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リグノであそぼう!②

「前回リグノ」という積み木のあそび方を紹介しましたが、今回は伝えきれなかった部分をお伝えしたいと思います。

今回も対象は1~2歳児です。リグノは0~2歳ぐらいの子どもたちととても相性のいい積み木です。
あそび環境コーディネーターとして保育園で活動を始めたとき、積み木は床で遊ぶものだと思っていました。
床の上で私がリグノをいろんな形に積んでみせると子どもたちが集まってきて一緒にあそび始めます。

しかししばらくするとどこかに行ってしまう、もしくは手で積み木をぐしゃぐしゃと広げてあそびはおしまいとなる。
何度かそれを繰り返しある日、机の上にリグノを置いて椅子に座って遊ぶよう提案してみました。

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すると子どもたちが以前より意欲的に積み木であそぶようになり、取り合いがなくなることはないですが頻度が減りました。

椅子に座り机に向かうことで自分のあそぶスペースが明確になり、目の前の積み木に自然と集中できるようでした。どんなあそびにも言えますが、子どもたちがおもちゃに興味をもち、あそびに集中しはじめると自然と取り合いは減ります。今、目の前にある自分の世界に没頭し他の人がやっていることに意識が向かない瞬間が1~2歳児さんでもあります。

皆さんは体験したことないですか?この瞬間を見たくて私はあそび環境コーディネーターをやっているといっても過言ではなく、こういう瞬間を作るために現場に入っています。


とても真剣にあそびこむ姿を見ると声をかけるのもはばかれるほどです。そういう瞬間がくるにはおもちゃの数が重要です。リグノでしたら、1~2歳児さん一人に最低でも3~5個手渡せるぐらい数があるといいなと思います。ちなみに数がありすぎてもあそびこめないので、最初から全部の積み木を出す必要はありません。手でぐちゃぐちゃと広げておしまいとなりがちです。

子どもたちのあそぶ様子を見て積み木の量を保育士さんが調節することが必要ですね。あそぶ人数が減ってくれば積み木の数も減らします。どれぐらい増やしたり減らしたりするかは、子どもたちのあそぶ様子をとにかくよく見ているとわかるかと思います。上に積んでいくか、横に並べていくか、とにかく子どもが積み木を探しに行くことで集中力が途切れてしまわないように、量を調節したり子どもの傍にそっと積み木を置いたりします。そういうことが保育士の専門性につながります。


リグノを通して子どもたちはあることに気づきます。自分を中心にして上下、前後、左右に円柱が動くということです。リグノ本体の真ん中の穴を上向きに置き円柱を入れる出す、この動きは上下の動きです。
リグノ本体の真ん中の穴を正面に向きに置くと円柱は前後に動きます。真ん中の穴を横向きに置くと円柱は左右に動く、そして穴は見えなくなり面が見える。見えないところにも穴はあり円柱の動きは見える。一つの積み木で3通りのあそび方ができて、自分から見て物の動きには3つの方向性があると遊びながら子どもたちは認識します。

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それは物事の成り立ち、自分を取り巻く世界の成り立ちの一部を知ることにつながっているのではないでしょうか?真剣な表情でそっとリグノの中心の円柱を押す子どもの手先への神経の配り方。どこまで押せば円柱は落ちるのか?こうやって自分が持つ力の使い方、手先や体の使い方、自分という存在を学んでいくのではないかと思います。


プロフィール横尾 泉(よこお いずみ)
木のおもちゃ「チッタ」店主、あそび環境コーディネーター、保育士
保育士養成校を卒業後、乳児保育園の保育士などを経験。その後、フィリピンの孤児院や、オーストラリアを放浪しながら現地の保育園にてボランティアを行う。結婚を機に上京、子育てに行き詰まったことをきっかけに、おもちゃコンサルタントマスター取得。その勢いで自宅ショップ「木のおもちゃチッタ」オープン。こだわりのおもちゃ屋を経営しながらあそび環境コーディネーターとして保育現場で活動。園内研修、保護者向けのおもちゃの講座などを手掛ける。石川県出身。2児の母。
HP https://chitta-toy.shopinfo.jp/
FB https://www.facebook.com/woodtoychitta/


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