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論文を書くのがちょっと楽になる3つのテクニック

学生の皆さんの前に立ちふさがるもの、論文。その論文を学生時代ものすごく書いた自分が、学生目線で「論文を書くのがちょっと楽になる3つのテクニック」────「参考文献一覧は初めから作る」「過去の論文を利用する」「最初の部分は最後に書く」について説明する。

初めに:論文と注意事項

 論文。
 基本的に手間と時間がかかる割に「上手い論文」とは何かがあいまいだが、高校生は「小論文」、大学生は「卒論」という形でイヤでも関わらなくてはいけない課題だ。この課題をどうにかするため、学生の皆さんは先生や講師や教授たちからいろいろ教わっていると思う。ただ、先生や講師や教授たちはそれこそ山ほど学生たちの論文を見ているので、論文と向き合うのが初めてな学生の皆さんとはどうしても視点がずれてしまうことがある。
 というわけで、ここでは一度も先生や講師や教授になったことがなく、学生時代学校の方針でものすごく論文を書いた(化学や歴史のテストでも小論文が出た、といえばどれくらい書いたか伝わるだろうか)自分が、多分学校では教えてくれない、論文を書くのがちょっと楽になる3つのテクニック───「参考文献一覧は初めから作る」「過去の論文を利用する」「最初の部分は最後に書く」について書いていきたいと思う。
 もちろん、自分はきちんとものを教えるための勉強をしたわけではない。なのでここに書かれたことが本当に正しいかは保証出来ない。先生や講師や教授にこの記事を見せたら、盛大に笑われたり、怒られたりするかもしれない。
 それでもいいよ、そういううさんくさい、あわよくばちょっと役に立つといいな、という記事を読みに来たんだ、という人はこのまま読んでいってほしい。

1、参考文献一覧は初めから作る

 論文を書こう、と思ったら、まずすることは資料を集めることだと思う。テーマを決めるためにも、そしてテーマが決まっているならばそのテーマについて掘り下げるためにも、資料は必要不可欠だ。
 その段階から参考文献一覧を作り初めること。これが今回説明する、第一のテクニックだ。
 参考文献一覧とは、論文の最後にくっつける「論文を書くにあたって参照/引用した資料の一覧」だ。『元の文章からまるごと文章を引っ張ってくる』引用をした資料だけではなく、『論文を書くにあたって読み込み、自分の論の元にした』参照した資料も書いておく必要がある。
 この参考文献一覧を作る作業が、ものすごく面倒くさい。
 
この参考文献一覧には、資料の名前、ページ数、資料を書いた人、資料を出版した人、出版された日付、自分がその資料を見た日付、ウェブサイトならリンク‥‥‥と記入すべき情報が山ほどある。もうこの時点でだいぶげんなりしてしまうのだが、この参考文献には「書き方のルール」がある。加えていろんな種類の「書き方のルール」があって、科目や先生の好みによってどの「書き方のルール」を採用するのかも違ってくるのだ。
 それでもこの参考文献一覧が必要なのは、学生の皆さんが書いた論文が「どんな資料を元にしているのか」そして「資料の内容を丸ごとパクっていないか」などを確認するためだ。学校によってはこの参考文献一覧の作り方が間違っていると、せっかくの論文が減点されてしまうこともある。なので参考文献一覧作りからは逃げられない。
 どうしてそんな、必要だけれども面倒な作業を初めからしなければいけないのか。論文を書き終わってからの参考文献一覧作成は、それよりさらに面倒くさいからだ。
 
参考文献一覧が必要になるような論文は、基本的に1日では書けない。何日もかけて、いくつもの資料を見て、先生と相談して、疲れ果てながらなんとか論文を書き上げる。
 その疲れ果てた状態で、ものすごく面倒くさい参考文献一覧を作るのはものすごく辛い。単純に作業が辛いだけならまだ良いけれど、どの資料をどこの部分で使ったのかがわからなくなると、本当に、辛い。せっかく論文を書き終わったのに、また膨大な資料の山をひっくり返すことになるからだ。
 その資料を元に論文を書いたのに、わからなくなるなんてことがあるのか、と思うかもしれない。残念ながら、割とよくある。1つのテーマについて論文を書く場合、集める資料はどうしても似通った内容のものが多くなる。だから「この引用はこの資料から持ってきたはず」と文章を確認したら「確かにいっていることは同じだけれど、言い方が違う」なんてこともある。その時の辛さは今思い出しても涙が出そうになる。
 そんな辛さを回避できるテクニックが、資料集めの段階から参考文献一覧を作り初めることだ。
 
