キャラクター

村田沙耶香の「生命式」を読んだ。昔の短編を近いジャンルで括った文庫本で、もう表題作の生命式が凄く響いた。響きすぎて、一編ごとに本を閉じてから30回以上咀嚼したもんね〜。
酔っ払って理性がなくても、人にプレゼントするくらい良かったもんね〜。

特に印象的だったのが、「孵化」というお話。
コミュニティによって使い分けたキャラクターが多くなりすぎて、結婚式でどのキャラクターで行けばいいか分からないというような話。


自分の話で言うと、ここ2年同じ人としか遊んでいなくて自分のキャラクターの違和感を少しだけ感じるときがあった。
それが普段と異なる空間に自分を置いてみると、その場に応じたキャラクターに変化している自分がいて、自分には色んなキャラクターがいるし、色んなキャラクターのバランスで自分の精神衛生が保たれてたんだーー!!!と予想外の発見をちょうどしたところだった。

みんな無意識に他者やグループ、雰囲気に自分を上手く馴染ませている。これが無意識すぎて、当たり前になってるけど、各グループにきっとそれぞれの居心地のよさがあって、その時の自分でしか発散、表現出来ないことがあったんだね、、、

「孵化」のなかで、キャラの使い分けを裏表と取る人がいたり、勝手に人のキャラを決めつける人が出てくる。そうであってほしいし、そうに違いないと他人は思う。
自分自身のキャラクターへの容認、受け入れ方を再確認したのと同時に
自分自身の人の見方、捉え方、感じ方に疑問符を投げかけられたような気持ちになった。

電車の中で本を読み終えて、そのことに
ハッとさせられ、しばらく口をポカン(マスクだからバレてない)としていると広告の芦田愛菜が目に入ってきた。


そういえば、芦田愛菜が人を信じることについて少し近い感じて話してた、、、!?

思わず息を呑み、マスクを口の中に吸い込んでしまった。
口の中に入ったマスクの内側には唾がつき、あまりの臭さに顔のパーツが中心に集まってしまう。
その匂いに慣れて目を開けると、向かい座席のお婆さんが不思議そうにこちらを見ていた。

一人でいるというのに、こんなに表情豊かでお茶目なキャラクターが自分の中にいたことを初めて知ったそんな一日でした。

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