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『おせんべいくんとぷりんちゃん』3話

3話

ある夜、おせんべいくんは、テスト勉強をしていました。

一人で、部屋にこもって、ひたすら、勉強に打ち込んでいると、いやなことをなにもかも忘れることができました。

学校のクラスメートのこと、先生のこと、両親のこと、自分を追い詰める人間たちのことを、頭から切り離せるということは、なんて素晴らしいんだ、と、おせんべいくんは思いました。

歴史、古文、英語、数学、どれも魅力的で、暗記による、自己採点の達成感、数学の方法論を応用した、新しい設問への対応、次々に変化する、文法の多種多様さ。

文字や記号、そのどれもがキラキラと輝き、確実に、自分を高めてくれる、すべてを忘れさせ、自分を成長させてくれる。

なんて、かわいい子供達なんだ。

おせんべいくんは、テスト勉強を行う自分自身が好きだったし、まるでその行為自体を、神聖な、信仰そのものであるかのように、感じていました。

テスト問題は愛着ある、かわいい我が子、問題に取り組む行為は、信仰の行い。

それがおせんべいくんのすべてでした。

そしてなぜか、小一時間ばかり勉強をしていると、決まって、強烈な性欲が湧いてきました。

この不埒な欲望はなんだろう?

とにかく射精したい、どこかに、この部屋の中の空間に、自分のたまりにたまった精液を、すべて吐き出したい。

そんな思いが、とりとめなくやってきました。

そして、ほぼ同時に、こんなことを考え、煩悩に囚われている自分は、もしかしたら、とんでもない罪悪人なのではないか。

勉学という、神聖な信仰の途中に、こんな、うす汚い、射精の欲求なんかに駆られるなんて、なんて自分は愚かで、下衆な人間なんだ。

いっそ死んでしまった方がいいのではないか。

そんなことを考えながら、おせんべいくんは、そそり立った自分の陰茎を、右手で激しく上下させました。

射精の瞬間、おせんべいくんは、これまで感じたことのないような、圧倒的な快楽に囚われました。

おせんべいくんは思いました。

ああ、これが、神を信仰するということか。

僕は、勉強という、神聖な行いに自分の価値観を見出し、それに打ち込んできたから、こんな素晴らしい快楽を、神から与えられたんだ。

それからも、おせんべいくんは、ひたすら勉学に打ち込み、その小一時間後(決まって小一時間後でした)、必ず自慰を行う、そのサイクルを繰り返しました。

集中と、霧散。信仰と、快楽。

その二つの相反する概念に、おせんべいくんは、すっかり虜になっていました。

続く

https://note.mu/aspe/n/n38b46e9dc110