楽と七海の寮の小話(サバイバー)


(学園寮のホールで)

楽「あれ、七海。おかえり。こんな時間まで研究所行ってたの。夜道一人?」
七海「護身術は身につけていますし、スタッフが車で寮の前まで送ってくれたので、問題ありません」
楽「そ?」
七海「……そちらこそ、この時間に外出ですか。寮長さん」
(腕時計を確かめると、とっくに外出許可時間を過ぎている)
楽「あはは。ちょっとコンビニ行きたくて。じゃあこれ、口止め料」

ビニール袋を差し出されて、七海は首をかしげる。

楽「なんか急に食べたくなっちゃったんだよね」

ーー数分後ーー

五年二人、食堂のほのかな灯りに気づいて、廊下を歩いてくる。

健太郎「涼馬、やめよう、見なかったふりしようよ。食堂閉まってる時間なのに、電気もつけずに、人間じゃないって」
涼馬「人間じゃないなら……、巨大生物か」
健太郎「違うって。あんなの食堂に入るサイズじゃないよ」
涼馬「なら、なおさら泥棒や不法侵入者だとマズイだろ」
健太郎「そういうのだったらいいけどさ。幽霊だったらヤダよぉ……っ」
涼馬「――いい匂いがする」
健太郎「ええ?」

と、食堂の奥から、ブフッと笑いを噴き出す声。

涼馬たちは中を覗き込んで、目をすわらせる。
食堂の隅っこ、懐中電灯の灯りの下で、カップラーメン二つの出来上がりを待つ、楽と七海。

楽「あれー、見つかっちゃった」
涼馬「何やってんですか」
七海「困りましたね。カップラーメンは二つ。人間が四人に増えました」
楽「じゃあ半分こずつかぁ。涼馬、そこらへんのマグカップかなんか持っておいで」
涼馬「…………幽霊じゃなくてよかったな、健太郎」
健太郎「って、何食べる気まんまんで、フォーク出してんの涼馬! あっ、さては、しょっちゅうこういうことやってんだろ!」

涼馬&楽「「(顔を見合わせて)…………」」

唯「みんなずるい!」
全員「わっ!」

唐突に背後から顔を出した唯は、泥棒と戦うつもりでバット持参。
ふくれっツラの唯に、結局、涼馬が秘蔵のカップラーメンも持ち出してきて、夜中のカップラーメン会になりましたとさ。


まる。


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