【第5回】極めよ、ローカル1800道(仮)|小倉11R 小倉大賞典


このシリーズを初めて第5回となり、第2.3回では降雨による馬場変化に泣く中で、先週の第4回では本命を11番人気の大穴エクロールとし本シリーズ初的中とする事ができた。
今回は小倉最終週の重賞ということで、ローカル開催の終わり、1つの締めくくりとして、普段は本命馬のみの所を今回は全頭診断を行おうと思う。気持ちよく春のG1シーズンを迎える為に予想に全力を尽くしたい。


馬場分析

馬場が回復傾向にあり先週と比べると内が使える傾向にあるが、勝ち馬は4分所を通った馬が多い。外目に進路をとる馬が多い都合上スムーズな進路取りと上位争いにはコーナー部で先団の位置取りが必要。下り坂の存在と馬場傾向からコーナー部でもインが空くので捲り上げてのイン差しも可能。
小倉最終週としては比較的早い馬場水準にあり、早いペースの1800を楽に追走できる基礎スピードが必要。タイムは1:47秒前後で考えたい。

以上の馬場傾向から狙う馬の条件は
1.先行馬orコーナーで位置を上げられる差し馬
2.楽に追走可能な基礎スピード
3.基礎スピードを最後まで持続させるスタミナ

全頭分析

2.カテドラル

基礎スピード ◎
スタミナ〇
位置取り 〇(馬場補正)
基礎スピードはマイルの持ち時計1:32.0が示すようにかなり高い。これに加えて高いコーナリングセンスを持ち合わせているからこそ小倉1800重賞で3回の連帯を果たしているのだろう。ストライドが大きくは伸びないが回転数のある走法が正にこの舞台に適している。スタミナは2000では若干足りないが舞台適性から〇。位置取りもディープモンスターが除外となり、ラチ沿いを確保出来るため不利となることは無いと思われる。
今回の鞍上の齋藤騎手であるが土曜小倉10Rで同じ1枠のタガノバルコスをイン差しで2着に持ってきており、この馬の騎乗イメージを既に持っているはずだ。能力はこの舞台なら今でも最上位だろう。

3.ダンディズム

基礎スピード △
スタミナ 〇
位置取り △
元々中長距離を使ってきた馬だけに基礎スピードは低い。コーナリングは上手いものの基本的に高いスタミナを活かしたロングスパートが持ち味であり、小回り1800mの早いコーナーの流れでは追走に脚を使う分もあり位置を上げることは出来ない。実際去年の小倉大賞典でも馬群が外に大きく膨れた分もあるが殆ど位置を上げることが出来ていない。テンが遅い以上後方からの競馬を余儀なくされるため、位置を上げるにはイン突きが必要となるがそれでも先行馬及び他の差し馬に先着できるイメージは沸かない。

4.アサマノイタズラ

基礎スピード ✕
スタミナ 〇
位置取り △
中距離馬。基礎スピード低く追走に脚を使うため差せない。

5.クリノプレミアム

基礎スピード 〇
スタミナ 〇
位置取り 〇
ローカル1800では間違いなく最強格の1頭である。
マイル重賞の京成杯AHで好走できる程基礎スピードが高くこのメンバーの中でも上位の基礎スピードを持つ。ただ、超高速馬場に対応する程の基礎スピードは無いため多少荒れた状態の馬場が向き、加えて高いコーナリング性能を持つ為ローカル条件が最も合っている。
また、スタミナも2000m重賞の中山金杯で攻走しているように高い水準にある。

