3月19日

ジミ・ヘンドリックスとお茶漬けをたべる夢をみた。

つい二日ほど前にバイト先の後輩が彼の大ファンだと言っていたことを思い出しながら、おかわりどうしますかと尋ねてみる。するとテーブルの向こう側の彼は、深くうなずいて、市松模様の、すごくおおきなお茶碗を静かにこちらに差しだしてきた。梅干したべますか、と続けてきいてみると何もいわず首を横にふった。
夢のなかのジミ・ヘンドリックスはその後九杯お茶漬けをおかわりした。わたしもつられて五杯ほどたべた。お茶漬けをたべながら、わたしたちはフラメンコの話でおおいに盛りあがっていたように思う。
いい天気だった。窓の外をマルゲリータピザの群れが横切っていったけれど満腹だったので見逃してやることにする。窓ぎわにすわるジミ・ヘンドリックスの輪郭が陽の光でぼうっと浮きあがっていた。
ギターの神様。ロックンロールの伝説。老人の記憶をそっくりもった子どものような眼差しで、空っぽになった炊飯器をじっとみつめる光景に覚えた既視感の正体がそのときわたしにはわからない。わたしが風呂場で金魚を洗っている間に彼は姿を消していた。

目が覚めて、フミちゃん(同居人)とふたり朝のニュースをながめている最中にそうだあれはいつかみた年寄りの象の姿に似ていたんだとようやく気付いた。

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