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あの日、花が降った夜の話③

『雨と花束』鑑賞記録③

彼女たちは、ファフロツキーズについて、
世界中の人から忘れ去られてしまう青年がいること、忘却の魔女の存在などについて話していた。

すると、
「30年後の世界から来た」私たち宛に、
1人の女性が呼びかけた。彼女は私たちの正体を知っている。そして川野雫と私たちは、ロビーに集まるよう告げられた。
再びロビーに集まった。私たちを呼んだのは「フジ」と名乗るホテルのオーナーだった。他の旅人は出会っていたみたいだが、私は彼女に会うのはその時が初めてだった。

彼女は、彼と私たちが30年後から走馬灯の旅をしていることに気がつき、それを責めたてた。
実は、彼女こそが、忘却の魔女だったのだ。
彼女の正体が判明したと同時に、アジサイがロビーに現れた。彼女は120年、呪いにかけられていたというが、今夜ついに魔女の本当の名を知ったという。
呪いを解かないと言っていた彼女は、
「呪いを解くとどうなるか見せてやる」と告げ、魔女の名を叫んだ。

すると彼女は、次の瞬間雷鳴と共に、
花となり散ったのだ。

モーテルの下にたびたび降るという花びらの正体。それは呪い解いたことで消えた人たちの姿だったのだ。

呪いが解けると、存在が消えてしまう、
その事実を私たちが知ったのと同時に、
怒り狂った忘却の魔女は、現在の川野雫に呪いをかけ、私たちは30年後の世界に戻されてしまった。彼女は晩餐会の終了を告げると23:30までに部屋に戻るよう告げた。そして、旅人全員の今夜の記憶を消し去りに、部屋へ回ると伝えると姿を消した。

私たちは動揺しながら部屋に戻ろうとすると、
シオンが「支配人から伝えたいことがある。
部屋に戻ったら私が向かうので待っていてほしい」と告げた。私たちは部屋に戻り、状況を整理する。
しばらくするとシオンが、支配人からの指示書を持って部屋を訪れた。私たちは、忘却の魔法をかけようとする魔女に身を隠しながら、支配人の指示に従い、魔女から逃れる呪いの道具を手分けして探しに行った。

私は、指示書通り別の旅人と合流して、呪いの鈴を見つけてロビーに戻った。ロビーではコンシェルジュが結界を張り、魔女からの呪いから逃れる準備をしていた。息を潜めていると、ふと、隣に座った1人の女性が私に現状を尋ねてきた。同じ旅人なら、同じ状況を味わっているはずなのに、どうして?もしかして魔女?と思いながらも話を聞くと、彼女は体調が悪くて部屋で休んでいたらしい。
彼女に一連の流れを説明していると、
呪いの結界が無事に張られ、私たちは無事、魔女の呪いから逃れることができた。

支配人が現れ全員にお礼を述べると、ふと、とある女性を呼び止めた。
「すみれ」という名に呼応するように、
私の隣に座っていた女性が立ち上がる。
彼女は、現在のすみれだったのだ。

2人は思い出について話し、当時の謝罪をすると、
雫がとある決断をした。
彼は、彼女へ、災いを避けるネックレスを渡すと、忘却の魔女の名を告げるため、モーテルを去った。

そして、彼女の本当の名を叫ぶと、
彼は、花となり散った。
花びらが宙を舞い、ひらひらと降ってくる様は、
切ないほどに美しかった。

ラジオから時報がながれる、
日付が変わる、時がすぎる。

それでも私たちは彼を忘れなかった。
忘れることができなかった。
彼は、彼女に忘れられながら生きることよりも、
彼女の心の中で永遠に生き続けることを望んだのだ。

モーテルは、コンシェルジュたちによって、
受け継がれていく。
すみれはバーカウンターに腰掛け、彼との思い出を、思い出しているようだ。

私たちの、長い長い夜が明けようとしている。

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