能力の割に馬柱が乱れているが、それには敗因がはっきりしているレースが多い。去年1月の中山金杯から前走まで全て敗因を説明していく。
東京マイルでの2戦は最も敗因がはっきりしている。それはこの馬の明確な弱点であるTSの低さである。TSが低いため好位を取る事ができても直線の長い東京マイルでは必然的に敗北してしまうのだ。
去年の中山金杯の敗因は内枠から先行した事で直線で詰まり追い出しが遅れた事だが、これが逆に能力の証明ともなっている。実際にもラーグルフとはハナ差であったがもしスムーズであれば本来の早め先頭から粘る形で明確に勝利する事ができたであろう。この馬から話はずれるが中山金杯を買ったラーグルフは次走中山記念(直線短いし実質ローカル1800)に出走。G1馬も含む重賞馬多数に対して0.1秒差の2着と好走した。ここで考えるのがもし、この中山記念にクリノプレミアムが参戦していたらということだ。クリノプレミアムは基礎スピード優位な馬であるのでパフォーマンスとしては1800m>2000mである為、中山金杯よりもパフォーマンスを上げることが予想出来る。中山金杯でのパフォーマンスがクリノプレミアム>ラーグルフだった以上、この超ハイレベル実質ローカル1800重賞の中山記念をクリノプレミアムは理論上勝てたはずなのだ(極論)
よって評論冒頭のローカル1800最強格の1頭と評する事が出来る。
次に中山牝馬Sでの敗因であるがそれはこのレースのラップ構成にある。ラストが11.2-11.3となっている為、クリノプレミアムの弱点であるTSの低さがここでも露呈した形となる。
福島牝馬Sはストーリアの捲りが入った事で最速ラップ区間が6-8F区間の11.6-11.6-11.6となったため、早々に脚を使わされた先行馬にはかなりの負荷がかかった。そんな中で先行馬の中で唯一タイム差無しの3着に粘ったクリノプレミアムを賞すべきレースだ。
ターコイズSの負けは大外枠からの出遅れで先団に付けることなく、外外を回す高速中山マイルで最もやってはいけないことをしての負け。
今年の中山金杯の敗因は3つある。1つは内枠から好スタートを切り上手く先行する事ができたが外枠からボーンディスウェイ、ホウオウアマゾンが切れ込んだ事で位置を悪くし結果的に中団の位置取りとなった事。2つ目は内枠が災いし詰まった事。3つ目はラスト2Fが11.4-11.7と中山重賞では比較的早いラップ推移となった為、中団からの差しにTSが求められた事だ。瞬発力勝負が得意なリカンカブール、ククナが上位にいる事からもそれが分かる。参考に去年の中山金杯では11.4-12.5と大きく減速する形を取っており、今年と比べるとTSが求められないラップ構成であり進路が空いてからの伸びに差があるのがこの点にあると分かるはずだ。

今回は直線インを空けての攻防となる為中山金杯のように詰まってコーナリング性能が活かしきれず負けることも少ないはずで、位置取り等この馬の強みが最大限に活かされるレースとなるだろう。

6.アドマイヤビルゴ

基礎スピード 〇
スタミナ ▲
位置取り ▲
基礎スピードは高い。好走した時は楽に先行できた時でテンの速さ自体はそこまで。若駒の時は2000をこなしていたが古馬重賞となってからは振るわない。両隣に早い馬がいるので位置取りは先行~中団となるだろうが、器用さに欠ける馬なのでそこから脚を使えるイメージは無い。

7.アルナシーム

基礎スピード ◎
スタミナ ▲~〇
位置取り 〇
基礎スピードはメンバー中1位をセルバーグと争うレベルで高い。スタミナ面ではケフェウスSでの敗戦が気になったが1600m通過が1:32.5でラスト2Fが12.4-12.3と前が残る訳がないラップ構成なので参考外でいいだろう。函館記念では大外から5番手追走。外外を回して2着~5着までと0.1秒差の6着はスタミナ面での裏付けとして評価できる。
テンもかなり早く好枠から楽に位置が取れそう。
基礎スピードがかなり高い故にこの馬場での追走で無駄にスタミナを消費しないかが鍵だが、高いスピード故にハマったら突き抜けそうなのもこの馬であると思う。
前走の敗因は1F区間で接触し悪くなった位置取りを取り戻そうと2~3F区間で脚を使ったが先行できずスタミナを消耗した点にある。

8.フェーングロッテン

基礎スピード ▲
スタミナ 〇
位置取り ▲
基礎スピードは中距離馬なのでそこまで高くない。スタミナ面は2000m重賞で好走しているようにある。テン自体はマイル路線の延長馬等と比べるとそこまで高くなく、近走先行出来なくなっている点からも不安要素の方が大きい。ラジニケのような走りが出来れば今回も通用するかもしれないが、先行力とは積極性でもあるので去勢で気性が落ち着いた事で先行できるようになるとも考えられない。不安要素がありながら1桁人気の馬なら嫌いたい。

9.セルバーグ

基礎スピード ◎
スタミナ △
位置取り 〇
基礎スピードはかなり早いが超高速マイルに対応出来るほどではない。少しでも負荷がかかると垂れてしまうのでスタミナには疑問が残る。唯一勝利した1800も51㌔の低斤量を活かしての逃げであり、負荷のかかる競馬とは言えない。総じて1800mへの延長には疑問が残る。
テンはこのメンバーの中でもかなり早く逃げるのはこの馬だと思われる。

