋渡しとなるような新しい試みに取り組んでいます。

写真は、2018夏に取材にお伺いした時のものです。(撮影:瀬戸たま)

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photo (c) Tama Seto_www.setodesign.jp