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レジデンス日記(13)浅川奏瑛四季シリーズ Spin-off 冬-デイサービス楽らく-

1月29日(月)晴れ


今日の午後の活動は演奏会。
長年楽らくに勤めるベテランのHさんとKさんを中心に月に2回ほど開かれるという演奏会では、昭和の曲を楽器で奏でそれに合わせて歌を歌う。
利用者の方からKさんHさんへのリクエストがあり、童謡『花』を、美しいアカペラ合唱で歌いあげ演奏会がスタート。
職員のHさんのギター、Kさんのウクレレ、Oさんの鍵盤ハーモニカ、Mさんのリコーダーの伴奏に合わせて『ふじの山』、『冬景色』、『こぎつね』『星影のワルツ』、『高原列車は行く』等懐かしい曲が6.7曲続く。知らない曲がたくさんあった。
不思議だったのが、利用者の皆さんの声が子どものように聞こえたこと。話す時は齢の経た深みのある柔らかな声の方も、歌声は弾むように甲高く驚いた。鈴や鳴子、カスタネットを配り途中みんなで合奏も交えながら演奏会が進行していく。

『愛して愛して愛しちゃったのよ』の曲前MCで
Kさんが利用者さんに昔を思い出しちゃうかしら?と声をかけると何人か照れ臭そうに隣の人に笑いかけたり昔を思い出しているのか、追想しているような遠い表情を浮かべている。
ここの利用者の方は9割が女性で、旦那さんを早くに亡くされたり、家に1人で住んでいる方も少なくない。私のおばあちゃんも去年おじいちゃんが亡くなり今は1人で住んでいる。

演奏会の中で特に感動した曲は、加山雄三の『君といつまでも』メロディが良いのはもちろん、歌詞がとにかく素晴らしく目を閉じると美しい情景が浮かんでくる。
曲が終わった後、みんなで
「幸せだなぁ〜」と声を合わせて言った。
みんなであははと笑う。
なんて尊い時間なんだろうか。
レジデンスに来て間もない頃、ここを最後の学校と言っている人がいたのを思い出した。
「私は幸せだよ、ここでこうして楽しく過ごさせてもらってるんだからね。最後の学校に来ているみたいだよ。」と。

いつか、この人がいるだけで素晴らしい明日がくると思えるような人と出会うのだろうか?
なんて思いながら、演奏会の最後の曲、八代亜紀さん『なみだ恋』をしみじみと歌い終える。
いい演奏会だった。
今日ここに立ち会えた私は幸せだなぁ。
これから"幸せだなぁ"を合言葉に生きていこう。

…結局、私にとってのパートナーはダンスだ、に落ち着いた。

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帰りの会後、10分時間を頂き『また明日も楽らくで』の振り付けを考える。武田さんの完璧な導入MCのおかげで皆さんやる気十分。
今日は1番を作った。

"花を揺らして吹く風は
いつか私の街に吹く
ゆっくりふわりと光浴び
じっくり開いてこだました"
→手で満開の花を作ってみましょう〜
風に揺られて、太陽の光を浴びてキラキラとタネが飛んでいくイメージで手を大きく開きましょう〜
笑顔の花がこだましていくように手をふわふわと胸の前に持っていきましょ〜
"あぁ、手を眺めたら
あぁ、そこに歴史がある
あぁ、空西陽さし
今日も楽らくで日を終える"
→あぁ、は膝を2回ぽんぽんっと叩いて、それぞれの"手を眺める"をやってみましょ〜(両手の方もいたり、太陽にかざす人もいてGOOD)
"歴史"は皆さんの身体に刻まれているので、頭から順番にポンポンッと触れていきましょ〜
ここは東から西に沈む太陽が窓から綺麗に見えるので追いかけるように手を東から西に沈ませましょう〜
今日も楽らくで日を終える、は職員のKさんリクエストで、それぞれの好きなハートを作ってみましょう〜(大きなハート、小さなハート、それぞれに個性があって良かった🫶)

という感じでそれぞれ自由に踊れるポイントをいくつか作りながら1番が完成。
踊りが好きなだけあって皆さん上手!手の使い方も繊細で、それぞれに個性があってとっても良かった。また明日2番を一緒に作ってみる。
和やかで素敵な時間だった。職員さんも一緒に盛り上げて下さり感謝。
皆さんありがとうございました。

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『君といつまでも』/加山雄三
ふたりを夕やみが つつむ この窓辺に
あしたも すばらしい しあわせがくるだろう

君のひとみは 星とかがやき
恋する この胸は 炎と燃えている
大空そめてゆく 夕陽いろあせても
ふたりの心は 変らない いつまでも

(セリフ)「幸せだなぁ 僕は君といる時が一番幸せなんだ
僕は死ぬまで君を離さないぞ、いいだろ」

君はそよかぜに 髪を梳かせて
やさしく この僕の しとねにしておくれ
今宵も日がくれて 時は去りゆくとも
ふたりの想いは 変らない いつまでも

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