VRChatワールド探訪2

Real Photograph Gallery

 展示をメインに据えたワールドというものが存在する。また、VRChat内で撮影された写真限定の展示ワールドというものも存在する。そんな中、ここに展示されているのは現実世界で撮影された写真たちだ。
 ワールド製作者本人の撮影した写真80枚程度が順路に沿って展示されている…と、言ってしまえばそれだけで、つまりワールドとしては「至って普通のギャラリー」だ。そこが嬉しい。ワールド容量は小さく動作も軽快、何に煩わされることなく一枚一枚の写真に没頭できる。元々そういった素養のある人間でもなし、講評めいたことは避けるが、どれも良い写真だと感じた。
 個人的には、「写真鑑賞の趣味なんて無いし」という人にも是非訪ねてみていただきたいと思っている。ワールド巡りに重きを置いているような人間は、たとえ今現在そのような習慣が無かったとしても、潜在的には撮るのも観るのも嫌いではないはずだからだ。きれいな景色や、ここではないどこかを求めている向きには好ましく感じられるだろう。もしそれで新しく趣味が増えでもしたならそれは素敵なことだ。
 ちなみに同じ作者による「Photo Gallery -六華小景 金沢-」もとても良い。こちらにはカメラのぬいぐるみが置いてあったり写真が出てくるカードダスがあったりする。本当にお好きなんですねー。


Replunt's Lab

 クラシカルな調度品が小さな部屋に所狭しと並べられ、頭上の照明から投げかけられる光を遮ってそこかしこに陰を作る。ガラス戸つきの書棚の中、机の上、もしくは床には本が並べられ、積まれ、表紙の「Psychology」の文字は部屋の主がいかなる人物であるかを窺わせる。振り子時計の規則正しい音だけが、静けさを刻み込むかのように響いている。
 この小さな部屋について語る上で触れておきたいのはその実在感だ。
 それを生み出している要素の1つは、ワールドの持っているインタラクト性の強さだろう。ピックアップできる日傘、紅茶の注げるティーセット一式、いくつかの操作手順を踏むことで展開及び撮影可能なアンティークカメラ、それぞれに点灯と消灯を切り替えられる3つのランプ、開閉可能なカーテン等、滞在者がアクションを取ることの出来るオブジェクトは多い。だが最も特筆すべきはガラス戸の開閉可能な書棚であろう。この開閉機能はそれまでに挙げたものと違い実用性が特に無く、世界観の演出にそこまで大きく寄与しているわけでもない。しかしながら「動いて然るべきものが当然の如く動く」というこの事実は、滞在者に強い没入感を与えるものだ。いかにもゲーム的なスイッチは設置されず、あらゆる機能はワールド内のオブジェクトをそのUIとしているところから見ても意識的にこだわっていると考えて間違いないだろう。姿見のモデルがそのままミラーになっている点も見逃せまい。ちなみにスポーン地点後ろのドアノブを触るとワールド内の殆どのオブジェクトのUse判定はオフにできるため、少し手を動かしただけで何かに触ってしまうような煩わしさに悩まされることも少ないだろう。
 細かい話はさておき、クラシカルな調度品やアンティークカメラ、医学書など、どことなく19世紀末的な空気感を漂わせるこの小さな部屋は、落ち着いた時間を過ごすのにちょうど良い。とにかく雰囲気が抜群に良いため写真撮影などにも向いているだろう。もちろん楽しい雑談の場にしても良いし、長椅子の上で横になることだってできる。また、ワールドの世界観を仄かに物語る一枚の手紙がある場所にひっそりとしまいこまれている。探してみるのも良いだろう。

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