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【基本全文無料】ポケカ歴3日でCL横浜2023に出場してDay2進出した話


はじめまして。
実況席で「前世の記憶を持ったまま転生した」とか、なろう系主人公みたいな扱いを受けていたシモノ ヒロヤと申します。
普段はYuaというハンドルネームで主にShadowverseなどのDCG(デジタルカードゲーム)をプレイしております。
今回、自分が3日の調整でCL横浜2023に参加した経緯や、3日でDay2に進出することを目標に行った調整方法などについて説明します。
誰でも楽しめる読み物として書かせていただきますが、今からポケモンカードを競技プレイする人や、ポケモンカード以外の新しいゲームで競技プレイを始めようという方の参考にもなれば幸いです。

本記事は大きく以下の5つの構成になっております

  • 参加に至った経緯

  • 実際に行った調整方法

  • 使用したデッキリストについて

  • CL当日の結果振り返り

  • 配信卓のプレイ振り返り

最終章の配信卓のプレイ振り返りだけでも5000字以上はあるので、前半に興味が無くても、後半だけでも目を通していただけると嬉しいです。
また、基本全文無料での公開となりますが、投げ銭要素として有料部分に友人やTwitterで話題になってた話についてQ&A形式で答えたいと思います。
この記事が面白かったと思う方は購入していただけたら幸いです。
収益は調整メンバーへの恩返しとして利用させていただきます。

参加に至った経緯

とあるDiscordサーバーでの会話

こんな感じで誘われたので出ました。以上。


……もう少し詳しく説明すると、元々ポケカに興味があったというのは参加のきっかけになっています。
「サイドを6枚取ったら勝つ」という基本的なルール程度しか知りませんでしたが、攻めている方が得をするというルールは個人的にすごく好みでした。
デュエルマスターズに代表されるような、攻める側が常にリスクを背負うゲームは試合が進んでも常に不利形勢を逆転できる良いシステムではありますが、その結果、お互いがリスクをおそれて膠着状態になるということも珍しくなく、そういったお見合い状態が個人的にはあまり好きではありませんでした。
その点、ポケモンカードは攻めている方が得をするというシステムがその膠着状態を作りにくくしていたり、よくわからないけどノーコストでたくさんドロー!みたいなカードがたくさんあって大味なゲームだという噂はあったので、非常に興味がありました。
しかし、普段デジタルでカードゲームを遊ぶ人間からすると、紙のカードゲームはゲーム以外の部分に面倒な要素が多すぎるという点が参入のネックとなっていました。
具体的には以下の要素が挙げられます。

  • イカサマ問題

  • カードが高価だったり手に入りにくかったりする

  • 様々なTCGで発生する日本人不遇問題

  • 時間制限という特殊ルールでゲームに集中しづらい

  • 練習のために頻繁に外に足を運ぶ必要がある

  • 抽選で大型大会に参加できない可能性が高い

こういった点から、いつかやりたいなあという気持ちを持ったまま数年が経っていました。
しかし、最近になってメインでプレイしているShadowverseからもShadowverse EVOLVEというリアルTCGが発売されたこともあり、TCGの大会に出てみても良いなという気分になったときに誘われたのが良いきっかけとなりました。

実際に行った調整方法

スケジュールについて

話題になった「なぜ3日で出場することになったのか」という部分です。
抽選結果が出たのは1週間前の木曜日の17時なので、本来ならば8日くらいのリソースを注ぎ込めたはずです。
しかし先述したShadowverse EVOLVEの大型大会であるGP京都(9/12)への参加、さらにはその翌日に本家Shadowverseの地方大会への参加が決定していたこと。そして多忙な友人からカードを借りられるのが最速で火曜日の深夜となったことから、水木金の3日調整で参加することになったという経緯になっています。

ちなみに諸事情からこちらも5日調整で出たGP京都は悲しみの予選落ち。
5-0だからオポ高くて、1試合でも拾えてたらプレーオフ進出だったのに……。

目標設定

さて、嘆いてばかりもいられないのでどうやって3日で調整するかを考えます。

まず最初に目標設定です。
ここは迷わずにDay2への進出、つまりDay1での戦績を7-2と設定しました。
なぜなら、自分はカードゲームの競技プレイが大好きで、参加するからにはしっかり勝って完走したいという気持ちが強かったためです。

