教員をやめた男
2022年3月31日
1年間の教員生活が終わった。
『教員最終日』という多くの人が、覗いてみたい今日をyoutubeに上げたら、どのくらい再生回数が回るのだろうか。
としょうもないことを考えながら、セブンイレブンで購入した「たらこスパゲッティ」と「アイスコーヒー」を食う。
「さて、どこから書き出そうか」と迷っている私は、
今年、大卒無職男26歳。
字面にすると、品性のかけらも感じられない負け組っぽさが、かえっていいよな。などと開き直ってみる。
1年しか住まなかった元魚町のアパート。
初めての一人暮らしにワクワクしていたのに、内覧もせずに決めた住処だった。
コロナの4波を迎えてた頃、お金がない若者が住む場所としては、自慢できる最適な場所だった。
4メートルはあるだろうかという斜に構えた天井に一目惚れした。
家賃は3万円。 浜松駅から徒歩10分。 Wi-Fi完備。
世界で流行っているユダヤ人が作ったカフェもすぐ側にある。
高い天井を生かしたロフトは、夏は暑く。冬は、暖房をいれても温まらないのだろうと容易に感じたが、それ以上に、圧迫感を感じないこと=わがままが、私にとって最も大事だった。
念の為、OHSHIMA TERUも確認したが、問題なかった。
1年間過ごして、唯一のクレームは、近隣で野良猫に餌をあげる家があり、春から秋にかけて、発情した猫たちが夜中に乱交を始める。
時折、常識のない化け猫が激しい気性で、鳴き声を出す。
寝床には、毎晩1Lペットボトルにいれた水を備え付けておいた。
そして、ベランダから乱交パーティーにスプラッシュをして、キチガイたちを撃退させたことが何度もある。
動物虐待という方もいるだろうが、動物だからといってなんでも許される訳ではない。というのが、私の主張だ。
住み着いて直ぐに、長野の農家で稼いできた貯金が、底についた。
2ヶ月の研修期間中は、時給1000円で、振り込まれるまでに1ヶ月半ほど、時間がかかった。そのため、切り詰めながら生活をしてたが、間に合わなかった。
この期間は、本当に苦しかった。
恥ずかしくて、親にはとても言えず、1つ年下の妹に15万ほど借りた。
研修の一環として、参加した学校の卒業式では、着ていく礼服を買えなくて、ユニクロの中古をネットで引き取って購入したこともあった。
入社してからは、手取りが16万円程度で、他の福利厚生は一切なかった。
教員は、残業、休日出勤は、当たり前。
初月から77時間の時間外労働をしていたが、上司からは、申告したら本部から刺されるぞ。と言われて、僕の就業実績は、書き換えられた。
それからも、終わらない仕事を押し付けられた上に、「タイムカードも早く切れ」、「俺は、早く帰れと言ったからな」など言われる。
退社後も夜の11時ごろに平気で電話をかけてくる。
せめて、「給料が安いなら、良い人に恵まれたかった。」という本音が、出てきてしまう。
多忙な事務業務に追われている中で、担任でありながら、授業以外では、ほとんど生徒関わることはなかった。
授業を教えている間が、唯一の息抜きの時間である。
『僕を通して、子供たちが選択肢を広げられたら』と思い、教師を志した学生時代の自分は、もういなかった。
若手の足を引っ張り、若者に責任を押し付ける管理職、その場凌ぎの対応で自クラスの生徒の進路を優遇しようとする上司。
2021年5月
もう二度とここで教員は、やらないと心に誓った。
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