資料集めの段階から作成を始めると、必ず使わない資料も出てくると思う。けれどもその場合、論文を書き終わった後にしないといけない作業は、クリックひとつでその資料に関する情報を消すだけだ。細かい情報を入れなくてもいいし、膨大な資料をひっくり返さなくてもいい。
 論文を書き終わった後にしなくてはならない作業をかなり減らせる。そうなれば論文を読み返して確認することも出来るし、ミスも減るし、なにより辛さが減る。「資料集めの段階から参考文献一覧を作り初める」のは、面倒くさいとわかっていることを、少しでも面倒ではなくするテクニックなのである。

2、過去の論文を利用する

 参考文献一覧を作りながら資料集めを初めるにあたって、学生の皆さんはどんな資料を集めるだろうか。検索をかければすぐいろんな情報が出てくるウェブサイト、図書館にずらりと並ぶ分厚い本、いろんな選択肢があると思う。
 そこで過去の論文を利用すること。これが第二のテクニックだ。
 
過去の論文というのは、学生の皆さんが書こうとしているテーマと同じテーマを取り扱っている論文のことだ。どうしてそういった過去の論文を利用するといい理由は、大きく分けて3つある。
 まず、論文は、本よりかなり短い。これは当たり前といえば当たり前の話で、本にできるくらい分厚い論文なら、論文ではなく本として出版するからだ。多分先生たちに言われていると思うけれど、論文を書くにあたって参考にする資料の「数」はとても重要だ。いろんな種類の資料を参考にするなら、1つあたりの量は少ない方がいい。
 次に、論文は一番初めの「要旨」だけ読めば、何が書いてあるか大体わかる。次のテクニックでも説明するけれど、基本的に論文は「要旨・序論・本論・結論」の4つのブロックに分けられる。論文によっては「ここからここまでが要旨、ここからここまでが序論で〜」とその文章がどのブロックのものなのか教えてくれるものまである。そして論文は、要旨さえ読めば内容が8割わかるように書かなくてはいけない。自分が知りたい内容の資料なのかどうか、論文ならすぐに判断ができる。
 最後に、過去の論文には必ず参考文献一覧がついてくる。他にも資料が欲しい! と思った時、過去の論文についてくる参考文献一覧を見れば、テーマに関連する資料を簡単に見つけることが出来る。それも他の人が一度「これは論文に使える」と判断しているから、論文に使えないような資料をわざわざ読まなくてもすむ。もっと資料を探したい時、過去の論文は最高の手助けをしてくれる。
 こうした過去の論文は、アクセスしやすいのも理由の一つだ。大学生ならばこうした過去の論文にアクセス出来るよう、学校が手続きをしてくれていると思う。知らない場合は先生に確認してみて欲しい。こういうデータベースにアクセス出来ること、それ自体が大学生の特権みたいなところがある。もしもアクセスが出来ない場合は、Google Scholarを利用するといい。Google Scholarはさまざまな分野の学術資料を検索出来る。その中にはもちろん、学生の皆さんが選んだテーマの論文があるはずだ。
 加えて過去の論文を読むことは、「論文って一体どういう文章を書けばいいんだろう?」という疑問の答えにもなってくれる。Twitterで呟く時の文章と、大事な人に手紙を書く時の文章は違うように、論文には論文を書く時の文章がある。それを手っ取り早く教えてくれるのが、過去の論文だ。
 過去の論文は、利用しようと思えばいくらでも利用できる。だからこそ広くシェアされて、いろんな人がアクセス出来るようになっている。「論文を利用する」のは、学生の皆さんの論文を分厚く、幅広いものにするお手軽なテクニックなのである。

3、最初の部分は最後に書く

 そうして資料を集め終わって、さあ論文を書こう! となった時、学生の皆さんはどこから書き初めるだろうか。多分、答えは「最初から」、つまり要旨や序論からだと思う。
 この最初の部分は最後に書く。これが第三のテクニックだ。
 そもそも、序論とは何か。前のテクニックで説明した通り、基本的に論文は「要旨・序論・本論・結論」の4つのブロックに分けられる。そして序論は「これからこの論文でどんな論の話をするのか、それはどうして重要なのか、どうやってその論を説明するのか、それで結論はなんなのか」を、短くまとめて説明するブロックだ。ちょっと待って欲しい、それじゃあ、論文で大事な部分は、ほとんど序論で説明してるじゃないか。本論、論文の一番大きな部分は一体何を書くんだ? という話になるかもしれない。ここがこのテクニックの重要な部分である。
 要するに、序論は本論と結論を短くまとめたものなのである。
 
