弱い繋がり

自分の身に置きかえれば分かるように、家族であってもひとつの正しさを中心としてまとまるということは難しい。

長い時間形態を変えながらも保たれる関係性の中心に据えられているのは、正義や問題意識といった意識高い系の好む主題ではなく、子供や年老いた両親や祖父母といった弱者の存在であり、実は不自由な存在を抱えるからこそ人は不形態的は関係を適正なサイズで持続することができる。

それは人間関係においては問題解決を迅速に合理的に行うことが、最良の一手ではないことを意味している

複雑に絡み合った糸は、別に丁寧に解かなくても、ハサミで切って新しい糸に取り替えたらすむかもしれないが、その実、糸の結び目のような機微な部分にこそ営みの本質は存在しているのだ。

しかし、多くの人々は善意から複雑なものを、簡素で取り替えのきくものと入れ替えてしまう。

そうしてある時に気がつく。

自分が大切にしたかったのは不自由で不格好な関係であって
簡単に割り切れるようなドライな関係ではなかったことに

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