大学案内に掲載する教員コメントのドラフト(3/3)

「大学案内」の教員ページに掲載する文章をアドミッションセンターより求められる→ちょうど、ティーチング・ポートフォリオを改訂する必要性を感じていたこともあり、初心を残す意味でもちゃんと考えてみようと真剣に取り組む→文字数大幅オーバーにつき、かなり端折られる。

せっかくなので残しておこう。

(3) Wライセンスを取得することで、どのような未来が広がっていますか。臨床検査技師からみる将来性、活躍できるフィールドについて教えてください。

私個人が考えている「Wライセンスを有する医療者像」は、医療過疎地域や在宅医療で活躍する「臨床検査技師・臨床工学技士」です。
日本は今後当面の間、総人口が減少するなかで高齢者が増加することにより、高齢化率は上昇し続けます。ペースメーカーを体内に埋め込んだ高齢者や、透析、人工呼吸を在宅で受ける高齢者も増えるでしょう。その一方で、地方や家庭でプライマリ・ケアを担う医師は不足しています。このような状況では、より多様な役割を果たすコメディカルが医師の診療をサポートする必要があります。臨床検査技師と臨床工学技士の両方の資格があれば、例えば医師や看護師とともに訪問診療に赴き、採血やエコー検査を実施し(臨床検査技師の職分)、ペースメーカーの点検や在宅医療機器のメンテナンスを実施し(臨床工学技士の職分)、認められた範囲で検査の説明なども行う(臨床検査技師の職分)ことができます。このような役割を果たせる医療職は、医師にとって大いに助けとなるでしょう。臨床検査技師は、医療施設の「中」で働くことの多い職業なので、こんな風に、医療の対象となる方々の「暮らし」に触れることのできる働き方には、あこがれます。

実は、「臨床検査技師」と「臨床工学技士」は、名前こそ似ていますが、実務の場では所属する部門も異なり、ほとんど接点がない職業です。両方の資格を有する医療者は少数ながらいますが、「臨床検査部門」「臨床工学部門」のどちらかに所属し、どちらか一方の立場ではたらいている、というのが実際のところです。ですが、ひとりの患者さんの体の中で起きている出来事に対して、多職種がさまざまな視点からアプローチするのが、チーム医療です。「臨床検査技師」と「臨床工学技士」の2つの視点からアプローチできることは、将来「臨床検査部門」「臨床工学部門」どちらの世界に進むことになっても役に立つと思います。さらに、「臨床検査」と「臨床工学」の2つの分野を橋渡しし、既存の枠組みにとらわれない新たな価値を創出することも、Wライセンスを有する技師であれば可能と考えます。専門の知識や技術だけではなく、社会を洞察するまなざしと、自ら社会に働きかける力をもつ医療者を私たちは育成したいと考えています。


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