【備忘録】#大根篤史狂人日記

 どもです。浅田大根と申します。
 先週の金曜日(7月24日)にらふそく通信様の文町さんという方が執筆した「異説・狂人日記」というシナリオを、さいとう篤史という人間と一緒に配信という形で遊んだのですけども、(https://live2.nicovideo.jp/watch/lv327053489)
 備忘録的なものを忘れないうちに書き残しておこうと思います。あまり文章を書くのは巧いほうではないので、所々、読み手にとっては不親切なぶぶんがあったり、読みづらい構成になってしまうかもしれません。なにより、自分のための振り返りだったり、おぼえがきというか、そういう要素が強くなると思うので、どうかどうかご容赦ください。

 また、この備忘録にはとんでもない量のネタバレが含まれています。記事全体にです。ごめんね。「異説・狂人日記!?知らないよ!!」「クトゥルフ神話TRPGィ!?聞いたことないよ!!」って方は是非シナリオやルルブの購入を検討してみてください!ルールブックを今買うなら7版がオススメ!!ルールブックとシナリオがあれば、お友達とすぐ遊べちゃうんだから。もちろん、6版も買って損はないよ。枕にちょうどいい厚さだよ。

シナリオはここだよ。
ルールブックはここだよ。い〜い感じにクリックしてね。
このふたつがあればきみもキーパーだ!!

 それではそれでは、ちょっとずつじんわり無造作に振り返ってみます、自分なりに。たいおねです。


配信をしようと思ったきっかけ

 振り返りの出発点はここから始めてみようかなと思う。卓の配信をしようと思ったきっかけから。以前にも、「ふとした夜中の思いつきで〜…」とプレイヤーの篤史さんや視聴者の方々に説明した(したかな?)と思うのですが、この思いつきに至るまではそれなり〜にいろんな思いがぐるぐる私の中ではありました。
 おおきなおおきなくくりでの出発点としては今年の3月まで遡ります。当時、私はある劇団にスタッフとして所属していて且つ公演が控えていたのですが、コロナウイルスの感染拡大の影響で急遽公演は中止になってしまったのですね。中止は、延期に変わったので希望はまだ残っていると言ってもいいと思ったのですが、うちに限らず公演の中止をあえなく決断した演劇団体は数多くありました。ものすごく悔しかったし、悲しかった。あまり「悲しい」を表に出すのは得意ではないんですけど、この時期はほんとうに「悲しい」に尽きた。
 でも悲しさで終わるかと思ったらそんなことは全然なくて、表現者はありとあらゆる策を練りながら発表の場をネットに変えて、無観客で上演したり、過去の公演の映像を公開したりと、ほんと、いろいろ苦しかったんじゃないかなあと勝手に推察してしまうのだけれど、ほんとねえ、すごくて。勇気づけられました。
 

身近なひとが発表したやつでいえば、これとか。

ちなみにさいとうさんも出てる。

そして実は私も出てるんだけど、それは気になる方はさがしてみてね。

 表現者全員にこの胆力は決して私は求めないのだけれど、だって辛い人は絶対辛いしってか私も辛かったし。でもこういうのを見てほんと勇気づけられてしまったわけで。勇気づけられるどころか、なんか自分もやりて〜!ってなったわけで。早い話、公演の、幕が上がる直前の緊張感とワクワク感が欲しくなっちゃったわけで。失ってしまったドキドキがまた欲しくなっちゃって。

 幸い、私にはクトゥルフ神話TRPGで遊ぶおともだち?たちがいたので、

 セッションの様子を配信で見せる〜なんていうのも流行ってましたのでね。イケるやん。やれるやん。本番前のあの感じ、味わえるやん。となったわけですね。味わえるやん、ってなってた時はちょうど「異説・狂人日記」のセッションを数回済ませていて、もうちょっと注意をはらうべきところをうまくやれたら配信で見せても遜色ないかんじになるんじゃないかな〜って舌舐めずりしてたんですね。はい。
 でもせっかくだし、ネットに出るには珍しい人物をプレイヤーで呼びたいな〜と思いました。セッションの配信は、ゲーム実況者やVtuberがやってる印象があったので。誰かおらんか?リアルの、芝居慣れしててかつクトゥルフも知っててなんでも面白がってくれそうなやつ。おらんか〜。おらんか〜…