もちろん参加するだけでも楽しいのが大型大会ではあります。
しかし個人的な意見としては、お互いに全力で勝とうとして生まれる盤面のコミュニケーションこそが対人戦の最も面白い部分であると考えていて、数少ないこれを経験できる大型大会という場で1戦でも長く楽しみたいという気持ちが非常に強いです。
したがって完走するための必要条件であるDay2進出だけは絶対に達成したいと考えていました。

具体的なスケジューリング

カードをプレイできるのが3日前(水曜日)、大会参加などが終わりフリーになるのが5日前(月曜日)なので、この5日間をフルで効率よく使うことを考えます。
前提として、自分は大型大会での調整は主に以下のSTEPを踏みます。

  1. 環境把握

  2. デッキ選択

  3. プレイスキル向上

  4. デッキチューニング

  5. 3~4の繰り返し

それぞれのSTEPについて簡単に説明します。

1.環境把握
・世の中にどんなデッキが存在するか
・どれくらいの割合で存在するか
・デッキ相性はどうか
という部分について把握することです。
非常に重要な部分ですが同時に正確に実行するのが難しい曖昧な部分でもあります。

理由の1つとして、デッキ相性差は人によって感じ方が全く違うということが例に挙げられます。
例えば、AさんはデッキX対デッキYの相性差を6:4だと主張し、Bさんは4:6だと主張していると仮定します。
自分が実際にプレイしていたら、どちらの主張が多くの場合で正しいか認識できますが、初見のゲームでは不可能に近いです。
1つの解決方法は信頼できる人の意見に耳を傾ける、ということですが実はこれだけでは十分ではありません。
なぜなら、それが世間一般の認識とずれている可能性があるためです。
例えば実際のデッキX対デッキYの相性差が6:4だったとして、実は多くのプレイヤーはこれを4:6だと認識していたとします。
するとXを使用してYに勝とうとするとき、少なくないプレイヤーが"本来ならば不要であるはずのYに勝つためのメタカード"をXに入れる可能性があるということです。
これを念頭に置いておかないと、自分がデッキYを使用してXと対戦するとき、意識外からのメタカードに泣きっ面をかかされる羽目になります。

また、相性差の認識はそのままデッキ分布予測に影響をもたらします。
極端な例として1週間前の大会でデッキXの使用率が50%だとして、次の週の大会ではYの使用率はどう変化するでしょうか。
多くのプレイヤーが正しい認識をしていればデッキYの使用率は下がることになりますが、もし後者の誤った認識を持ったプレイヤーが多ければ逆にYの使用率は上がることになります。
したがって、デッキ相性という認識1つにおいても"正しい認識"と"多くのプレイヤーの認識"の2つの視点から理解する必要があり非常に難しいものとなっています。

ちなみに自分がメインでプレイしているShadowverseでは"Raitings for シャドウバース"というシャドバオタクしか使用していない対戦マッチングツールが存在し、このサービスでは毎日のデッキの使用率と勝率が自動で公開されています。
また毎週行われているJCGというオンラインの大会のデッキ分布も有志で集計している集団が複数あり、これらの情報は大型大会のデッキ分布予測に非常に役に立っています。
ポケカではこれらに相当するような有益な情報源が少なく、非常に苦労しました。

Ratings for シャドウバースの公開データ。これが毎日更新される。

2.デッキ選択
最も重要な部分です。
これを間違えてしまえばどんな強豪プレイヤーでも大会を勝ち上がることは不可能です。
しかし、デッキを選択するためには正しい環境把握が必要となるので、間違うことも必然的に多くなってしまいます。
また、目標やプレイヤーに合わせて変化する部分でもあります。
つまり、Day1で7-2するためのデッキ選択と9-0するためのデッキ選択、あるいは勝ち越すためのデッキ選択ではそれぞれ最適なデッキが異なる場合が存在する、ということです。
またプレイヤースキルや向き不向きなども存在するので、それを加味した選択をする必要があります。

3.プレイスキル向上/4.デッキチューニング
これらは表裏一体です。
なぜなら実際にデッキを使ってみて、プレイスキルが向上するにつれて、不要なカードや役割が被ってるカードへの認識の解像度が向上するためです。
またこの過程を経て、空いたデッキの枠を何に差し替えるのかもプレイヤーのスキルに依存します。
スキルが非常に高い場合は安定感を上げるチューニングに寄せた方が良いですし、反対にスキルが足らず特定の相手に対して勝率が出ないならば安定感を下げてでもメタカードを投入することが正解となる場合もあります。
ポケモンカードの場合は1枚のメタカードが勝率を10%以上改善させてしまうような場合もあり(例:ミュウ対面のドラピオンVなど)、デッキ分布の予測次第でこういったメタカードに何枚枠を割けるか、という検討も欠かせないと思います。

