旦那が死にかけた話②
続きです。
というわけで、ガチで三途の川を渡りかけ、棺桶に片足どころか半身浴ぐらいはしていたであろう旦那。
そもそも超ラッキーが重なって生き延びました。
まず、普段現場と現場を一人運転で移動している事が仕事の大半の旦那が、たまたま人のいる現場で倒れたこと。
運転中なら確実に死んでただろうし、最悪他人を巻き込んで死んでいたかもしれません。
また、誰もいない現場も多く、一人で倒れていた場合も間違いなく翌日の遺体の発見ルートしかなかったでしょう。
そして、倒れた地区も良かった。基幹病院がそこそこ近い。そして、ドクターカーでの搬送だったこと。
ドクターカーは普通の救急車とは違います。一刻も早く高度の医療処置を開始するため、医師、看護師、救急救命士等が同乗し現場に出動する緊急車両です。つまり、救急車が到着した段階から診断や処置が始まる。
そんな多くのラッキーが重なり、生き延びました。
さて、大動脈解離とそれに伴う下肢や腸の虚血の緊急手術は無事に終わりましたが、あくまでも命を繋ぐ緊急手術です。
手術の翌日に麻酔を弱めて目が覚めるのか?という事は行い目は覚めた、という話は前回書きましたが、人工呼吸器に繋がっているため、基本は薬で眠っており意識はありません。いわゆるあのドラマで見るような『シュゴーシュゴー』『ピコーンピコーン』という状態ですね。
前にも書きましたが医師にも看護師にも
「この状態の旦那さんを見て取り乱さない人はあまりいないです」とか言われてましたw
コロナ禍対策で面会は禁止なのですが、緊急入院緊急手術だったため、特例で何度かICUに行くことは出来ました。また、医師の説明や何かで行く時も許可があればICU内に入ることは出来ました。
15歳以上であれば、説明のタイミングに面会しても良いですよ、と言われたので、旦那が倒れた10日後。旦那の誕生日に長女と長男を連れて行ってきました。
誕生日ですからwww
ラッキーで生き残ったんですから、全力で祝わないとwww
もちろん、看護師にも医師にも
「これ付けて写真撮って良いですか?」と聞いて許可とってます。
あとから旦那に見せたら
「何をしてくれてんの?!」と呆れ気味でしたがw
看護師とは麻酔を弱めた時には多少の意思疎通が出来ている、と聞いてはいたのですが、私は結局ICUにいる期間で意思疎通が出来た、と思った瞬間は一度もなかったですね。
よく見るような
「○○~!!聞こえる~?来たよ~?頑張ってねぇ」みたいな事は一度もしませんでしたし。なんかそこに吹っ切れないというか。この状況で何を言ってるんだ?と思われるかと思いますが、正直そんなん小っ恥ずかしい。看護師さんはやってました。なのでおまかせしました。どうせ覚えてるとは思えないとかいう冷たい考えでしたね。
ちなみに、もちろんこの誕生日の時も『シュゴーシュゴーピコーンピコーン』状態です。麻酔弱めて自発呼吸出来るか機械で呼吸させるかを見ていく過程で、人工呼吸器の挿管が辛いらしく、定期的に苦しそうな表情を浮かべてはいましたね。まあ、挿管がつらいと感じるのも生きてる証拠って感じで。動きがあるだけ進化だなぁと私は思って見ていましたが、長女はそれなりにショックではあったようです。多分、それが普通です。
その後、まずは人工呼吸器が外れないことには一般病棟に移る話にもならず、な訳ですが、なかなか外れませんでした。自発呼吸を補助するモードにしたら呼吸を忘れてしまうこともあり、通常モードに戻しました。とか報告もらって。
それから、足ですね。
病院に私が着いた段階でも聞こえた旦那の声は
「足が痛い!!」
だったのですが、緊急手術後ICUに入って少し経ってから。
左足の虚血時間が長かったため、運ばれた時は足の切断もほぼ確と言われていて、緊急手術が終わっても左足は冷たく、ダメかなーって感じだったんですが、数日経つと血流も回復。一旦切断の危機は逃れたのですが、筋肉の一部が壊死していて、中で腫れてしまい他の組織を圧迫している、とかで、
「とりあえず、腫れが治まるまで足を切って開いたままにする」という処置をしました。
言ってることとかそれをやる理由は理解出来たんですが、切って開いたまま、とはいったいどういう状態なのかは想像できなかったですねw
あとあとになって写真見ましたが、まあ書いた通り。聞いた通り。想像してもらえばって感じでした。