10.マイネルファンロン

基礎スピード △
スタミナ 〇
位置取り △
中距離馬なので基礎スピードは遅い。スタミナ優位のバテ差し型なので最終週とはいえ今回は必要ないと思う。

11.ロングラン

基礎スピード ▲
スタミナ 〇
位置取り △~▲
基礎スピードは水準レベル。中距離馬なのでスタミナはある。位置取りは近走出遅れがちなので取れないと思った方が良い。どちらかと言えば機動力よりも瞬発力に優れたタイプなので基本的にコーナーで位置を上げられないと考えた方が良い。三木特別の走りが出来れば通用するが近走の位置取りと出遅れ癖から期待しない方が良いだろう。
去年の4着も重馬場によってスタミナ優勢のバテ差し型で来たという感じなので現状の馬場だとあまりそれは期待できない。
来るとしたら丹内のイン突きだが現状の4番人気を考えるとあまり買いたくはない。丹内が完璧に馬場読めてると判断するなら買っていいかとしれない。

12.エピファニー

基礎スピード 〇
スタミナ ▲
位置取り ▲~〇
基礎スピードはまぁまぁ高い。スタミナは負荷のかかる2000で通用するかどうかという感じなのでそれなり。TSの持続があまり長くないタイプなのでローカル替わりは良いはず。テンは割と早いので位置取りは枠の分と騎手の戦略次第。追走の中で上手く足を貯められるかどうか。買うけど人気程能力は無いと思う。

13.イクスプロージョン

基礎スピード ▲~〇
スタミナ 〇
位置取り ▲
基礎スピードは関越Sのタイム及び三方ヶ原Sのレコード決着を先行して2着の結果から高いと思う。基礎スピードを持続させるスタミナはある。テンの早さはまあまあ。前走マイルを使った分位置を取れればという所。
この馬の1番の議題は右回りがどうかという所だが今回私は右回りは走れるという方に賭けたい。この馬が右回りを使ったのは新馬、未勝利の3戦と函館記念の1戦。どれも負けているが右回りがダメということにはならないはず。
新馬はありえん出遅れから外外回しただけ。
未勝利3戦目は距離不適。
函館記念は1番という極端な枠の後方から外を回した分。
なんで外回したん?って言われたらさぁ?って感じだが、2戦目の未勝利では悪くないコーナリングを見せている。なぜ負けたかは多分前期トニービンの後脚未発達による粘り負け(ex.イクイノックスの皐月賞)みたいな感じだと思う。
この馬はオルフェーヴルの持つノーザンテースト5×4に加え母母母父にトニービンを有しているので、初勝利が5月の未勝利ということから分かるようにhyperionらしく非常に晩成という事だと解釈できる。
元々オルフェーヴル産駒はラッキーライラック、ウシュバテソーロ、今レースのクリノプレミアム等非常にコーナリングが得意な馬が多い。この馬も中京の下り坂コーナーで位置を上げる等左回りでは高いコーナリングセンスを見せている。今までの右回りの負けも言い訳が効くため、小倉のコーナーで見事なコーナリングを見せてくれるかもしれない。

14.ゴールドエクリプス

基礎スピード 〇
スタミナ ▲~〇
位置取り ▲~〇
紫野特別のタイムから基礎スピードはある。高速2000のみでギリギリ通用するスタミナはいかにも1800質という印象を受ける。テンの速さは2走前が非常に早く数字上では楽に先行ができる。ただ、角田大河騎手はどちらかというと前に馬を見ながら進めたい騎手なので先行せず差しに回る事も考えられる。
ここ最近のテンの速さはトニービンの充実期という印象を受ける。先行しても粘り強さを見せるだろうが、差しに回っても馬場読みが得意な騎手なので格好はつけてくれそう。

15.ホウオウアマゾン

基礎スピード ◎
スタミナ ▲~〇
位置取り 〇
基礎スピードは元々1400~1600を走っていただけあってかなり高い。スタミナも前走の0.4秒差5着で示したと思っている。クリノプレミアムの項で述べたように中山金杯は前受けには不利なラップ構成であったためこの馬も今回パフォーマンスを伸ばしてくると考えられる。
マイルで通用するスピードを持つ馬が2000mを走れる場合大体1800mでかなり強い(サリオス、ダノンザキッド等)のでこの馬も1800m、特に上がりが求められないローカル1800では高いパフォーマンスを示してくるのでは無いかと考える。テンは勿論早いので如何に道中ロスなく運べる位置取りが出来るかが今回のポイントとなる。大外枠で求められるものは多いが馬場がかなり読めている印象の佐々木騎手は心強く是非とも頑張って欲しい。

