「作る」についての意味。

画像1 作ることの違い。 グランド管理の効率化。スタジアム運営の合理化。クラブ運営の改善などからスタジアムの人工芝化が進んでいる。 ヨーロッパリーグなどで人工芝グランドが使われることは珍しいことでは無い。 シーズン中の気候の違いに対応し、ヨーロッパリーグなどのスケジュールをこなすには人工芝グランドの使用は避けられない。 FIFA主催の大会なども有る為に、人工芝の採用に関してはFIFAも長年人工芝の研究を重ね、様々なデータの収集を行ってきた。 良い環境を作り選手を守るために。
画像2 日本人はものづくりが得意だ。 手を抜かず几帳面で、完成度も高い。グランド作りにしても、スタジアム建設にしても良いものを作る。 但し、良いものの意味が「悪い」意味で違ってしまう。 誰が悪いのか?作る人(工事業者)が悪いのか?作る人は作り方のプロで、作り方には精通している。 ただ、その先にプレイヤーはいない。 サッカー場にしても、野球場にしてもプレイヤーは無視されている。 実直なプロ野球選手の言葉がそれだ! 「ボールが転がらない。ボールが弾まない。バウンドが変わる。足腰に負担がかかる。酷いグランド」
画像3 選手にとって大事なことは予算のことでも無く、完成度が高いことでも無い。 如何にグランドがプレイ性が良く、身体に良く作られているかだ。 互いの都合に良く作られたことなど問題ではない。 スポーツ選手の寿命が短いとされる中、100%のパワーでプレイする選手にとって、何よりも大切なことはピッチそのものの感覚。 サッカー場では本格的に人工芝の採用は無い。Jリーグでの採用も未だ無い。 既に何十年も前から人工芝化された野球。 仮に選手に沿ったグランド作りが行われていたら、多くの選手はまだ現役を終えていない。
画像4 小さな子供から、プロ選手までが使用するグランドには様々な配慮が必要だ。 残念ながら工事のプロは存在しても、スポーツのプロはいても、双方に精通した専門家は不在であり、スポーツ施設の作り方まで知る専門家は益々不在だ。 競技場の場合に発注施主は役所の場合が多い。 役所の担当部署は様々ある。施設課、公園管理課、教育課と様々になる。 担当部署は設計コンサル任せで、発注は役所の建設課から行う。 スポーツ選手のことなどそっちのけ。 建設会社は如何にやり易く作り、如何に予算を取るかを考える。 正に談合でしかない。
画像5 世界は違う。 スポーツに関わる企業が選手目線から施設作りを考える。だから素晴らしい発想が有り、選手優先のものづくりが行われる。 そこに集中してお金が使われる。 考えると何かが違う。 根本的なことは、スポーツ施設に必要な部材や器具等々。 こうしたものを作るメーカーが日本には無い。純粋なメーカー企業が無く、海外に依存している。1社独占的な競技まであるから、特に新しいものなど必要ない。競いがない。 学ぶ必要も無い。与える必要も配慮する必要も無い。 ただ作れば良いだけなのです。 「作る」の意味が違う。
画像6 世界中のスポーツ施設に関する展示会や研究発表会やイベント。 どこにも行っても世界中のスポーツ関係者で賑わっている。 スポーツ施設建設に関しては全ての情報が得られる貴重場所である。 どの国のイベントに参加しても、日本人には遭遇しない。 他社から他国から学ぶことが無い訳ではない。正直に日本のスポーツ施設建設に関わる企業と話をしても、知らないことが多すぎると言うのが実感だ。 欧米の施設の話をしても、意味が通じないことがほとんどで、いわゆる自己流。 関心が無いから日本流で充分なのです。それで仕事がある。
画像7 FIFAはサッカーに関する国際的機関。 各国の企業はFIFAに最新の情報を求める。 FIFAも最新の情報を提供し、グランド作りに活用してもらう為に毎年ブースを開設する。 常にグランド作りは進化している。 各年代の選手に配慮した情報を提供している。活用するべきだ。 日本では何故かJFA独自のマニュアルが作られている。研究もしていないのに不思議だ。 オーガニック化もそうだ。 まだ「黒ゴム?」 そんな声も聞こえそうだ。 各国から来日するスポーツ競技者から、そんな声が聞こえる日は近い。
画像8 新しいことが全てとは思わないが、せめてスポーツ競技場は競技者のものであり、施工業者の「作る」と言う仕事の為にあるものではないことは理解して欲しい。 スポーツ選手アスリートの身体のことを考えているなら、考えて欲しい。 責任の明確さがないから、環境保護にしても考えない。 原因が明確では無いからと危険なものを使い続ける。 日本人の道徳心が薄れている感じがする。
画像9 スポーツ競技の世界は日々進化している。競技に関する器具類や部材も進化している。 常に新しい情報がある。 スポーツ選手、環境、お金に優しいグランド作りをして欲しい。 日本人の技術を活かして欲しい。

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