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レジデンス日記④浅川奏瑛四季シリーズ Spin-off 冬-デイサービス楽らく-

11月28日(火) 晴れ 
レジデンス4日目
午前中 お絵描き
午後  カスタードパンケーキ作り

変わらず施設内をうろうろしている。
おいでおいでされて話に行ったりもするし、なんとなく気になった人の隣にちょこんと座るし、面白い会話をしていたら一緒に混ざったりもする。これまでの4日間はレジデンスでのテーマを考えることを放棄して、ただただ利用者さんと一緒に過ごし、
認識してもらうこと/よそ者からの脱却
を目指して利用者さんと、職員の皆さんとデイサービスの空間と対話をしようとしてきた。
レジデンス日記にも誰々と話した〇〇を事細かく書いたり、一人一人の特徴や癖なんかを観察したりしながら一緒にご飯を食べて同じものを見て同じものに触れる。そうやって輪の中に入ろうとしてきた。コミュ力が高いと褒めてもらったが、実際私はコミュ障だ。

"よそ者"とはなんだろうか?
何を理由によそ者ではなくなるのだろうか?
ここにいる人もみんな他人だし、生まれも世代も仕事も体も心も何もかもが違うよそ者だ。
私は何に馴染みたがっていたんだろう。
これまで踊っていますと自己紹介で言っておきながら踊らずに利用者さんとの対話をメインに
過ごしてきた。だんだんと馴染んできたはずなのに心の蟠りが取れないのはおそらく今は
デイサービス×若い女の人ではあるが
デイサービス×浅川奏瑛にはなっていないところだろう。
ダンスは内面を映してしまうから、見せることが恥ずかしくこれまで端っこの見えないところで踊っていた。ここにいること(ダンス×浅川奏瑛)を認めていない自分がいたから、よそ者を自分で作ってしまっていたようだ。

浅川奏瑛になるにはどうやらダンスが必要らしい。
ぐるぐる考えていたら面倒くさくなったので、明日からは"いつもいる子"から、
"いつも踊っている子"になってみようと思う。

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隣同士で座っていた96歳のRさんと93歳のTさんは小さい頃庭を挟んだ真向かいさんで、「Rちゃん」「Tちゃん」とお互い呼び合い一緒に遊んでいた幼馴染なんだそう。バッタリこのデイサービスで出会ったんだって。Rさんのお爺ちゃんが作ったブランコに乗ったり栗を拾ったり馬小屋の近くのお風呂に一緒に入ったり。楽しかったよね、楽しかったよねと当時の思い出話を何度もして、生きていてよかったねと顔を見つめ合って笑い合う。
とても美しい光景だった。

初日に荷物が多くタクシーを使った為自転車を駅に置いたままだったので閉館後歩いて取りに帰ろうとしたら職員さん達に心配されて、柳のおじさんが車で送ってくれる事に。
こんな寒い中歩くなんて馬鹿かと言われた。
駅まででいいよと言ったのに、高架下の自転車置き場まで送ってくれた。
柳のおじさん、自転車置き場についても私が自転車を見つけて漕ぎ出すまで見届けてくれていた。


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