16.シフルマン

基礎スピード△
スタミナ ▲
位置取り ▲
基礎スピードが足りないので追走でバテる。短縮大外はキツい。

馬券候補絞り込み

全頭評価から1つでも△の項目がある馬、地力が足りないと思われる馬を除くと

2.カテドラル
5.クリノプレミアム
7.アルナシーム
12.エピファニー
13.イクスプロージョン(ロマン枠)
14.ゴールドエクリプス
15.ホウオウアマゾン

この7頭が馬券候補。

以上で選んだ7頭に個人的な能力適性評価を加えて印を打つと

◎5.クリノプレミアム
〇2.カテドラル
▲7.アルナシーム
△15.ホウオウアマゾン
△14.ゴールドエクリプス
△12.エピファニー
💣イクスプロージョン💣

となる。イクスプロージョンはどうしても大穴を買いたくて仕方がない人間向けです。

ここで打った印はまだどのような馬券を買うか考えていないので前日段階での評価として受け取って欲しいです。当日の馬場状態の変化等があればまた追記します。
長々とした文章をお読み頂きありがとうございました。

レース回顧


セルバーグが離した逃げを打ったことに加え、ホウオウアマゾンの落馬によって番手のフェーングロッテンの直後に空馬が続いた事で馬群の間が更に空くことなった。実質的には逃げたセルバーグに3番手以降の馬群が離れて追走する大逃げの形。この隊形と馬場の早さ故に台頭したのは基礎スピードの高さに加えて高い瞬発力を有する1着エピファニーと2着ロングランであった。それ以外の馬は元々ローカル開催の重賞だけに瞬発力を欠く馬が多く5着以下は僅差の競馬となった。

本命クリノプレミアムだが分析でも述べたようにトップスピードに欠く馬であり瞬発力が求められた今回は全く出番がなかったと言っても良い。それでも6着に来たのは個人的には驚きの内容でありこの馬の強さを再確認する事となった。この展開でベストとなるポジショニングは本来フェーングロッテンの後ろで、そこから早めに仕掛けて脚を伸ばす形であればまだ勝負となる可能性はあったが空馬の存在がやはり大きかった。タイムは早かったものの同じ1:45.1で走破した府中牝馬での負けもトップスピード不足と捉えられるので、前述の理想のポジショニングが出来ていれば対応できた余地は残されてはいたと考える。
総じて能力が発揮される展開になかったため、適性に合った舞台ならまだ戦える能力はあると個人的には考えている。諸々運が悪い一戦であった。

アルナシームに関してはモーリス産駒全般に言えるがストライドは伸びるためトップスピード及び基礎スピード自体は高いものの、後脚の硬さがあるため急激なギアチェンジ戦となると、直ぐにはストライドを伸ばせないことによる踏み遅れか、急激に伸ばしたことによるオーバーヒートのような現象で脚が持続しないかといった事が起こるので総じて他馬に対して末脚で負ける事が多い。今回のレース質に近いのが2022天皇賞秋のジャックドールであり、こちらもイクイノックスやダノンベルーガといったギアチェンジに優れた馬に負けているのが分かるはずだ。トップスピード自体は高い為末脚があるように思われるが、それを使うためには城崎特別や瀬戸内特別のように早い流れの中で先行し脚を持続させることが必要となる。今回アルナシームはエピファニーの1列前で競馬をしていたが後方集団がギアチェンジ戦となった事で、前述の弱点が露呈しエピファニーやロングラン対して末脚で劣ることとなってしまった。もし空馬がおらずフェーングロッテンの真後ろか横を追走する事が出来ていたら、走破タイムとこの馬の基礎スピードからして勝っていたのはアルナシームだと確信している。

カテドラルはイン突きしていたらまだ可能性はあったかもしれないが、大外を回すあの距離ロスがあってはまずチャンスは無かった。

ゴールドエクリプスの敗因はよく分かんないので誰か考えて。

ロングランは分析でも述べたように瞬発力が持ち味の馬という事で持続力戦においてはまだ能力を疑問視したいと思う。前走のように中山とかなら強いはず。

3着のセルバーグは高速マイルでは能力の限界が見える中で多少荒れた馬場でも持ち前のスピードを活かしての今回の逃げは見事な戦略であったように思う。中京記念も荒れた馬場の中ただ一頭最後までスピードを持続させて逃げ切ったように、馬場状態によらないスピードここがこの馬の強みなのかもしれない。

今回自身が想定していた1:47.0前後決着の中速ラップが持続する形とは全く異なるレース質になった事が外した主な要因である。
何が起こるのか分からないのが競馬というのを実感させられた1戦であった。
悔いのない予想はできたので、今後もそれがハマってくれるのを待つしかない。

末端アカウントの駄文と予想にお付き合い頂きありがとうございました。

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