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令和に観る「パーフェクトブルー」

今敏監督の「パプリカ」をライブ音響上映で観て現実的な作画、虚実入り混じった表現に感銘を受け、さらに「千年女優」をネトフリで観てインタビューと女優の半生を同時に描く技術に魅了され、そして「パーフェクトブルー」は傑作と知りながらも、なんとなく今まで観るきっかけがありませんでした。
そこでツイッター(現:X)業にせっせと勤しんでいた僕の目に入った「期間限定劇場上映」の文字。
これは観るっきゃない!
映画なんか映画館で観るのが一番面白いですからね(諸説ある)。

「パーフェクトブルー」についてはアイドル?女優?のお話ということしか知らず、映画のあらすじすら知らないという無知の無知状態であることに気付いたのは上映が始まってからでした。
期せずして、公式から1ミリの宣伝もなかった「君たちはどう生きるか」と同じような視聴体験ができてラッキーでした。

「ふーん、アイドルを辞めて女優へ転身して夢を叶えるストーリーなんだな、面白そうじゃん」と思ったのは束の間、コンサート会場の警備員の男(めちゃくちゃ最悪なんですが元ボカロPの某アーティストの雰囲気があり、どうしても顔がよぎってしまう。令和にパーフェクトブルーを初めて観たせいで時を超えてしまったノイズ)の描写がやけに怖く、視聴を続けていくうちにどうやらホラーぽいジャンル(Wikipediaを見るにサイコホラーみたいですね)であることに気付き、ホラー作品が苦手な僕は「思ってたんと違う……」と内心ビビりながら観ていました。
でも途中からは僕が大の苦手とするジャンプスケア(デケェ音を出しながら突然化け物とかが出てくるやつ)はなさそうだということに気付いて結構のんきしていました。

オタクや街の描写、アイドルへのセキュリティのガバガバ具合、ブラウン管のパソコンに平成初期の面影を感じました(でもスーパーの物価が今と変わらないのはなぜ…いや待てこのスーパーが成城石井とかの可能性がある)。
あと最初にモブがしゃべっているときに絵が揺れる表現がアドベンチャーゲームみたいで面白かったですね。

そして視聴を終えて、噂にたがわぬ傑作ぶりだなぁと思いました。
今観ている映像は現実なのか夢なのかドラマの内容なのか、視聴者の脳内すら欺く虚実混交描写が本当に素晴らしい。
犯人の正体には薄々感づきながらも、正体の現し方には驚きましたね……怖すぎる。
一応ネタバレ拒絶派なのでネタバレはしないでおきます。
もう初公開から20年以上経っているので気にしなくていいでしょって人がいるかもしれないですが、ネタを知らずに観る体験は記憶を消さない限り二度とできないのでとても貴重なんですよね……
あと余談ですが最近アクアリウムに興味あったけどやっぱりテラリウムにしておこうと思いました。

しかし劇場内には女性客が多かった気がします。
ドラマ撮影とはいえリアルな性描写に、一人暮らしの人にとっては怖すぎるストーカー描写とかあるんですが大丈夫なのかな?
この内容を女性が観て平気なのか?
いや、自己防衛として観ておいた方がいいのか……
さらにカップルで観に来た人たちも複数いたけど大丈夫なんでしょうか?
後で気まずい雰囲気になっていないことを祈ります。
2人ともただの今敏ファンだったらいいな。
それはそれでうらやましいな???

あぁ「東京ゴッドファーザーズ」「妄想代理人」も観たいなぁ……


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