しかし、デッキ本来の動きを損なうレベルでのメタカードの投入は本来勝てるはずの相手への勝率を落としてしまうだけでなく、メタカードがキレイに刺さっても負けてしまうことがあるので厳禁です。
よくありがちなミスが、ハイブリッドデッキにメタカードをたくさん入れてしまうことです。
ハイブリッドデッキはデッキの枠をギリギリまで使って複数のコンセプトを1つにまとめるデッキであるため、その時点で単コンセプトのデッキより安定感を落としたり特定対面への不利を緩和したりしていることが多く、メタカードの投入と役割が大きく被ります。
その上でメタカードを多投することは当然許容値を大きく超えてデッキの安定感を落とすことになるので注意が必要です。

以上が大型大会の調整における各STEPの説明です。
本来であればこれらのSTEPについて環境把握にかなりの時間をかけた上(2週間以上)で、同時並行で複数のデッキのプレイングスキルを一定まで向上させ、大会の1週間前に改めて詳しい環境把握を行いデッキを確定、最後の1週間で確定したデッキのプレイングスキルとチューニングに全力を注ぐというのをセオリーとしています。
しかし、今回使える時間と自分のスキル的に悠長なことは言ってられないので次のようなスケジュールに設定しました。

  • -1日目(月曜日):環境把握→仮デッキ選択(with友人A)

  • 0日目(火曜日):環境把握→デッキ確定(with友人B)+カード受け取り(友人S)

  • 1日目(水曜日):足りないカードの購入→プレイスキル向上(with友人A)

  • 2日目(木曜日):プレイスキル向上・デッキチューニング(with友人B)

  • 3日目(金曜日):デッキチューニング・予行演習(店舗大会参加)

友人Aと友人BはShadowverseで知り合った友人で、ポケカ界隈では内外からの評価が非常に高い人物です。
信頼のおける彼らに「CLに出ることになったからポケカを教えて欲しい」と頼み込みに行きました。
無理なお願いを聞いてくれた二人には非常に感謝しています。

-1日目:環境把握→仮デッキ選択

まずは世間にどんなデッキがあるのかを知ります。
……ですが適当に検索かけてもなかなかいいまとめサイトに引っかからず。
最終的に一番参考にしたのはGamerchさんでした。
デッキリストは正直初見の自分が見ても怪しいものが多かった気がしますが、各デッキのTierや具体的な動き方・各対面への有効な動き方がなどがコンパクトにまとまっており、環境の大枠を把握する上においては非常に助かりました。
またポケカのnote記事を自動的に収集して投稿してくれるTwitterを発見したので、ざっと流し見して過去1ヶ月分くらいのデッキリストや小規模大会の結果、さらには多くのプレイヤーのデッキ相性について把握していきます。
(今回、自分がnoteで記事を書こうと思ったのもこのTwitterの存在が大きいです)
特に印象に残ったnoteは以下の2つです。

その他にも各対面の立ち回りなどが書かれている記事がたくさんあったりと、カードを未所持の自分にも具体的なシーンが浮かぶような記事がたくさんあって脳内でデッキを回す助けになりました。

ここまでInputを行うと、流石に自分の中でもある程度の認識が固まります。
この時点での自分の認識はだいたい以下の通りでした。

Top Tierはパルキアとロストギラティナ
確定サーチの多さによる安定感を持ったパルキア。
特にサポートに頼らずにデッキを回せるうらこうさくが動きの幅を広めている印象。

一方で《ミラージュゲート》というスーパーカードによる爆発力を秘めているのがロストギラティナ。
こちらは《アクロマの実験》というカードを序盤に使えるかがあまりに大事ですが、サポートのサーチが少ないことが不安定さに拍車をかけているように感じました。

次点のデッキはほぼ横ばい
Tier2にミュウ・ゾロアーク・アルセウス・レジギガス・ロストバレット。
これらがほぼ等数で次点に存在し、さらにその下に雑多なデッキまだ複数存在するという環境。すべてを短時間で把握することが難しいので、Tier2までで全体の90%を占めるという仮定で、これら以外のデッキの存在を無視することとしました。
(10%ならDay1の9戦のうち1回当たるか当たらないか程度の確率で、もし当たっても強いデッキを握れば順当に倒せる可能性が高く、細かい対策を練る必要が無いと考えました)

