#朝活書写 No.1698

『高野聖』泉鏡花
#朝活書写 No.1698
#朝活書写_1698
2024.06.04

その時裏の山、向うの峰《みね》、左右前後にすくすくとあるのが、一ツ一ツ嘴《くちばし》を向け、頭《かしら》を擡《もた》げて、この一落《いちらく》の別天地、親仁《おやじ》を下手《しもて》に控え、馬に面して彳《たたず》んだ月下の美女の姿を差覗《さしのぞ》くがごとく、陰々《いんいん》として深山《みやま》の気が籠《こも》って来た。

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