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Fluctuat nec mergitur

ここ最近、原田マハさんの作品をひたすら読んでいます。

一つ前のnoteで書いた「暗幕のゲルニカ」で出てくるタペストリー。NYの国連本部にあるけど、あと2つ存在する。

このタペストリーはピカソ自身が監修していて、大きさも絵画とほぼ同じ。絵画は現在、マドリードのレイナソフィア芸術センターにある。残りの2つ、、、

一つはフランスに、もう一つは、
ここ日本にある。群馬県立近代美術館に。

あたしの住むところからは片道3時間かかる。いつか見れたら…と思っていたんだけど、コレクションであっても毎日展示されているわけではないことを知った。(そりゃそうだ。じゃないと膨大なコレクションのほとんどは倉庫で眠ることになるもんね。)

調べてみると、今年の展示はあと少し、というところだった。胸騒ぎがして、「今しかない」という気持ちだった。次回まで待った方がいいか…とも悩んだけど、本当に直感で、「今いけ」って言われてる気がした。


とにかく会いたかった。ゲルニカに。
今マドリードへは行けないから、せめてタペストリーでもいいので、自分の目で見たかった。

展示室に入るまで、なんかドキドキしてた。
「やっと会える…」。そんな気持ち。

入ってすぐ、1番奥にゲルニカはあった。
なによりも目を引く大きさ。そして迫力。
モノクロで、様々な…暴れる馬、子供を抱いて泣き叫ぶ女、ランプを持つ女、牡馬、太陽のような目。その全てが空爆されたゲルニカの悲惨さを表していた。

しばらくずっと眺めていた。
暗幕のゲルニカの中で出てくる、「これは私たちのもの」というセリフを思い出した。

「もう一度、絶対にスペインに戻ろう。」
ゲルニカの前で決意しました。
それが何年後なのか、旅行でなのか、移住なのか、仕事なのか…全くわからないけど、ただスペインにもう一度行こうと決めた。

テレビでスペイン語を聞いて、漠然とかっこいいなーと思って、何年後かにスペイン語を専攻として大学に行って、実際にスペインにいて。いまだにスペインが恋しくて仕方ない。
(留学中、きつくて1人で泣いたけど笑)

これからどこか一つ生きる国を決めろ、そこから死ぬまで動けないって言われたら迷わずスペインを選ぶ。生まれ育った日本じゃなくて。

留学から帰ってきたとき、交通が便利で、コンビニがあって、土日だろうと店が開いていて、何も考えず会話ができる日本は「生活しやすい〜!」って思ったけど、どこを歩いても絵になって、教会があちこちにあって、夜になるほど街が賑わうスペインのほうがあたしには合ってた。スペイン人が好きだった。

どんなに片言で、会話するのに時間がかかっても、しっかり待ってくれて、意見を聞いてくれて、「海見たい」といえば「明日行こう!」と他の町まで連れて行ってくれて。そんな友達が大好きだった。(もちろん今も!)

小学校と幼稚園の先生だったホストファミリーも、スペイン史のことを聞くとゆっくりわかりやすいスペイン語で説明してくれて、日本のことがニュースでやってると録画して見せてくれて。本当にいい人たちと暮らせた。

あの経験は人生で1番貴重な出来事だった。
一生忘れないと思う。

なんだか話が逸れたけど、なんとしても死ぬまでにもう一度スペインに行く。

そしてなんとなくだけど、今ほんとうにやりたいことがわかってきた。言葉にできないけど、やり遂げられるかわからないけど。ただ、趣味だろうとずっと好きでいたい。

本と美術とスペインを。

この3つは一生かけて好きでいるもの。

それだけは忘れないようにしようと決めた。

そして、パリにも行こうと。
画家たちが愛したパリで、なぜそんなに彼らが惹きつけられたのかを確かめたい。

フランス語の「Fluctuat nec mergitur」。
スペイン語ではないし、パリ市民の標語のようなもの。でもあたしのモットーになった。

好きなことを嫌いにならないように生きていく。それがあたしの人生の大きな目標で大切にしていること。

Fluctuat nec mergitur

たゆたえど、沈まないように。

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