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母の日。

拝啓
母上様

新緑したたる季節を迎え、ますますご清祥にお過ごしのことと存じます。
しかし小諸は朝夕まだ肌寒く、厚着が手放せません。

この地唯一の造り酒屋に婿入りしてはやニ年。
思えば一年目は結婚式もそこそこに蔵入りし、日々の酒造りに忙殺され、父母様とも疎遠になりましたこと申し訳ありませんでした。
ようやく今期の造りも終わった母の日の今日、仕事にも余裕がみられてきたので筆を取った次第であります。

思えば突然の結婚報告、かつ酒蔵に婿入り!さらに長男が!というジェットストリームアタックに我が家が鳴動した日々、なつかしゅうございます。
「花のお江戸でシティボーイよろしくエンピツより重いものも持ったことない貴方に何ができるの?」とずいぶんな言い回しでご苦言いだきましたね。

ご案じくださいますな。

確かに一年目は洗米後の水切り作業による膝捻挫、両手腱鞘炎になりましたが、さすがに二年目は社長(義母)と杜氏(妻)が脱水機を導入して下さり、両手で米袋を振らなくても安定した吸水率と身体の安寧を得ました。
また二年目には一年目には見えなかった造りの全体的な流れやそれに対する課題に向き合ったり、事務や営業を学んだりとなんだかんだで楽しく仕事をしております。
さらに夜は外でも家庭でも利き酒をして義母様にも「毎晩毎晩ホント勉強熱心ね〜(棒」と感心されております。

かくして愚息は酒造りという過酷であり、その数倍魅力的でもある日々を過ごしております。
ほかにも蔵での日々を伝えたいことはございますが、また他日。長々と失礼しました。
お身体ご自愛ください。

小諸より愛を込めて。
放蕩息子


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