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ヘッジファンド「Capula(キャプラ)」の特徴まとめ!

Capula(キャプラ) Investment Managementは、日本人が共同設立した独立系ヘッジファンドの中で、世界で最も成功しているヘッジファンドです。

Capulaは、2005年に、東海銀行(UFJ銀行)でディーラーだった浅井將雄(あさい まさお)氏と、JPモルガンのYan Huo(ヤン・フー)氏が立ち上げた債券系のヘッジファンドです。

Capulaの共同創業者・浅井將雄氏の総資産

浅井氏は、英国の雑誌「THE TIMES」の、英国の金持ちランキング1000人に毎年ランクインしています。

2018年は、536位(推定資産220milユーロ:約308億円)でした。英国に住む日本人の中で、最も金持ちです。

英国では、ヘッジファンドでの成功者も多く、BlueCrest Capitalのマイケル・プラット氏(4200億円)、CQSのマイケル・ヒンツェ氏(1932億円)を筆頭にずらりと並んでいます。

英国ヘッジファンド業界の中では、浅井氏は27位にランクインしています。同じくCapula創業者のヤン・フー氏は、665億円で11位に入っています。

浅井氏の経歴

浅井氏は、1966年生まれ。愛知県一宮市出身です。


1985年に愛知県の滝学園を卒業後、慶応大学に入学。卒業後は、地元の東海銀行へ就職。

当初は営業・融資部門でしたが、先輩の誘いで市場部門に異動。為替ディーラー、日本国債ディーラーを経て、ロンドン現地法人の部門長へ。

2002年に、東海銀行は三和銀行と合併して、UFJ銀行となります。さらに、2006年に三菱東京銀行と合併しますが、合併の前に転職するか、起業するつもりだったそうです。

悩んだ末に、当時JPモルガンで債券のプロップトレーディングチームを率いていた、米国人のヤン・フー(Yan Huo)氏と、14人でロンドンでヘッジファンドを立ち上げることを決意。2005年にCapula Invesment Managementが誕生しました。

現在は、世界中の年金等から資金を預かり、約1.4兆円(2018年)の資産を運用する、世界で最大級の債券ヘッジファンドとなっています。

浅井氏は、現在、Tangentというデザイン会社を経営されるなど、金融以外でも活動されています。

Capulaの概要

Capulaの本社はロンドンにあり、香港、東京、米国にも拠点があります。

メインファンドは、「Capula Global Relative Value Master Fund」です。

その他に、リーマンショックのようなテールリスクが発生したときに、逆に大きく儲かる「Tail Risk fund」なども、金融機関のリスクヘッジ目的として組成されています。

また、2007年には、当時三菱UFJ投信にいた糸島孝俊氏をファンドマネージャーとして、日本株のロングショートを立ち上げる計画もあったようです。

Capulaには、ゴールドマンサックスが20%、三菱UFJ銀行が5%出資していましたが、三菱は2018年に第一生命に株式を譲渡しています。

Capulaの運用戦略

Capulaの基幹ファンド、「Capula Global Relative Value Master Fund」の運用戦略は、「レラティブバリュー」という戦略です。


主に、日米欧先進国市場での、債券、スワップ、為替を使った相対価格の裁定取引により、絶対収益を積み重ねるタイプのファンドです。保有期間は数日~数ヵ月(平均15日)と言われています。

具体的には、イベントなどで一時的に価格差が拡大したときに、「米国債の先物ショート・現物ロング」、「5年債をショート・2年10年債をロング(バタフライ)」などのポジションを取り、価格の平均回帰を取りにいく戦略であり、市場の方向に賭けるタイプではありません。

2013年のインタビューで、浅井氏は、戦略について以下のように語っています。

「目指すのは(価格変動リスクと収益のバランスに着目した)リスク調整後リターンの最大化です。ダウンサイドリスクを避ける傾向は通常の運用者より強い。キャプラも世界中の債券市場とデリバティブの価格のゆがみから利ざやを取る運用スタイルで、ベータ(債券相場の上げ下げなど市場の方向性のリスク)はとりません」

実際、CapulaのGlobal Relative Value Fundのパフォーマンスは、古いデータしかありませんが、創業以来プラスが続いています。圧巻は、リーマンショックの年(2008年)でもプラスという点です。

2006年 17.47%
2007年 18.00%
2008年 9.45%
2009年 12.24%
2010年 9.58%
(出所:Cliffwater)

Capulaの年収・求人

2018年は、共同創業者のYan氏が推定3600万ポンド(約50億円)の収入を得たのではないか、と報道されています。

浅井氏やYan氏など、創業メンバーが年間数十億円の収入を得るのは当然のこととして、こういう会社では従業員も、日系運用会社とは、桁が違う高収入と推察されます。

Capulaのホームページでは、新卒やインターンの他にも、海外拠点の中途採用の求人が掲載されています(2019年2月)

求人の職種としては、デリバティブ系のトレーダー経験者が多いです。

トレーダーの求人

英語ができて、金融業界でトレーディング経験があれば、このようなヘッジファンドに転職のチャンスがあるかもしれませんね。超狭き門ですが。

アセットマネジメント業界の「トレーダーの求人」について、国内最大級のヘッドハンターのインフラサイトである ビズリーチで調べると、例えば以下のような求人があります。

Capulaまとめ

Capula(キャプラ)は、金融業界、特に債券系では有名ですが、一般人の間ではそうでもないと思います。運用畑でも、株の人は知らない人も結構います。

ヘッジファンドというと、マスコミでは「村上ファンド」のようなアクティビスト系ファンドを取り上げて大騒ぎしますが、本物のプロフェッショナルなヘッジファンドは、どんな市場環境でも、静かに、継続的に勝ち続けるよう努めます。

「ヘッジファンド業界で、世界で勝負して成功を収めた日本人がいる」ことは業界の誇りですし、もっと知られても良いのにな、と思ったので、今回まとめてみました。

<出典>
ファンドマネージャージョブネット

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