エイシンスポッター考


エイシンスポッターについて語ります。

・左回りの癖

エイシンスポッターの父、エイシンヒカリのレースといえば外ラチへの大斜行をしたアイルランドTが有名ですね。この斜行癖についてですが、面白いことに産駒にも少しだけ受け継がれているようで、21年ローズSのエイシンヒテンはコーナーでも左に手綱を引かれ直線ではどんどん外に張ってしまっています。エイシンスポッターについてもこの癖が多少あるようで、基本的に内への意識が強いこの馬ですが中京での4戦はいずれも大外を通る形となっており、左回りのコーナー・直線で外に張るこの癖の影響が出ているのだと考えられます。
この癖から左回りよりも右回りの方がこの馬には合っているのでしょう。

・この馬の武器

次にこの馬の強みをそれがよく現れてるレースとともに説明します。レース画像等は用意できないので各自で確認して頂けたらと思います。

1.操縦性の高さ&瞬発力-小倉1勝クラス

内に進路を切り替えて詰まったのを更に内に切り替えての勝利です。追い出してからの反応の早さと狭い馬群の間をものともせず割っていく馬の賢さ、騎手の判断力が光る1戦でした。
ちなみに瞬発力の意味は人によって使われ方が違いますが、自分はこのような瞬時にピッチが上がる馬のことを瞬発力のある馬だと思っています。

2.コーナリング性能-宗像特別

コーナーで11.3-11.2のラップを刻み、外が伸びていたのもあって各馬が外に膨れる中、道中13番手から内を通っての勝利。荒れていた内に進路を取る判断力とそれを可能にしたコーナリング性能が光る1戦でした。他のレースでも内にこだわった位置取りとコーナーリング性能によって、外を通った馬に対して相対的に位置取りを上げることで差しを可能にしているレースは多く、通常外目に付けてよりスムーズに進路を確保することを優先する普通の追い込み馬とこの馬では性質が異なることが分かります。またそれを可能にする操縦性と瞬発力があるからこそ取れる戦法です。

3.勝負根性-ファイナルS

ヨシノイースターとの追い比べを制しての勝利。このレースに限った話ではありませんがこの馬、隣の馬との追い比べに負けたことがありません。負けたCBC賞でも隣にいたディヴィナシオンには途中脚色で劣ったように見えたものの最後クビ差先着しているのが流石という感想を覚えました。

操縦性の高さ、瞬発力、コーナリング性能。馬体にはそこまで明るくありませんが、これらの強さは肩から前脚に掛けての筋肉の発達によるパワーと脚の回転数、後ろ脚の柔らかさから来るものでしょう。鞍馬Sの勝ちが示すように柔らかい馬場ではそのパワーが存分に生かされており、重馬場への適性がかなり高いことが伺えます。
個人的には左回りは苦手であるものの高松宮記念に出ていた場合勝っていたのはこの馬だと思っています。

・前走の敗因は

CBC賞の個人的には前が止まらなかったというのもありますが、直線でマークしていたのがマッドクールだったのが大きいと思います。1度負けた相手でもありますし、角田大河騎手のイメージではマッドクールがそのまま伸びていくことを想定していたのでしょう。ファイナルSのように付いていって最後で交わすことを考えていたのだと思いますが、マッドクールは伸びなかった。個人的には負けたものの、伸びないと判断した後の外への切り替えの判断が早いのがやはり上手いなと感じました。彼はダートでは積極的に前を狙いますが、芝では位置をあまり狙わず人気馬をマークして競馬をするのが多いのは覚えていても良いですね。その分直線でのどこに進路を取るかの判断は上手いと思います。その判断が裏目に出たレースでした。

・阪神代わりは

中京から阪神に変わるのもかなりのプラスと言えます。中京ではスタート直後の坂から直線半ばまでずっと緩い下り坂ですが、阪神では3コーナーから下り坂となりこの馬の仕掛けのタイミングとより合致する形となっているのかなと思います。5勝のうちの4勝が3コーナーから下り坂が始まる小倉、京都、阪神での勝利なのもコース相性を証明していますね。

・まとめ

この馬は数字上の印象から展開待ちと言われがちですが、上述の強みにより大外一気とは違う競馬ができるので右回りではあまり展開を気にするタイプの馬ではないと思っています。
好きな馬なのであまり印象だけで語って欲しくないなと思って書いたので、個人的なこの馬に対する考え方ではありますが、皆さんのエイシンスポッターに対する捉え方を深められたらなと思います。
エイシンヒカリ産駒が少なくなるエイシンスポッターには頑張って欲しいですし、角田大河騎手は言動が鼻につく所はあると思いますが腕は確かな騎手であり、最高のコンビなので是非応援して貰えると嬉しいです。
冗長な文章にお付き合い頂きありがとうございました。

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