…いるやん。

「さいとう篤史」という選択

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 見よ。この返事の速さ。ほぼノータイムだった。「シナリオの概要を読まずに食いついたな…!」と思った。ほぼほぼ勝ちは決まったものでしたね。私は確信したね、勝ちを。
 ちなみにこの翌日企画書を送ったんですけどその企画書も既読がつくのが早くて、関係者によると「あ〜それ相当食いついてるときの篤史だね。」とのことだった。成る程。告知用の音源収録の際も、たくさんのやりとりを交わしてくれた。ありがてえ。

 こういうのがあるんですけど、

これを見てもらえればわかるんですけど(これの説明はスッとばすよ!!)
 

 さいとうさん、幕間のフィードバックでほんとよく喋るんですよね。おもしろければおもしろいほどヒートアップするし、事態がそもそもおもしろくなくても勝手に何かを見出して面白がる力がある。と思う。TRPGって基本はおしゃべりが中心の遊びだと思うし、おしゃべりが苦手なひとでも話題の中心がシナリオに設定されているからコミュニケーションが途切れることはないとおもうし。途切れることのないコミュニケーションに、興味の塊みたいな存在がいてくれるのはありがたい。ありがたい。
 というわけでありがとうさいとう篤史。たのしかったよ。

 い〜んや。私が一番楽しかった。

異説・狂人日記というシナリオ

 シナリオの話をしましょう。異説・狂人日記。らふそく通信の、文町さんが執筆されたものです。

 とのことで。私は見事刺されました。そして公開後から今に至るまでも「異説・狂人日記」への反響が多いのは、このシナリオに刺された人が続出している、ということなのでしょう。

 このシナリオを回してみたい!と思ったのは、シナリオのpdfデータが読みやす過ぎたというのと、NPCの絵がかっこよすぎたのと、このリプレイ動画があって、

 うわ〜〜〜!すげ〜〜〜!すげ〜〜〜〜〜〜!!!
…ってなったからなのでした。なかなか本を読むのは苦手な方なのですけど、こうして動画を見ると雰囲気が掴みやすいしシナリオの魅力もわかりやすいし!シナリオの作者にはもちろん、こうしてセッションの様子を見せてくれる動画投稿者にも頭が上がらない。クトゥルフの間口は広いぞ。私がキーパーを担う経験が少ないのも、ひとえに読書が苦手だからということに尽きてしまうのだけども、おかげさまで飛び込むことができました。た〜のし〜。

 それと!シナリオの中に、読んでみたい台詞や文章が多かったこともある!!!!私は大正時代にはというか、そもそも歴史には明るくないのだけど最低限知っておけばいい情報がシナリオには記載されているし、それに基づいてシナリオに秘められた謎や登場人物の言動を読み解くとまあ楽しいこと楽しいこと!そして繰り返しになるけど、口に出して読んでみたい文章がたっっっっくさんあった。青空文庫にある狂人日記を読んでから、読み上げの方針を決定した文章もある。ミーハーの行動力はやばいのです。私が証人だよ。灯台守の男が渡してくれる手紙の読み上げなんかは特に。

 そう、手紙の話してもいい?ありがとう!

 私はどちらかというと、ごっこ遊びは好きだけど朗読とかはあまり得意じゃなくて、妄想をするのはすきだけど、それの出力があまりうまくなくて。
出力の方法がいまだにわからないっていうのかな。お芝居は好きだけど同時に謎のコンプレックスもある。(…というのに配信したの??)(そだよ)

