8月23日

タオルケットに包まって小説を読んでいたらふと春の宵が恋しくなったので、ネットで「春の午後六時」を注文した(『箱男』と春の宵との相関性についてはまったく分からない)。フミちゃんに教えてもらったサイトには、他にも「秋の午前九時」だとか「冬の午前六時」だとかの魅惑的な品々が取り揃えられているからいけない。実際に店で気になる品物を見かけたとしても、手に取ってしげしげ眺めてさんざんっぱら頭を悩ませている内に何がなんだかよく分からなくなってしまいまた今度改めて買いに来ようなどと考えて品物を置いたもののやっぱり気になって引き返す……ということをよくやるくせに、ネットでは妙に潔く買い物をしてしまう。たぶんこれは自分とモノとの距離感をうまく掴めていないが故のことなのだろうな。他人の事のようにポコポコと買い物をするのは楽しいけどやっぱり困る。そういうわけで結局私は冬の夜明け前も購入した。お急ぎ便で頼んだから多分明後日の朝方には届くだろう。

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