第16回臨床検査学教育学会学術大会を経て、臨地実習指導者講習会のnext phaseを考える

第16回臨床検査学教育学会学術大会(JAMTE16)に参加してきた。
教育シンポジウムは「新しい臨地実習~指導者講習会を中心として~」というテーマで、日本臨床検査技師会の方から制度改革の背景について話された後、実習受け入れ施設、臨床検査技師養成校の方から、臨地実習指導者講習会の実施状況や、それぞれの視点での受け止めについて話された。
「全国7支部での開催が軌道に乗り、第1目標として1施設1名(合計1200名)の指導者の配置、長期的にはより多くの指導者の育成が進んでいる。受け入れ施設と養成校の連携が、今後ますます重要となる」という点は、すべての発表に共通していたように思う。

突然「教育指導技法(教育学概論を含む)」のWebコンテンツの作成ならびにワークショップの設計の依頼をいただいたのが去年の3月。Webコンテンツの収録をしたのが8月、10月末から11月にかけて中央講習会3連発、今年2~3月から7支部での講習会が順次開始…。そして現在、既に500名を超える現場臨床検査の方々が講習会を修了された。講師もトレーニングを経て4名のローテーション体制となり、年に14回(7支部で各2回)の講習会を、無理なく行えている。ワークショップがフルオンラインのため、移動の負担がないことも日程調整を容易にしている。事務局の献身的な下支えと、各支部の講習会責任者、調整者(Zoomオペレーター)、世話人(ファシリテーター)の方々の尽力により、まさに「軌道に乗った」と思う。

さて、「次」のことを考えないと、ね。

講習会を修了した人たちが、実践や悩みを共有し、継続して学び合い、支え合えるコミュニティづくり。
フルオンラインでの講習会は、参加のしやすさが利点だけど、同じ養成校からの学生を受け入れる近隣施設の指導者同士の繋がりを生み出せていない。目標の1200名を達成するまで「1施設1名縛り」の現状では、講習会を修了した人が、学んだ実習設計の知識やスキルを自施設用にカスタマイズして実装する際に、相談できる人がいない。さらに近隣にも仲間がいなければ、実装前に意気消沈してしまうのは、自然なことではないだろうか。講習会修了者として、自施設では実習を先導する役割を求められ、養成校からも丸投げされるとしたら、あんまりな話だ。

コミュニティ形成のハブの役割を、誰が担うのか。
私は、学生を預ける立場の養成校こそが、その役割を担わなくてはならないと思う。

それぞれの養成校に、その自覚がどれくらいあるだろうか。

臨地実習指導者講習会は、実習施設と養成校に「共通言語」を提供したに過ぎない。大切なのは、その共通言語を使って施設と養成校がコミュニケーションをとることだ。
養成校が、「複数の実習施設を繋ぐハブとして、臨地実習をともに担う存在」となるか、
あるいは、「(講習会を理由に)ますます施設にお任せ」となっていくのか。

ひょっとすると、各養成校は、受け入れ施設との関係をどう捉えているのか(捉えてきたのか)を、問い直されているのかもしれない。

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