大会におけるパルキアの難しさ
パルキアは確定サーチの多さによるゲームプランの選択が難しいのは当然ですが、それ以上にシャッフルの多さや時間の使い方が難しいと感じました。
紙のカードにほぼ触れたことない自分はシャッフルで経験者の何倍も時間を使うおそれがあり、また知らないデッキが多い状態で挑めばサーチに非常に時間に費やしてしまい、時間以内にゲームを終了させる自信が無かったためです。

さらにミラーマッチが非常に難しいことも懸念点でした。
パルキアはデッキを回す上でベンチへのポケモン展開が必要ですが、展開がそのまま相手のパルキアの打点を補助することとなります。
このあたりのバランス感覚は長くプレイしないと身に付かないものだと直感的に理解しました。
なぜなら、Shadowverseにおいて直近で猛威を振るっている"フラムグラスネクロマンサー"というデッキタイプが存在するのですが、このデッキも「デッキを回すためには展開する必要があるが、展開されたフォロワーがそのまま相手の打点へ変換される」というパルキアと全く同じ性質を持っており、このミラーマッチを理解するのに非常に時間を費やした経験があるためです。
この時点で、自分のパルキアミラーの勝率は40%以下を想定していました。

ロストギラティナの脆さ
残念ながらどの記事だったかは忘れてしまいましたが、自主大会におけるデッキ分布と決勝トーナメントの進出率を記録したnoteがあり、その結果ではパルキアが3/5、ロストギラティナが1/15という進出率となっていました。
サンプル数が少ないので当然偏りは存在しますが、これは無視できない結果です。
小規模な大会では少なくとも何度も優勝の報告が存在し、強いデッキタイプはあるはずです。
したがって、この結果は以下のうち1つまたは複数が原因と考えられます。
・雑多環境において弱いデッキである
・プレイングが非常に難しいデッキである
・良い構築がまだ固まっていないデッキである
これらいずれの要素も初心者がCLという大型大会でこのデッキを握ることに対して推薦されないと判断しました。

以上がまずは一人で行った環境把握です。
この時点で、まずパルキアを使わないことはほぼ確定しました。
ミラーマッチの勝率が担保できない以上、Day1の目標である7-2ラインを突破するのは厳しいと感じたからです。
この時点ではパルキアの母数をおおよそ20%で考えており、Day1の2~3回は当たる覚悟でした。
さらに、抜け率の良いデッキであることから、後半の相手のプレイスキルが高くなってくるラインで当たることが十分に予測されます。
現実的に1~7回戦の間に1回、8~9回戦で連戦がありえるというのが自分の想定ラインでした。
つまり少なくとも、8~9回戦で1勝はする前提でなければ前半を7連勝で終える必要があります。これはデッキの事故率やメタデッキを踏む可能性を考えると非現実的です。

自分は7-2のラインを前半6-1/後半1-1で乗り切るのがベストだと考えていて、それを達成する要件は「(自分が使って)対パルキアに五分、かつメタデッキが存在しにくい」ことだと考えていました。
これは自分の使うパルキアでは満たせない要件です。

カードパワーが高く弱点の存在しないギラティナデッキは一応この条件を満たしそうですが、ロスト型は前述の理由で食指が動きません。
そんな時に見直していたいくつかのnoteで、パルキアとロストギラティナ相手にうまく立ち回れると記述のあった"アルセウスギラティナデッキ"が目に付き、これをデッキの仮選択として決定しました。

ここまでで約4時間。
仕事の休憩時間と終了後を費やして情報をまとめたところで、上記の情報を持って信頼できる友人Aに相談に行きました。
自分の認識がずれていないか確認してもらうためです。
具体的には以下の指導をしてもらいました。
・相性の認識のずれを修正
・分布予測のずれ
・アルセウスギラティナというデッキ選択の後押し(プレイ難度と立ち位置)
最後にアルセウスギラティナにそらをとぶピカチュウを入れたデッキがパルキアに対して、より優位に立ち回れるということを教えてもらい、その上でデッキを仮組みしてもらいました。
これが自分がCL横浜2023で使ったデッキの原案となります。

友人Aに仮組みしてもらったアルセウスギラティナデッキ(ver1.0)