切りっぱなしの状態がどれくらいだったのか?もう忘れましたが、その処置をして少し腫れが治まった頃に今度は壊死した組織を除去する、デブリードマンとかいう手術をしました。
筋肉や腱の一部を切除してしまうため、下垂足の状態になります。歩くには、装具が必要になりますが、この先切断なども考えられますので、まだ買わない方がいいです。などと説明を受け、また手術同意書を書き、手術前日に麻酔の説明と同意を書き、当日はまたカチカチの肘掛けのソファーしかない待合室で何時間か待ちました。
ちなみに私的にはその手術の説明をしている整形外科医がダイタク拓さんに何となく似ていて、深刻な説明をしていたのですが、途中から面白くなってしまったwま、マスクしてるんで目元だけの印象ですけどねw後日全顔出しの状態で見たら、たいして似ても無かったですwww
手術の結果としては
「開けてみたら思ったよりきれいだった」
「ホントにちょっとしか切除してない」
とのことで。医者の説明はいつでも『最悪の事態』だよなぁと思いました。
それでも『下垂足』『装具が必要』は確定でしたけど。
そもそも、意識がちゃんとしていないので、左足は余り動かせないと言うことはわかっているのですが、どこから動かせないのか?ももか?膝か?足首だけか?はたまた腰からか?もわからず、それによって先のことも全く違うので本当に何もわからなかった。腰からダメなら座れないかも、とか。ももからなら歩けないかも、とか。
なので、いつまでもなにもわからず、基本的な『本人の自己治癒力とお医者さんに任せるしかない』というスタンスであいかわらず淡々としてました。
さて、旦那が突然倒れて、とにかく困ったことは
「スマホのロックが解除できない」でした。
「あなたのスマホの中身に興味は一切無いが、何かあった時に困るから、どこかにパスワードは書いておいてくれ」と言ってあったのですが、どこにも書いてない。
仕事関係の連絡がわからない。かかってくる電話に出るしか出来ない。本当に困って。看護師とは意思疎通が出来ていると聞いたので何度か
「困っているのでスマホのロック解除パスワード聞いて下さい」と頼み、看護師さんも何度も聞いてくれたのですが、看護師曰く
「会話できるんですけど、それを聞くと首を横に振ります」とのことwww
そこまでして知られたくない何かをスマホに隠してるのか!とマジで笑いました。
死んでも見られたくないものがあるのなら仕方ないですが、誰かにはパスワード教えておいた方がいいよな・・・と私は思います。
ちなみに私のスマホは子供たち全員パスワード知ってるんで開けられます。見られたくないメモとかはロックかけてるかな。
あとは、困ったことではないですが、旦那に普段はたいしてLINEすることも無いけど、入院して何日後から、家に置いてある旦那のスマホにどうでも良いことをLINEしていました。どうでも良い事は、わざわざあとから話すような内容でもないし、あとから話してもおもしろくないし、忘れちゃうし。あとはそんな状況でも推し事したい私は、あれに行きたい、これにも行きたい、よろしく。行けるような状況になったら行くぞ!と勝手な報告を送りつけておきましたwま、ワールドカップの優勝国も知らん、浦島状態ですからね、旦那の目が覚めた時、見て面白ければいいなとw
そんなこんなでクリスマスの頃。もう辛そうなので月曜日には挿管を抜きます。抜いてみてダメなら気管切開します。と言われました。
確かにうっすら意識のある中の挿管は辛そうだったので、気管切開も有りだなぁと思ってました。
が、その連絡をもらった翌日の金曜日。
「なんかイケそうだったんで抜いちゃいました」と連絡。
「でも、飲み込みの練習とかしないとすぐには一般病棟には無理だと思います」とのことだったのですが・・・その日のうちに普通に飲めたとか何だかんだで、抜管から二日後には一般病棟に移動になり。そこそこ普通のご飯食べてました。
やっぱり、体力お化けだったわ・・・
記憶は色々と混同していたり、声は出しにくかったり、体重は20キロ以上落ちたりしてましたが、三途の川の縁から、戻ってきました。
続きます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?