落合陽一の音響浮揚技術とは?

この動画をご覧になったことはないでしょうか。白いビーズが空中を縦横無尽に動く動画。

落合陽一先生は今ではニュース番組のコメンテーターなどされていますが、本業の研究では、このようなディスプレイ装置を開発されています。

それにしてもこの、ビーズを浮かせて3次元的に操作する技術はどうやって実現しているのでしょうか。
できれば自分でも使えるようになってみたい、と思わないでもないのではないでしょうか。

この技術には、「超音波で力を発生させる技術」が使われており、装置には超音波発生装置のほか、FPGAというコンピュータが使われています。

FPGAは、並列処理と高速な処理という強みがあり、最近ではビットコインのマイニングなどにも使われています。


超音波で浮揚させる技術

浮揚させるためには、磁力など様々な力を使うことができる。落合陽一の動画で紹介されている方法では、空気の圧力を使っています。

空気の圧力とは、つまり音のことです。2つのスピーカーから音を出すと、波が強め合うポイントと弱め合うポイントができます。

強め合うポイントを腹、弱め合うポイントを節と言い、節の部分にものが留まるから浮くという原理になっています。

とくに、圧力のエネルギーが大きいのは周波数の高い音なので、超音波を使っています。(ディスプレイとして開発されたので、人間に聞こえないという点でも超音波が採用されたようです)

この技術のメリットは、超音波発信子に位相差を作ることで波の強め合うポイントを変更できる点です。この特性のおかげで、動画のように浮かせたものを3次元的に移動することができます。


FPGAを制御器として使う

波の節の位置を動かすには、超音波の位相を変えればいいです。 こうすることで動画の通り、浮かせているビーズを移動させたり、配置を変えて模様を作ることができるます。

3次元の音響浮揚装置は、
・超音波素子の数が多い
・制御のスピードが速い
という2つのポイントがあります。

素子の数については、面に配置するために、落合陽一は13列×13列の296個の素子を使用しています。 それぞれの位相を同期させるため、これを全て接続できる制御器が必要です。

また、超音波素子の動作周波数は予め決まっており、40kHzです。

なので制御器は、この周波数の信号を出せる性能がないと行けません。ちなみに40kHzは、1回振動するのに0.000025秒しかかからない、という速さです。

電気回路で作ることもできるのですが、素子296個全てに発振回路を用意するのも大変です。(実際、星さんはArduinoを使って超音波素子の制御をされています。)

なので、40kHzの出力に対応でき、出力ピンが296個以上あるコントローラーとして、FPGAが最適なのです。

FPGAとは

aとb という2つの入力を比較して、同じ値なら1を出力し、違う値なら0を出力するというタスクは、回路的に作ることができます。いわゆるAND回路で、on,of機能がある一般的なスイッチを組み合わせることで作ることができ、クロードシャノンが提唱し、コンピュータの原理になっています。

fpgaでは、hdlという言語でプログラ厶を書くことで、ハードウェア的に回路が切り替わります。 なのでプログラム次第で並列処理をする回路を作ることができます。

特に、たくさんの出力をもつ回路を作りたい場合には、マイコンのような順次処理するハードウェアよりも高速な回路を作ることができます。

そして、このような特性があるため、多くの出力ピンを持つボードが市販されているのも特徴です。512ピンというのもあります。

まとめ・展望

落合陽一の空中にビーズを浮かす技術は、
・超音波による浮揚技術を使っている
・制御にFPGAを使っている
ことを紹介しました。

この技術の展望としては、ディスプレイとしては落合陽一が実装した通りですし、工業的には電子部品の実装で、すべての部品を同時に、ということも有り得るかもしれません。

次の記事では、FPGAの使い方に入っていきたいと思います。


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