全シリーズ女子座談会③ 和子&マメ編
~和子編~
和子「次はわたしだな。しかし先の二人とはちがって、わたしとコオリくんはここここ恋人関係ではなく、歴史友だち、いわゆる歴友だぞ。あの性根の腐った鯖が喜ぶような話などないが」
ごそごそとボックスから引き出したお題は、
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パートナー男子の第一印象と今の印象をどうぞ!!
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和子「――ふむ。これなら答えられそうだな。
初対面の印象は、最悪だ。最凶不良とウワサされていたとおり、態度もデカいし、無口無愛想無礼だしな」
マメ「わぉ……。で、でも、今は?」
和子「そうだなァ。無口無愛想無礼は変わらんな」
ブブーッ!とブザー音。
和子「ぐぬっ。ま、まぁ、さすがにまったく変わらんというワケじゃない。字消士の仕事っぷりを見るかぎり、なかなかに熱い男であり、そして信義ある心の持ち主とは思っているな、うむ」
ブブーッ!とふたたびブザー音。
和子「なんと!」
ヒヨ「ええーっ、なんでー!?」
マメ「和子ちゃん、ちゃんとホントの気持ちを話してるのに」
ぶーぶー言う三人のわきで、モモ、お題の紙を読みなおす。
モモ「……アッ。もしかしてだけど、その判定基準って、これかな。座談会のタイトル見て。『うきうき恋バナ』って」
和子「色恋ざたを語らねば、クリアならんということか……! くそっ、ぐずぐずしている間に時代劇が終わってしまうではないか。上さまのご尊顔を拝みそこなうなんて、天照和子、この一週間を生きる意味を失うぞっ。 ――よし。腹を決めた。望むとおり、それっぽい話を語ってやろうではないか」
和子、お題の紙をにぎりつぶして立ちあがる。
和子「わ、わわわわわたしは、ごくまれに、ごくごくまれに、狐屋コオリのいと良きさまに驚かれぬる!」
…………………………ぴぽぴぽぴぽーん♪とクリアの音。
ヒヨ&マメ「「……なんて?」」
モモ「たぶん、『コオリくんのカッコイイところにハッと気づい――、」
和子「そこまでだ博識女子!」
モモ「(口を手でふさがれたまま)ふぁい」
~マメ編~
マメ「あたしがトリかぁ……っ。どきどきするなぁ」
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好きな異性のタイプは?
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マメ「ノドカ兄!!!(即答)」
ヒヨ「わぁっ、早かった! ダレそれ!」
モモ「マメちゃんのお兄さん?」
マメ「うんっ。恋愛とかそういうんじゃなくって、純粋に超超超超超カッコイイ兄ちゃんでねっ。カッコイイ男子って聞かれたら、ノドカ兄がまっさきにドドーンッと浮かんでくるよね!」
熱く語るマメに、モモ(今、男子部屋でマメちゃんのパートナー、ずっこけてないかな……)と一人心配する。
マメ「ノドカ兄はね、いっつもニコニコ穏やかなんだけど、サバイバーの仕事のときはものっすごいカッコイイんだよっ。あたし、事故にあったときに兄ちゃんに救けてもらったことがあって。自分の兄ちゃんながら、最高にかっこいいなって思ったよ。それにほーんとに優しくってね! 実家に帰ってくるときにはゼッタイお土産買ってきてくれるし、たまにお休みの日は、疲れてるはずなのに、あたしが出かけようとすると付いてきてくれるしっ。それにノドカ兄は地元の商店街でも大人気のアイドルで(延々と続く兄自慢)」
ブブーッ!とブザー音。
和子「これはやはり、兄ではなく、その恋バナとやらを語れということじゃないか?」
マメ「(絶望的な顔になって)恋バナ………………。ないよ……。だってS組は恋愛禁止だもん」
三人「「「おお……」」」
ヒヨ「でも、マメちゃんって、涼馬くんとつきあってんのかと思ってたよー。二人で鬼ごっこするほど仲よしなんでしょ?」
マメ「(顔を蒼白にして)ヒヨちゃんは、知らない。知らないんだ……っ。音速で迫りくるスパルタ塩鬼リーダーの圧を……!」
モモ「はいっ!(と手をあげて) その圧については、わたしもスパルタコーチが身近にいるから、ちょっとわかるかも……!」
マメ「モモさんっ!」
モモ「マメちゃんっ!」
ガシッと手を取りあう二人。
〇 〇 〇 閑話休題 〇 〇 〇
モモ「でも、マメちゃんと涼馬くんはどういうコンビなの? そのS組さんのクラスメイト?」
マメ「コンビというか……、塩と、その塩をまかれて、しおしおしてる葉っぱですね……」
和子「難儀だな」
ヒヨ「おいしそう!」
マメ「――って、このままじゃ部屋から出られないもんねっ。ノドカ兄以外の、好きなタイプを考えてみるよ!
ええと……………………。あたしがうっかりしてるから、しっかり者の人がいいなぁ。あとは、尊敬できる人がいいな。背中を追っかけたくなるような人? それから、ふいに見せてくれた笑顔が優しい男子って、きゅんっとするよね」
三人「「「……だれを思いうかべてるのかな」」」
マメ「へ? だれって、りょ、」
ぴぽぴぽぴぽーん♪とクリアの音。
マメ「あっ、ちがっ、ちがうよ! うっかり! 口がすべったっていうか、頭がすべっただけです!!!」
※
四人の回答が終わり、お題全員クリア!
すると、突然ふすまがガラッと開く。
ぞろぞろと入ってきたのは、パートナーの男子たち。
モモ「みんな、となりの部屋だったの!?」
匠「……まぁ、」
真「そうだね……」
男子たち、それぞれバラバラの方向を向いて目を合わせず、なにやらぎこちない空気。
ヒヨ「あ、そういえばさ。スッカリ忘れてたけど、女子部屋のようすは男子部屋に中継されてるって言ってたっけ?」
和子「ということは、われわれのこっぱずかしき言動が、すべて――、」
マメ「男子に伝わってた!?」
ぼんっと真っ赤になる女子四人。
沈黙する男子四人。
そこにひらりと天井から落ちてきた、一枚の紙。
モモが拾って読みあげる。
モモ「……『当座談会の、お題クリアの判定条件を発表します』だって」
和子「そういえば、なんの条件だったんだ?」
モモ「ええと、
『それぞれのパートナーが照れて赤くなったらクリア♡』
女子のみなさんナイスファイト、おつかれさまでした~♡
――って、書いてある……けど……」
シンとする一同。
ヒヨ「ほええええ……! じゃあ、真ちゃんも矢神センパイも照れちゃった?」
和子「コオリくんもか」
マメ「うそっ、涼馬くんはまさかでしょ!?」
コオリ「ハァ? 照れるわけねーし」
涼馬「まさかだ」
と、となりの男子部屋のテレビ画面が、ジジジッと動きだす。
映しだされたのは、さきほどの男子部屋の録画画面。
男子四人が大画面を凝視している姿が、しっかりと隠し撮りされている。
男子「「「「 !!!! 」」」」
とたんに消札、分厚い本にコタツが飛び交う。
ヒュッ、ドゴッ、ガッシャーン!
画面はあっけなくも破壊されて、
どすっ!
天井で隠し撮りカメラを回していた鯖が、文鎮に貫かれて落下してきたのでした。
~了~
びちっ……、びちっ……。
痙攣するサバの前にしゃがみこんだ、マメ。
マメ「涼馬くん、この鯖、塩でしめたら保存食になるかなぁ?」
涼馬「やめとけ。腹壊して、ディフェンダーの世話になるぞ」
~今度こそ了~
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