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【28】ブルーな私

簡単に書くと。
その日、私は旦那と話をした。

「生きていれば、まだ未来があるけど
死んだらもう会えない。
みんな、パパに生きていてほしい」と。

エネルギーが見える『ちゃん』がパパを見て
「死にかけてる」と言ったことも。

そして、まずは休職することにきめた。

私は、朝1人、制服を着て登校するナッツに、お弁当を作って見送るだけで精いっぱいだった。

ナッツだって、大変なんだ。

パパの転勤さえなければ、
こんな知り合い1人いない学校に入って、
【優等生の転校生】なんてレッテルを貼られて
都会の大渋滞の中、バスに乗って登校せずにすんだ。

次第に、私は神様にまで怒っていた。

毎日、たくさん文句を言っていた。
どうして、こんな優しい子に、辛い思いをさせるんですか?と。

こうして…私のエネルギーが下がったから…?

ケイが寝る前に…

「え?コンセントの中になんかあれ?なんかいる。」
「うわっ出てきた。あ、消えた」

と暗い部屋でアカルンに言っていた。

私は、正直。

小人にも、宇宙人の男の子にも
もう慣れっこになっていたし、
疲れ切っていたので

「もう。かんべん。そういうの」

と思っていた。

アカルンが、
「アカルンにも見えたような」
とか言いながら、
二人が寝ていったので私は関わらないようにしていた。

すると…
「こしょこしょこしょ…」とケイの口から少し、いつもと違う小人語が始まって

びっくりして目を覚ましたアカルンと私で見ていると、ぎょろっと目が開いた。

鋭いまなざしで、ケイよりかっこいい子(大人びてると言った方がいいか)が、ただ、普通に部屋を見まわしていた。

「誰?」と言うと
「ケイ」と答えた。

いや違うでしょ。

こういうことに慣れてきた私が
ちゃんじゃないし、誰?なんて呼べばいい?」と聞くと

「だから、ケイだって。俺がケイ」

と、その子は『ちゃん』とは違ってそこをゆずらなかった。

お水を飲ませてあげると、
遠慮がちに受け取り飲んだ。

「美味しい?」と聞くと
私を見てうなずいた。そして

「じゃぁ。また」と。

「え。まだ遊んでいいんだよ?」
ってアカルンが言うと

「学校あるから。」
「学校もあるし、仕事もある。」と。

「え?かわいそうに、ちゃんの星とは違って、そういうのあるんだ?」
と聞くと

「そりゃそうだろ。地球でさえまだこんなじゃん。」

そういって、あっさりお布団に入って寝ていった。

その夜。
私はますますブルーになった。





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