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TM NETWORK「DEVOTION」①今を感じる最高傑作。

 彼ら、帰ってきた。
 しかし、あの頃の彼らというのではなく、何億年もの時を経て再びという印象なんだな。
 音楽というだけでなく、人間的なものも含めて、清濁併せ呑んできた、器が大きくなったというか、世界観が巨大になって、音を聴いているだけで宇宙の広大さのようなものを感じる。

 それにしても、小室哲哉という人は、恐るべし枯れることない湧き出す泉を持っている。一時期、時代に応えられないと引退をしたが、彼を追い詰めた何かを全て拭い去り、自由になったことで、再び炎は強くなってきたんだろう。

 好みは聴く人それぞれに違うでしょうが、また今のTMに期待するものも。
 自分は、40年目のTMがどんななのか、全く想像もできなかったから、真っ白な画用紙のまま、この新作を聴いたので、スッと身体の中に浸透して受け入れることができた。

 新曲と既発曲が半々くらいだが、全て新曲に聴こえるというか、旧アレンジとの比較もできないほど、完成度の高いものに仕上がっていると感じた。
 また、新曲なのに「Nights of the Knife」を思い出すようなアレンジだったり、テンポがゆっくりめになって印象が変わってしまった「Time to Countdown」だが、これもいいんだな。ああいう選択肢もあれば、こういう選択肢もあったわけで、まだ選択肢はあるんじゃないかとも思うほど、原曲がいいものは、どんなアレンジにも対応できるというのはまさに本当だったと象徴している。

 インストが多いが、ツアーで披露されたもののスタジオヴァージョンで、小室さん曰く「ツアーのおさらい」であって、こうして音源作品として聴き、きちんと残すべくものであるなというのも納得。またこれらが、今のTMを表現しているそのものではないかと感じた。
 言葉では、間違って伝わってしまうこともあるが、音は裏切らない。
 受け止め方は違っても、ダイレクトに伝わる。
 音こそ、メッセージなのだと強く感じた。
 いろんな音がいっぱい散りばめられていて、クオリティの高い音で届けてくれて嬉しい。デカい音でヘッドフォンで聴くのが心地好い。リキッドルームのようなスペースで爆音で鳴らして聴くのもいいんじゃない?
 久々に高音質CDで聴ける作品に巡り合えた気がする。

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