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子どもに英検を受けさせる?受けさせない?元高校英語教員による見解

こんにちは。元高校英語教員で現在5歳と1歳のおうち英語に取り組んでいるアスパラガスです。

近年、英検受験の低年齢化が進んでいます。幼稚園児や小学校低学年で英検に合格したという報告をメディアでよく目にします。私も、長男と同じ5歳の子が英検◯級に合格した!という知らせを見ると、驚きますし、少し焦る気持ちもあります。

とはいえ、子どもに英検を受けさせるかどうかは、はっきり言って「子どもによる」と思います。

英検受験のメリット

そもそも、なぜ子どもに英検を受けさせるのでしょうか?

英語力の測定

一番の理由は「英語の達成度が目で見てわかる」からだと考えます。
子どもの英語の到達力は普段の様子ではわかりにくいですが、試験ならどの程度理解しているのか、はっきりと把握することができます。また、周囲の人にも「英検◯級レベル」と伝えることで、どのくらい英語ができるのか理解されやすいです。
同じ英語力を所持していたとしても、英検5級を持っているA君と英検を受けたことがないB君では、A君の方がなんとなく「すごい」感じがしてしまいますよね。同じ能力であっても。

モチベーションの維持

「試験を受ける」ということが英語学習継続のモチベーションにつながることも、大きなメリットです。◯月に英検を受けるから、それまで頑張ろう、と意識を高く持つことができますね。ただなんとなくだらだらと勉強を続けるよりも、「英検◯級合格」という明確な目標があった方が人間は頑張ることができます。

英語力の向上

英検はリーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能をはかるテストです。英検の勉強をすることで、結果的に英語の能力が向上することにつながります。苦手な分野がある場合、その分野を重点的に対策することによってその分野が飛躍的に伸びることも期待できます。

知識の増築

また、英語で様々な題材について触れることになります。5級は家族や趣味のことなどを扱っていますが、級が大きくなるにつれて、子どもには難しいと思われる分野のパッセージが出てくることもあります。そういった題材を読んだり聞いたりすることで、知識が増えることにつながります。例えば、環境問題についてのパッセージであれば、地球でどんなことが起きているのか知ることができますし、科学の話であれば、科学的な分野について学ぶことができます。ただ、特に2級〜1級は子どもには理解が難しい場合もあります。

英検受験のデメリット

英検を受験するにあたって、ある程度勉強する必要があります。「読み・書き」は特に子どもにとってあまり面白いとはいえない分野です。

低年齢(小学生未満)の場合

特に、低年齢の場合には無理をしてインプットをしなければならない可能性が高いです。もちろん、読み書きが好き!というお子さんもいるとは思いますが、試験となるとまた別の話です。試験のような読み・書きが好きな低年齢の子どもはほとんどいません。娯楽の時間を削って英検の勉強しなければいけないというのは、ストレスやプレッシャーを感じる原因となります。子どもだけでなく、親も「英検の勉強をさせないと」となると、焦りやストレスを感じますよね。

小学生の場合

小学生の場合は、学校で勉強していることもあり、英語を勉強することを受け入れることができるでしょう。しかし、それでも負担がかかることには変わりありません。遊ぶ時間を削って英検の勉強をしなければなりません。もちろん、「英語は遊びの中で自然と覚えて、英検を受けるレベルになった」という家庭もあるかもしれません。しかし、英検を受ける場合追加の学習が必要な家庭がほとんどだと思われます。

中学生・高校生の場合

中学生・高校生は英検を受けるのに十分な年齢です。デメリットはほとんどありません。しっかり勉強をして英検を受けましょう。

高校現場で見た子どもの英検受験の弊害

実は高校で教員をしていた時に、比較的早くに英検を取った生徒に出会いました。小さい頃に英検を取得したAさん。高校の英語はボロボロでした。Aさんは小さい頃に英検を取ったがゆえに「英語ができる」と思い込み、その後一才英語の勉強をせず、見事に落ちこぼれていきました。確かにリスニングはよくできていたのですが、リーディングはボロボロ。進級できるかも怪しいレベルでした。本人も、最初は英語が得意だったのに、英語ができない自分を受け入れられないようで、英語の勉強は全くしていませんでした。
このように、一部の子どもに限られるとは思いますが、英検を取得することによって天狗になってしまう弊害もあります。

英検を受けるべき子ども

英検について理解していて、英検を受けるモチベーションがある子どもはぜひ英検を受けるべきでしょう。自分のレベルを知るいい機会となります。多少の負荷がかかったとしても、親子関係が険悪にならない程度のストレスなら受けても問題ないと思います。

英検を受けるべきでない子ども

英検を受けることによってストレスを感じ、日々の生活へ悪影響が出てしまう場合は受けるべきではないです。また、親が「英検の勉強しなさい!」と強く言うことで親子関係が悪化するようなら、まだやめておいた方がいいかもしれません。中学生・高校生になってからの受験でも遅くはありません。というか、それが一般的です。中学生で4〜3級、高校生で3〜2級を受ける人が多いです。

英検Jr.という選択

英検には、英検Jr.というレベルが簡単な試験があります。すべてリスニングのテストなので、読み書きはありません。そのため、低年齢の子どもでも比較的負荷なく受けることができます。英検を受けるにはまだ早い、と感じている方にピッタリですね。とはいえ、お金がかかるものです。お金をかけてまで英語力を測りたいか、ということは考える必要がありそうです。

まとめ

子どもの英検受験にはメリット・デメリットがあります。メリットがデメリットを上回る場合は、受けることをおすすめします。デメリットがメリットを上回る場合は、受験を控え、もう少し大きくなるまで待ったほうがいいかもしれません。

ちなみに、我が家はまだデメリットの方が多いので、まだ受けません。そもそも、うちの子どもはまだ英検を受ける能力はないですし、親子共々試験に向かって頑張ることがストレスの元となるのが目に見えているからです。将来的に、試験を受けることが親子の英語学習へのモチベーションにつながるようになった時に、受けさせたいと思います。

少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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