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何故!日本で模造芝が普及したのか?

人工芝に関わって27年になる。
日本で人工芝が普及したのが1980年代の中頃になるから、業界人としては古い部類の人間になる。

世界で人工芝の生産が始まったのが1960年代と言うから、日本に伝わったのはかなり遅目となる。
ヨーロッパやイギリスは繊維工業も盛んで、そうしたものを作る機械も進んでいた。

最新の繊維糸生産機械

日本ではユニチカなどが古くから人工芝の生産を行ってきたが、あまり知られてはいない。
人工芝は大きく分類すると、スポーツ用と日常鑑賞用とに分類出来る。
この2つは、作り方も違えば、繊維の品質も圧倒的に異なる。

原宿ハラカドビル室内人工芝 アメリカForever

最近の驚きは、人工芝を全く知らない人間が、人工芝の研究家や専門家やプロを名乗り、YouTube動画やSNSで、自信満々に嘘を流布していること。
誠に恥ずかしい話し「どの顔が?」と言いたくなる。

こうした偽物業者は、人工芝のことを碌に知らない。
真顔で嘘を話し、自身が本当を話していると信じ込んでいるから、更に呆れてしまう。
こうした業者が氾濫する背景には、中国の模造芝業者の存在がある。

スポーツ用人工芝 オーストラリアシンロン

当初はヨーロッパやオーストラリアやアメリカが生産の殆どだった人工芝は、2000年代になり中国が生産拠点となる。
これは人工芝に限らずの話しだか、世界の工場として中国が発展した時期になる。
生産コストの問題から、世界の人工芝メーカーの製造舞台は中国となる。
スポーツ用人工芝が一気に普及したのが、この時期にあたる。

日本では、テニス人工芝が1980年代、サッカー用の普及が1990年代からとなり、鑑賞用人工芝は2000年代から普及し始めて、その輸入量はスポーツ用を遥かにしのぐ。

渋谷駅サクラステージ人工芝 ベルギーDOMO

2000年代に入り、人工芝の生産拠点は中国へ移るも、そこで問題となったのが、偽物人工芝の生産普及で有る。
人工芝メーカーが開発し、生産委託した中国の工場が、その技術を利用し、いわゆるコピー品の生産を始めたので有る。
そして現在日本で流通するのが、これらコピー品の模造芝なのです。

日本で模造芝を販売する為に、商品説明としてありもしない嘘を垂れ流す中国メーカー。
その話を間に受けて販売しているのが、前段説明した自称プロと言う輩である。

こうした輩は、スポーツ用人工芝と鑑賞用人工芝の違いすら知らない。
中国メーカー営業マンは、日本人業者が知識が無いことを良いことに、出鱈目な説明をして販売をする。
この話を間に受けた日本人業者が、その言葉通りに販売を行う。
結果として、多くの日本人は偽物を掴まされてしまうと言う構図である。

「自社オリジナル」「販売施工日本一」「FIFA認定工場が作った」「冷却人工芝」「特許出願中」
こうした宣伝文句が並んだ業者は、100%似非業社と言ってもよい。

今や、技術の流出を恐れた世界中の人工芝メーカーは中国から撤退し、スポーツ用などは特に自国内で生産を行っている。
一部のランドスケープ人工芝(鑑賞用)は中国でも生産を行っているが、中国でも一流と言われる企業と業務提携して生産を行なっている。
例えメイドイン中国でも、生産工場から直接日本に販売されることは無い。

アメリカデュポン社の人工芝

見た目だけでは判断出来ない人工芝。
同じスポーツ用人工芝でさえ、競技別に異なる繊維が採用されている。
例えば滑りやすいものや、滑らないもの。
野球やサッカーやゴルフも違う。

特に気をつけなければならないのが、動物用の人工芝で有る。

日本の模造芝業者は、スポーツ用と鑑賞用の違いもわからなければ、ペット動物用人工芝の存在すら知らない。
中国産模造芝を、あらゆる用途に使えるとして販売するから恐ろしい。
青色のドックランを見た時にはぞっと背筋が凍りついてしまった。

日本では、住友や積水や三菱などが古からスポーツ用人工芝の販売を行っており、年間販売施工面積は約150万平米とも言われる。
自称プロや日本一を名乗る業者の施工面積は、年間で1万平米にも及ばないだろうから、如何に嘘かがわかる。
模造芝を販売するフランチャイズ業者も同じく、扱う人工芝の種類は精々10種類にも満たない。
量販店やECサイトで販売されているのは、殆どが中国産模造芝なのです。

人工芝は用途別に生産されているものです。
防草シートを使う施工は、専門業者は行いません。
人工芝を知らない業者か、模造芝業者です。
人工芝業者の選び方は充分な配慮が必要です。

#人工芝業者 #人工芝の選び方 #人工芝と模造芝

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