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コードの波形を目で読んでみる

数年前に書いた記事ですが、自分でも忘れそうだったので公開しておきます。
こんばんは。今日はなんと音楽(?)の記事です。

昨今音楽コンテンツやその感想に触れる機会に恵まれ、皆様の造詣の深さに感銘を受けております。そんな中で「この曲美味しい」としか言えない私は、どう美味しいのか?を語る言葉と感性が欲しくて仕方がないのです。

ということで。手始めに和音を視覚で捉える視覚優位の分析、始めます。

初手物理

十二平均律の音階の周波数は、同じ数を12回掛けた時にちょうど2倍、1オクターヴ上の音になるようにデザインされています。

つまり主音の周波数をf(0)としたとき、半音数n高い音の周波数f(n)は

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です。イメージしにくいのでグラフにしましょうね。
Fig.1に音程(Interval)と乗数(Multiplier)の関係を示します。

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要はドミソに関係なく、何Hzの音でも、半音上は必ず1.06倍、全音上は1.06×1.06倍・・・という関係になっています。

2音の合成

三和音の前哨戦として、2音のサイン波を合成したグラフを見てみましょう。モデルを簡単にするため、角速度2π/s、要は1Hzの波長を主音として、その角速度に上記の乗数をかけたサイン波を足します。要するに

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まぁ単純。すると、下図のように砂時計型の「うなり(Beat)」が生じます。よく知られた事実として、このうなりが音の不安定さと関連しています。ただし今回はどれくらい不安定か?が知りたいため、各音のうなりの周期Tも簡単に算出してみました。(Fig.2)

fig. 2 2音の合成波とその周期

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目視だとI+V♭はT=5でも良いかもしれません。パワーコード(I+V)を基準に、砂時計型のうなりから形が変化しているのが面白いですね。じっくり見てると気分が悪くなってきます。

ポイントとして、波形の周期Tはなんだかんだ主音の整数倍になっています。これはまぁ、波長の重なりが厳密にぴったりでなくとも増幅するし、主音の増幅タイミングは勿論整数倍でしか来ないからですね。

さて、主音を低音側にばかり置くのは少し不公平な気もするので、高音側の周波数を1としたときの繰り返し周期も求めてみました。(Fig.3)

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お気づきだろうか。これらの数は純正律の整数比と関連していて、Fig.1の乗数に対して良い感じに近似値が出ます。(Fig.4)

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純正律のⅦは15/8ですが、17/9のほうが平均律の1.8877に近いようです。

Fig.3の主音(低音)に対する擬似周期の長さ(つまり分母)は、概ね個人的な響きの不快度と相関があります。これで不協和音を聴いたら、周期長すぎて気持ち悪いという感想を言うことができるようになりました。

え?当たり前のことしか言ってなくない??

細かいことを言うと
①音階が高いほど、うなりの周期の絶対値は短くなる。
②完全五度以降、明確なうなりは存在しないが、振幅が撚れる。
という仕様と
ⅰ聞き取りやすい周波数帯はより不安定に聞こえる。
ⅱ低音側が同じなら、オクターヴ違いでも同じ不安定さに聞こえる。
ⅲ完全五度以降は不安より違和感が強い。
という体感を上手く合わせて解釈する必要がありそうです。

以前にネイピア数から音階を創作してオラリーを演奏するロックな先行研究を読んだ憶えがありますが、今回の結果からも、音の響きは整数が支配していると言うことが出来そうです。

ということで、次はようやくトライアド(三和音)編です。

P.S.
今回使用したnoteに数式を載せる方法です。



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