 セッションでも、配信でもそうだけど、これから遊びにいくのは大正時代だけど、意識はなるべく令和に留めておこうっていうのを意識してたんですよね。これもあちこちで話してるかもしれないけど、どうあがいても我々は過去にではなく未来に向かってでしか物理的には生きていけないので、大正時代の人間に親近感を抱くのを忘れないようには努めてまし、た。はい。うまく言えないけれど。私たちが向かっている未来に、眼前に、突然大正時代を置いたら、うまくいえないけどなんかこう、遊んでいくうちに時間軸や空間に対する感覚が、滲むというか、曖昧になっていくような感覚が生まれないかな、あくまで私たちは令和にいるのに、境界があやふやになっていくことで、妹尾十三の抱いた狂気めいた疑心暗鬼とか、のめりこめばのめりこむほどそういうものを、共感するというか、味わえないかな〜〜って思いながらやってました。私たちは私たちの、存在の証明は今しかできなくて、妹尾十三は、大正時代でしか存在の証明を図れなくて。大正時代へ探索者として赴くことで、危うくも妹尾十三と手紙越しに対峙したとき、大正時代の十三と令和のプレイヤーが向き合うことで、曖昧さだったり恐ろしさだったり、境界線の歪みみたいなものを一瞬でも感じられたらな〜、見えたらな〜と思いながらやりました。うまく言えてないね!?抽象的だね。でもそういう感じです。シナリオ自体は理路整然と描写が並んでいるのですが、私がシナリオから汲み取れたのはそういう魅力で、実は私ドグラマグラとか読んだことが無いのですけれども…。でもたぶんそういうことが面白いんだろうな!と思いながらやってました。面白いんだろうな!と思った部分はキーパーとしてできる限り出力してみよう!という感じでもありました。

 で、そう、終盤の手紙の話です。あの手紙からはいろんな表情を読み取れるだけ読み取れると思うので、情報として探索者に渡すだけでなく読み上げてみることを決めた際は、いろんなことを悩みました。このときの十三ってどんな気持ちでこれを書いてるんだろう?どんな状況でこれを書きつけたんだろう。全然、読むだけでは想像できなかったので、とりあえずやってみることにした。

 これは「異説・狂人日記」をはじめて回した時の手紙の読み上げです。淡々としてるし、ちょいちょい噛んでるしもちょもちょしてます、恥ずかしい。うんうん、と頷きながら聞いてくれてるのは初回しでプレイヤーをやってくれたうみまちさん(@cozynmaritone)です。うみまちさんは絵がうまい。

 不思議なもので、セッションをやってみると文章だけでは見えなかった風景が会話によってつぎつぎ浮かんでくる!優秀なキーパーさんは全てを把握してから回せるのだろうけれど、私はここで「ああ〜なるほど〜?」ってやっとなりかけた。まだぜんぶわかってるわけじゃないし、実は配信を終えた今もすべてわかっているわけじゃない。でも、すこしだけ糸口がこのはじめてのセッションでみえた。のです。すこしだけね。

 たぶん、十三はたのしかったし、こわかったし、くるしくもあったけれども、手紙を通して「センセ」と向き合えることで、最大の警句を全身でもって表せること、表すことに必死で、それはまぎれもなく「生」で、その「生」をうつしとったこの手紙は断末魔にも近い。抽象的な言葉がずっと並んでて恐縮なんだけど、でもそういう感じだ!とおもった。のよ。
 なるほど!!と思った私はそのシナリオのpdfデータに、いろんな単語に黄色とか赤とか青とかで色をつけていきました。たのしい・もしくは狂気めいてるところに黄色、怒りというか、やばいんだぞ!っていうところは赤、憂いてるかんじのところには青。あまり横にちょろちょろメモしちゃうとそればかりに囚われそうだし、あくまで探索者へのお手紙だし、探索者によって読み上げ方は変わるだろうから色でマークをつけるだけに留めました。

 で、さいとうさん相手で6回めになる(はず)の読み上げではこんな感じになりました。

 滑舌はまだ甘いんだけど…わりと変わったんじゃないかな?と思う。どっしり構えて、たけどまだ曖昧で、でも警鐘は鳴らしたくて…みたいな。このセッションまでの間は、マリア様?みたいな、にこやかな感じで読むこともあったし、おどろおどろしさに集中することもあった。たぶんどれも間違っては無いと思うんだけど、でもこれが今のところしっくりきてる。しっくりきてるとはいえ、いまだ整理がつけられずにいるところがあって、それは魯迅の狂人日記にもある次の文章です。

