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レジデンス日記③浅川奏瑛四季シリーズ Spin-off 冬-デイサービス楽らく-

11月27日(月) 晴れ
中曽根内閣発足の日

今日から数日間、デイサービスに泊まり込む。

関係ない話になるがここのところ、ずっと調子が悪い。2週間前のギックリ腰は永遠に痛いし、一昨日は熱も出た。原因わからず…。
母に相談したら利用者さんに若さ吸い取られてるんじゃない?と笑。冗談半分で話聞いていたけれど、滞在3日目でMさんに「あなたが来たおかげでなんだか若返った気がする。肌ツヤも良くなったよ」と報告を受けた。若さ吸い取られてる。…皆さんの健康が1日でも続くのであれば、このカラダあげます🙌

今日は珍しくメンズが3人いたので隣同士だったOさんとHさんの所へ。
Oさんは前にもいて、ずーーっと机にかじりついてガシガシ絵を塗っていて話しかけに行くのを躊躇っていたけれど勇気を出して話しかけてみた。ものすごい筆圧で余白なく色を埋めていた。Oさん、3ヶ月前に脳梗塞で倒れて右半身が麻痺してしまったらしい。本当は右利きだけどこの施設に入って左手で何でもできるように練習しているんだって。
すごいな。左手からの生命力を感じた。
隣のHさんはあまり絵が得意じゃないと、気の乗らない様子。私が絵を選んであげて、ピンクで塗って欲しいなと言っても、うーーんと唸ってしまったけれど、15分後くらいにチラッと覗きにきたら塗ってくれていた。大好きだったじいじに似てる。
手先の器用なTさん、着ていたニットは自分で編んだそう。Mさんが手を握ってお話ししてくれたのは疎開中の話。昔疎開していた山梨の山にこの前行って、色々と思い出したそう。辛かったという話は一度も出なくて、皆んなと仲良く遊んだ話をいっぱい聞かせてくれた。マスクの柄を自分で刺繍したというYさんはマメに手帳に予定を書き込んでいた。びっしり予定が詰まってる…!アコーディオンやピアノ、歌もやる音楽の人で去年は発表したんだそう。
1月の2回目のレジデンス期間で一緒にセッションする約束をした。
Yさんのお隣は、なんとなんと大正生まれのUさん。押上で生まれて関東大震災、東京大空襲、二・二六事件の日も覚えていると。脳梗塞で2回倒れていて今は指が3本しか動かないらしいけれど本当にお元気で、上品で素敵な方。月曜日しか来ないから、来週またたくさん話そう。

帰りは柳のおじさんの車で利用者さんを送りに行った。他のアーティストはどんなふうに過ごしてたの?と聞くと、「お前はお前のやり方で過ごし方でいいんだ。誰かを参考にしたらつまらないだろ」とピシャリと言ってもらった。
そうだよな、私は私だ。ありがとう。
澄んだ空に、滲む赤と車のテールランプ。

利用者が帰り空っぽになったデイサービスは不思議な温もりと寂しさが入り混ざる。職員さんは明日の利用者さんの名札をテーブルに並べ、色鉛筆を削り、玄関壁面のクリスマスの飾りを作っている。
部屋を掃除するルンバが私の友達になりそうな気配。

耳から離れない楽らくのテーマソング。私の自己紹介も兼ねて朝の会で踊ろうかなと提案した。職員さんとっても喜んでくれて、早速振り付けを考え始める。本当に実現する…かな?
歌詞に出てくる都幾川と箭弓神社、行かなきゃ。

ベルクまで歩いて、食材を買った。ネギと玉ねぎと卵と色々。麺つゆと白だし買うの忘れた。
あとポン酢もあったらいいよね。あとキッチンペーパー。ベルクから施設まで10分。カラフルな懐中電灯をピカピカさせて真っ暗闇を帰る。怖い。
施設に戻ると電気が消えシーンとしていて、全く違う場所に来てしまったみたいだった。孤独になるのはわかっていたから家から賑やかな照明セットを持ってきて、ベランダで踊る。
踊りとも言えないいい加減なダンス。
最近は見てもらうために踊ることが多かったから、誰にも見られずひっそりと自分の心のために踊るダンスは久しぶりで、これも悪くない。
ディスコライトも持ってきたから無敵。
幽霊も妖怪も泥棒も皆んな一緒に踊ってしまおう。
寝ぼけながら味噌汁と酢豚を作りご飯を炊き缶ビールを一気飲み。
髪は多分乾かしてない(朝の爆発具合からして)

一件打ち合わせの電話を、椅子で寝てしまってすっぽかしてしまったことを今も引きずっている。

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