臨床検査技師のタスクシフト/シェアについて(備忘録)
臨床検査技師のタスクシフト/シェアについて学ぶ機会があった。
もやもやしたことや、現時点での思いをアウトプット。
【講演内容の、私なりの解釈】
(発言された方の意図と異なる可能性あり)
・医師の超過勤務を是正するため、これまで、医師や看護師のみが行っていた医行為の一部を、その他の医療職も担えるようにする「タスクシフト/シェア」の取り組みが始まっている。
・臨床検査技師に関して一部を挙げると、「採血の際に静脈路を確保し、ヘパリン加生理食塩水を充填する行為」「点滴装置(電解質輸液のみ)を接続する行為」「血液成分採血装置を接続する行為」など。
・これらの行為を臨床検査技師が実施できるようにするため、日臨技主導による講習会の開催準備が進められている。
・同様の動きは、他の医療職(診療放射線技師や臨床工学技士など)でも起きている。
・ぞれぞれの職種の業務拡大に踏み切っているのは、厚労省のプッシュもあるが、社会構造が変化する中で各職種が価値を向上するための取り組みでもある。
・複数の職種が相互に業務拡大をすることは、同時に他職種が自職種の業務領域に侵入することを許す状態でもある。つまり「医行為の獲得競争」のような側面もある(エコー検査などは以前からそんな感じ)。 ※もやもやポイント
・「この業務は臨床検査技師に任せるのが良い」と思われなければ、業務縮小(居場所をなくす)可能性も…。※もやもやポイント
・地域医療構想が議論された時、臨床検査技師はそこで明確な存在価値をアピールすることができなかった。
・今、臨床検査技師を目指して学んでいる人たちの「20年後の居場所」を確保するためにも、次は「2040年構想」に向けて存在価値を示していく必要がある。好事例を増やすことが必要。※もやもやポイント
・今よりももっと「診療スタッフの一員」となれるよう、これまでの枠組みに捕らわれることなく幅広い業務領域に進出する必要がある。
【※もやもやポイントの整理(質問により得られた情報も含めて)】
・タスクシフト/シェアの必要性は理解しているつもり。
・タスクシフト/シェアに向けての各職種の取り組みに競争的な側面もあるというのは驚き。既存の医行為の「取り合い」には乗っかりたくないな。
・これ(競争的な側面)はニュートラルな視点から見てもそうなのかな?他の職種は、自職種の業務拡大をどう捉えているのかな。
・たとえ競争的な側面があったとしても、医療スタッフの一員として必要とされる場面が増えるのは、良いことだと思う(「職種」というより、「職能」という捉え方で)。
・特に医療資源不足が深刻な地域では、「そこにいる人」が色んな事ができるのは良いことなんじゃないかな。
・一方で、大学病院などでは、タスクシフト/シェアの対象になっているような業務は研修医や新人看護師のトレーニング的な業務でもあり、シェアのニーズがあまりないという話も聞いたことがある。
・タスクシフト/シェアに期待されていることの中身は地域や施設規模によって違うんじゃないかな。
・タスクシフト/シェアに関する講習会等を技師会主導で行うとなると、その講習会を運営する人も、参加する人も、大規模病院や地域の基幹病院の技師が多くなる(私の県の場合)。「好事例」を期待しているところと、展開方法にギャップがある?
・小さなクリニックの臨床検査技師は、技師会に所属していないこともあるので、こういう話題は届いていないかもしれない(しかし、逆にそういうところこそ既にタスクシフト/シェアが成立しているかもw)。
・質問すると「今後は地域や施設規模を問わず、タスクシフト/シェアがもっと求められる時代になる。タスクシフト/シェアの有効活用について厚労省から病院の経営層への働きかけもなされている」とのことだった。
・臨床検査技師集団としては、まず法的に認められた業務に対する知識と技術をしっかり身につけて、アピールすることが重要ということかな。
・大病院でのタスクシフト/シェアが進むことによって、医師が医療過疎地などに出やすくなる…等も考えられるかな。
【現時点で重要と思っていること】
・職能団体間というレベルで競争があろうとなかろうと、結局「その状況で」「その患者さんにとって」良ければ良いわけで。
・私は、「タスクシフト/シェア」に関するインプットがほとんど自職種の職能団体からだから、自職種からみた「タスクシフト/シェア」の景色しか見えていないと思う。これってもしかして他の職種も同じかも?
・そもそもタスクシフト/シェアってちゃんと多職種で議論されているのかな?
・「法整備(マクロ)」~「職能団体間」~「(各施設の)部門間」~「医療スタッフ間(ミクロ)」のすべての階層で、タスクシフト/シェアを多職種で議論することが必要。