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【抄訳】ERPの語られない世界|VRChatドキュメンタリー
VRChatはその利用規約において、性的コンテンツの公然たる利用を厳しく禁止している。しかし、実際には「バーチャルセックス」という現象が、このバーチャル空間で一部のユーザーにとって確立された文化として存在していることは否定できない。センセーショナルな話題性がある一方で、VRChatが単なる性的行為の温床として誤解されることは、プラットフォームとそのユーザーにとって不本意であり、避けるべき状況だ。だ
もっとみる【後編】「言語」と「生」の思考宇宙:『ウィトゲンシュタインはこう考えた』(著:鬼界彰夫)を読んで
さて、前編においては『論考』の成立過程とその重要な諸概念を検討していくことで、ウィトゲンシュタインの「前期」思想について理解を深めてきた。本書『ウィトゲンシュタインはこう考えた』では、第四部以降が『哲学探究』を中心とする「後期」思想に関する解説となっている。
ウィトゲンシュタインは、その「前期」と「後期」において大きな転向を見せた。著者曰く、彼の哲学の主題は生涯を一貫して「言語と生」である。では
【前編】「言語」と「生」の思考宇宙:『ウィトゲンシュタインはこう考えた』(著:鬼界彰夫)を読んで
本書『ウィトゲンシュタインはこう考えた』(著:鬼界彰夫)は、2003年に講談社現代新書より出版されたウィトゲンシュタイン哲学の入門書である。新書といっても、417ページあるのでかなり分厚い。しかも、あとがきもなくぎっしりと内容が詰まっている。著者の鬼界彰夫は、言語哲学、ウィトゲンシュタイン研究を専門とする哲学研究者。講談社より2020年に出版された『哲学探究』の訳者でもある。
ウィトゲンシュタイ
【ポートフォリオ】Webライター/編集者 アシュトン
はじめまして、アシュトンです。
私は、バーチャルコミュニティとオルタナティブカルチャーをメインテーマに、主にソーシャルVR/メタバース領域において活動するフリーランスのWebライター/編集者です。2020年10月にVRニュースメディア『PANORA』にてWebライター活動をスタートし、2021年11月に公開の記事「VRChatに週100時間ダイブするドハマりプレイヤーが語る、もはや引き返せないメ
貫成人『哲学マップ』ではじめる哲学史のキ【ブックレビュー】
哲学とは、「それにしても本当はどうなっているのか?」という問いを追求するなかで生まれたものだ。本書『哲学マップ』は、「哲学」と一口に言っても、そのあまりの多様さと難解さにひるんでしまう、そんな初学者に向けて西洋哲学史を中心に、哲学の「問いと答えのアーカイブ」を俯瞰するマップを提供する。
哲学史といっても、主要な哲学者とその思想をただ並べるだけでは済まさない。「マップ」というだけあって、古代ギリシ
交流喫茶「夢幻堂/Café Entheogen」をオープンします【4/21~】
VRChat上にオープンする交流喫茶「夢幻堂/Café Entheogen」は、仮想現実のオルタナティブスペースを自称する文化的交流の場である。
ゆめまぼろしと書いて「夢幻」。そして、サイケデリックを神聖さを込めて呼称する際の名称「Entheogen」。ワールドは、19世紀末ウィーンのカフェハウス文化を代表する喫茶店「カフェ・ツェントラル」を彷彿とさせる建築構造に、これでもかと1960年代のヒッ
【エッセイ】バーチャル・リアリティがある日常①
僕の日常にバーチャル・リアリティが溶け込んできたのはいつからだろう。
2022年には、「メタバース週100時間男」とか「メタバースで生きる」とかメディアにも取り上げられ、名実ともに「バーチャル・リアリティに生活のすべてを捧げる奇人」となっていた僕だが、それまでは特段ガジェットに興味があるわけでもなければ、ゲーマーというわけでもなかった。
しかし、いまやバーチャル・リアリティのない日常なんて考え
さようなら、メタカル最前線 メタバースカルチャーよ永遠に
2024年4月2日、本日をもって私、アシュトンは「メタカル最前線」の編集長を退任いたします。今後「メタカル最前線」は、2代目編集長・東雲りんのもと、浅田カズラ、柘榴石まおりんを編集部デスクに加えた新体制にて、より一層メタバースのユーザーカルチャー発展に貢献できるよう進化をしていきます。
「メタカル最前線」は、2022年4月2日に私が創刊編集長となり立ち上げたウェブメディアです。「メタバースカルチ
Perception Is All You Are.(認識こそがあなたのすべて)
近代的人間観/コスモロジーの土台は、やはりデカルトだろう。「我思う、故に我あり」。これを真に乗り越えない限りにおいて、脱近代的人間観/コスモロジーの提出はありえない。
「我思うゆえに我あり」という主張は、デカルトが提唱した方法的懐疑を通じて得られた確固たる知識の基礎だ。これは、あらゆる疑い得るものを疑い、唯一疑うことができない自己の存在、つまり思考する自我の存在を確認することから始まる。この主張
新年の挨拶:苦難の1年を超え、回心。そして、実り多き来る年へ。
振り返ってみると2023年はほんとうに苦難の年だったと思う。
2月には、金銭的事情から京都での生活が厳しくなって、親を頼って実家に帰った。4月には、復学を決意して、約2年行けていなかった大学に改めて通い始めた。6月には、いよいよ経済的に首が回らなくなり、一度は自分の活動の断念すら考えた。いろいろな人に助けてもらった。
2022年7月に立ち上げた自分の会社を畳む決意をしたのも2023年7月。人生
2023年に読んだ本から10冊を紹介する
みなさん、年末はいかがお過ごしでしょうか。
もうあっというまに、2023年も残すところあと数日。そろそろ今年の振り返りをしてみる時期になりました。
そこで今回は、私が今年1年間で読んだ本の一覧をご紹介するとともに、中でも特に読んでよかった本を10冊紹介していきたいと思います!
①取材執筆推敲――書く人の教科書 |古賀史健言わずと知れた「書く人の教科書」。2021年4月に発売された当初から、書店
1202夢日記:植物園から宇宙へ、そして嵐に飲み込まれ
1202夢日記
場面は3つくらい。まず、植物園のような動物園のような大きな建物。私は子供の頃だったような気もするし、いまの年齢の姿だったようなきもする。誰かと一緒に来ていたような。家族もいた気がするし、クラスメイトもいた気がする。ここに出てくるクラスメイトは特別、誰かを指しているわけではなく、概念としてのクラスメイト。
スーベニアショップなのか、本屋なのか。そこで、先日読んだ『ヒッピーのはじまり