人を食わずにいる子供は、あるいはあるかもしれない。
 救えよ救え。子供…

 難しい!どういうことだろうこれ!?これどういう感情だ!?数多の解釈があると思います。「救えよ救え」にはどんな憧憬があるんだろう?それともこれは自身を子供として捉えていて、自身の救済を求めているのか。ノスタルジーなのか、祈りなのか、祈りだとして、それは誰への?子供?探索者?神?あるいは。ここばかりは、セッションによって読み上げ方が極端に変わります。これを完全に理解してしまったら、もしかしたら本当に狂人になってしまうのでは?という恐れも実はちょっと感じていて。

 そういう、感情の渦に流されそうになりながら、物語も渦巻いてうたかたにきえていきます。このうずまきが毎度たのしくて、特別な知識なく遊べるこのシナリオはすごいですとても。
 皆さんはここのお手紙をどんなふうに解釈しましたか??気になる。いくら回してもこの、手紙を書いた十三の、悟りの境地?にはたどり着けない気がします、私は。むずかしい。でもちらっとみてみたい。怖いものみたさではある。我々は、狂うことなく元気に遊び続ける義務があるので。それでこそ、文化的な生活といふものなので。人の子よ、元気であれ。


音楽の話

 私がセッションをする上で一番楽しいのはイメージソングを固める作業です。はい。自作のキャラクターや二次元のキャラクターを推す際にイメソンをつけちゃうくらいなので。ほんとうに楽しい。ラブ。

 告知の映像やセッション開始前、休憩の間はこれをガンガン鳴らしてました。いいよね〜〜〜。始まりそうな感じ。何かがずっと水面下で始まってそうな感じ。「令和から大正へ!」をモットーに掲げた身としては客入れの音楽として使うのに申し分ないかっこよさ。最初の、火か、それとも古い音源あるいは映像を再生したかのようなノイズがまたよい。すき。休憩時に聴くと現代に帰ってきた感じがして、セッションを水泳と捉えるなら、息継ぎにもちょうどいい。ラップでも使えるビートとして公開されてるみたいなんだけど、マジ、何らかのセッションで使えそうなBGMを探してる時はラップ用の音源を漁るのオススメだよ。かっこいいのたくさんあるし、ループしても違和感ないし、メロディラインが目立つものも少なくて気が紛れることもないし。
 ちなみに、「異説・狂人日記」のセッションではほとんどBGMを流してません。個人的に耳が疲れてしまうのでやめとこうかなって思ったのと、この息継ぎの瞬間を最大に味わいたくて。

https://ryueikotoge.bandcamp.com/

 上記リンクからダウンロード可能のこの楽曲!阿呆線ルートのイメージソングはこれ以外に考えられなかった。いよいよ大正時代と、いまここにいるわたしたちの境界線が船の上で曖昧になるところ。お椀を叩く音もあるように聞こえる。爛々と船が大海原を、力強く・けれども漂うような。言ってしまえばもう、船の上にいる探索者のまわりには、大勢のパリピがいるわけで。クラブで使われそうな曲でも探すかな〜って思ったらもう、これですよこれ。これこれ。これよ〜〜〜〜。アルバム持ってるんですけど、他の曲も最高でしてね〜…これ…ほんといい…。0:27の世界が反転したような感じとか、吐き気すら感じられて最高よね。あとはもうバシバシとね。この、極彩色にいろんなパターンが浮かんでは消えてを連綿と繰り返す感じね。眩しい。耳が眩しい。最高。阿呆線ルートに連れてってくれてありがとう。リズムに乗って叫びたくなる。チャンチキチャンチキチキトントン!チャンチキチャンチキチキトントン!

阿呆線ルート後は、エンドにこれを流すことを決めてた。直感でこれに決めたけど、よくよく聴くとリリックがいいんですねこれ。意味深げにシナリオと噛み合う。「生きているんだよ、蠢いてるんだよ、それゆえに僕らは、すれ違ってくんだろう/繋がってくんだろう」味わい深いね。そういうことです。そういうことです。キーパー浅田はシナリオ解説を諦めました。ぜんぶここです。ほんと音楽つくれるひとってすごいな。音で全部示してくれる。世の楽曲制作者に多幸あれ。

後日、また絵でもここに追記します!
それではまたね。

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