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レジデンス日記⑩浅川奏瑛四季シリーズ Spin-off 冬-デイサービス楽らく-

1月24日(火)晴れ

レジデンス第2期がスタート。
1ヶ月半ぶりのデイサービス楽らく。
最寄駅は東武東上線の終点、森林公園駅(時間によっては小川町駅まで)終点に近づくに連れてだんだんと人が減り寂しげになるのとは対照的に窓の外は山が次々に顔を出し、畑や草原が生き生きと茂る風景が広がってくる。

車で5分自転車で10分の駅からまっすぐ進んで右折。入り口入ってすぐ向こうの部屋から朝のオリジナルテーマソング「楽らく日和」の歌が聞こえてきた。
ああ、何も変わらない日常が続いていた。
壁はすっかり新年のおめでたい装いで、きっとOさんが塗ったのであろう力強い竜の絵が玄関やカレンダーや壁などの至る所に飾ってあった。

穏やかな窓越しの空。心地よい歌謡曲のBGM。
今日も1日がはじまる。
ほとんどの方は、私のことを覚えていなかったけれど(ホロリ)あなたは新しい人?と聞かれて、この前ここで踊ってた人だよと伝えると、「あぁあの踊りが上手な方が前にいらしてたわよね」と。
普段のデイサービスにはいない変な人(朝の1時間中庭でダンスしてる人がいる、とかね)
が記憶の隅に小さな点ほどでも残っていることが嬉しかった。
おしゃれな97歳のHさんに元気の秘訣「朝6時に起き髪をセットしいつでも銀座に行けるような格好をする」「動けなくなっても続けられる1人でできる趣味を作ること」の話を聞いて、(Hさん、手の炎症が治ってレース編みが再開できたらしい。よかった!無理しないでほしい)
隣のKさんは午前中の塗り絵の一富士二鷹三茄子の富士山の近くの雲を何色に塗ろうかを昨日からずっと悩んでいて、朝テレビで夕焼けに染まる富士の映像を見て助かったそう。ニッコニコな素敵な笑顔で嬉しそうに渡してくれた。

レジデンス第1期は自分の"いかた"を考えていたが、第2期は"記録"をメインに行っていこうと思う。利用者さんとの会話を録音し、目で見たもの、耳で聞いたこと、心で感じたこと、利用者さんのことを細かく記録していく。
前回のレジデンス日記もより解像度を上げて書けるように心がける。続くかはわからないが。

…今から宣伝しておくと、7月にソロ公演を行おうと思っていて、このレジデンス日記をベースに1時間位のダンス作品にする。
どんなアウトプットの方法が私に合うのかずっと悩んでいて。(アウトプットはしなくてもいいし、何かしないといけないという決まりは特にこのレジデンスには無いのだけれど、なんだかこのデイサービスの滞在を通して自分の中で変化したことや新しく得た感覚があまりにもあるからどこかで発表したいという想いが強くなった。レジデンス日記もその1部なのかもしれない。)
"ひとりぼっち"を強く感じるからこそ"人の温かさ"に触れ涙が出るほど感動しているレジデンス期間のことを作品に落とし込むならば、孤独に黙々と閉じこもりながら作るのがきっと良くなる気がしたのでこの形に。
是非このレジデンス日記を読んでくれているあなたには来てほしい。な。

久しぶりにおじいちゃん、おばあちゃんに会いにいったときのような気持ちになった今日。
距離感や接し方は常に気をつけながらも、前よりも関わり方や空間へのいかたは掴めてきた気がする。肩の力を抜いて自分らしくここにいられるようになった。からこそのおばあちゃんちに来た懐かしく温かい感覚。(介護の『接遇』を知ってから、親しくなりすぎて距離感を間違えたりしないように言葉遣いや向き合い方などコミュニケーションの取り方に気をつけている)
ここが私にとって借りてきた猫状態になってしまうような場所ではなく、ホッとできる場所になっていたんだなということが久しぶりに来てみてわかった。

25歳のダンサー浅川奏瑛はデイサービス利用者さん達とどんな関わり方をし、何を残せるのかを探す2週間にしたい。

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