そして基本的に、『何か』を「短くまとめる」には、その『何か』にそれなりの長さが必要だ。もっと言うと、その『何か』が存在しないと、「短くまとめる」なんてことは出来ない。だから、序論は本論と結論が完成してからでないと書けないのだ。
 そして、序論を更に要約したのが要旨である。多分正確には違うのだと思うけれど、少なくとも自分はそう考えている。その論文の本当に重要な部分、書いた人が本当に一番伝えたい部分がぎゅっと詰まっているからこそ、要旨さえ読めば論文の内容がわかるのだ。だから、要旨は序論が完成してからでないと書けない。
 
だから論文は、本論→結論→序論→要旨の順番で書くのが一番楽だと思う。それに本論のブロックは大抵、これから自分の論を説明するために必要な知識についての説明から始まるから、「自分で考えたこと」ではなくて、「自分が資料で調べたことのまとめ」から書き始めることになる。資料さえちゃんと集めていれば、ここの部分はするっと書き始められるはずだ。
 実を言うと、長い長い論文を書き終わった後にそれを短くまとめるのは結構大変だ。どこが重要で、どこがそんなに重要じゃないのか、たっぷり資料を読み込んだあとに判断するのは結構難しいのである。それでも、何もないところからそのまとめを書き初めることよりは、ずっと簡単だ。「最初の部分は最後に書く」のは、どうしてもむずかしい作業を、出来る限り簡単にするテクニックなのである。

ワンポイントアドバイス:どうしても最初から書かないといけない場合
 けれど、どうしても最初から書かなくちゃいけない場合も結構ある。特に手書きの小論文は、どうしたって最初から書かないといけない。
 そう言う時は、まず文章を書き初める前に「何を序論・本論・結論で書くのか」のを決めて、簡単にメモを取っておくといい。一番は短い文章をそれぞれのブロックに割り振る形でメモしておくことだけど、だいたい小論文ってやつは時間が足りないことの方が多いので、簡単な箇条書きで十分だ。例えばこの「」なら、メモは大体こんな感じになる。

序論:この論文は、「論文を書くための3つのテクニック」について説明する。
本論:1、参考文献一覧は最初から 2、過去の論文を利用する 3、最初の部分は最後に書く。 
結論:この「論文を書くための3つのテクニック」は、こんな風に論文を書くのに役立つ。

 こんなもの書いている時間がない、と思うかもしれない。けれどこういう準備をせずに書き始めて、やっぱり書き直し────となると、やっぱり時間は足りなくなる。というか、実際足りなくなった。それなら、最初に少しくらい時間を取られても、しっかり事前に書くことを決めておいた方が最終的にかかる時間は少なくなる。
 不安な場合は、制限時間を「メモ書きを作る時間、文章を書く時間、文章を見直す時間」の3つに割って小論文を試しに書いてみるといい。人によってそれぞれの割合は変わってくるけれど、何度か試すうちにちょうどいい割合が見つかると思う。そのちょうどいい割合を本番の制限時間でも当てはめておけば、「もうそろそろメモ書き作りを終えて文章を書き始めないと」とわかるようになって、「メモ書きに時間を割きすぎて文章を書く時間がなくなってしまった」なんてことはなくなるはずだ。

おしまいに:上手い論文、楽しい論文

 さて、ここまで読んでみてどうだっただろうか。
 ここでは、先生にも、講師にも、教授にもなったことがない人間が、学生目線で論文を書くときにちょっと楽になる3つのテクニック────「参考文献一覧は初めから作る」「過去の論文を利用する」「最初の部分は最後に書く」の話をした。
 初めに述べた通り、これを書いたのはきちんとものを教えるための勉強をしたわけではない人間だ。だから間違っている部分、おかしい部分もあるかもしれない。だから「変だな」「おかしいな」「わからないな」と思ったら、何も気負わず先生や、講師や、教授に聞いて欲しい。この人たちは、学生の皆さんの敵ではなく、そういうことを教えるために皆さんの前にいる。
 代わりに、ここでは自分が直接経験で得た部分を、ちょこちょこ自分の体験談を交える形で書いている。そういった部分も含めて、同じく論文に苦しむ後輩である学生の皆さんが、少しでも論文を書くことが楽に、もし出来るならば楽しくなれば、嬉しい。
 そしてこの「論文」も、「上手い論文」の真似くらいは出来たんじゃないかな、と感じられると思う。

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