このデッキを組みながら世界大会の配信を見てパルキアの動き等を簡単に解説してもらっていました。
水曜日の夕方からリアルで練習に付き合ってもらう約束をして、この日は2時間くらいの指導で終了。

0日目:環境把握→デッキ確定+カード受け取り

この日は少し忙しかったためあまり進捗がないです。
仕事をこなしながら裏で友人Bとチャットでやりとりを行うことがメインとなりました。
まず友人Bには現在のデッキ選択を伝え、友人Aに仮組みしてもらったリストを提示し意見を求めました。
違うコミュニティに所属している人同士ではカードの評価基準などが全く違い、色んな人から話を聞くだけでも視野が広がります。実際、友人Bには友人Aとは全く違う視点の評価をもらいました。
さらに、上記のリストでは採用されていないが強そうなカードの存在や、流通している強そうなリストなどを教えてもらいました。
これらの意見を総合して自分でリストを修正してみます。
最初に組んだver1.0と比較して強い/弱い部分を自分の中で咀嚼し、翌日の練習で意識しながらデッキを回せるように準備しました。
友人Bとは木曜日なら全日リモートで練習に付き合ってもらえる約束を取り付けたので、この時点で木曜日は午後から有給休暇を取ることを会社に連絡しました。

友人Bに教えてもらった海外選手のリスト
友人Bの意見を聞き、自分で調整してみたリスト(ver1.1)

☆おまけ
多忙な友人Sからカードを借りるために終電で帰宅する時間に合わせて、友人Sの最寄り駅までリアルの友人に電動自転車を借りて30分かけて行きました。坂多いけど全然辛くなかった、電動自転車ってすごいんだな……。

チャリ借りた友達にツイートから目的がバレた図

1日目:足りないカードの購入→プレイスキル向上

仕事を終えて夕方からカードショップにGO。
友人Sから借りたカードだけでは仮組デッキが作れなかったので、足りないカードをショップで購入しそのまま練習開始。
友人Aが練習相手としてさらにIさんとMさんを連れてきてくれて、約5時間一緒に練習していただきました。
Iさんがパルキアの名手だったこともあり、主にパルキア対面の練習をさせていただきました。
練習の手順は主に以下のような流れを毎ターン取りました。

  • 手札を友人に公開した状態で自分でまず選択肢を考える

  • 選択の根拠を提示した上でその選択肢に対して忌憚のない意見をもらう

  • 最後に友人が正解だと思う手順を提示してもらい、その根拠を提示してもらう

これは自分が個別指導の塾で勉強を教えていた時の手法を応用したもので、自分が友人にShadowverseを教える時によく使う手法です。
この手法では、まず自分で選択肢で考える力を養い、その考え方が上手い人と比べてどれだけずれているかを認識し、最後に正しい認識がどのような手順かを知ることによって、上手い人の考え方に効率よく自らの思考パターンを近付けて行くことが可能になります。
どのレベルまで近付けて行くかは難しいですが、そのターンに処理すべき情報について優先順位がほぼ正しくつけられるようになれば概ね完了だと思っています。
この日のうちに対パルキアの基本的な動きについてはこのレベルまで上げられたので満足の行く調整となりました。
とても丁寧に思考を言語化していていただいた3人には本当に感謝しています。
また何回か前日に自分が差し替えたカードについて意識しながらデッキを回すことによって自分で組んだリストの欠陥についていち早く認識できました。
特にこの日のうちに対パルキアにおける《ビッパ》《ビーダル》が弱いことと《博士の研究》《マリィ》が絶対に4枚確定なことに気付けたのは、早くデッキ理解が進められた結果だと思います。

上手ぶって指令とセレナ散らしを採用したリストver1.2

2日目(木曜日):プレイスキル向上・デッキチューニング

この日は天啓が降りてきます。

友人B「ゆあさん、PTCGOやりませんか?」

PTCGOと言えばゲームは面白いのにパックの買い方が難しかったりで全く流行らないと噂のあの……?と、なりましたが、お互いデジタルでのプレイが慣れていることと、リモート対戦より試行回数が稼げることから効率よく練習できるための提案でした。
ゲーム内にはトレード機能が存在するので、まずはチュートリアルをクリアし、おぼつかない手付きで操作しながら前日に組んだリストをゲーム上に反映します(《セレナ》は実装されていなかったので《ボスの指令》は3枚に戻った)
そして友人Bが管理しているDiscordサーバーに招待してもらい、暇な人に通話に入ってもらいどんどん指摘してもらうという方式を取りました。

結局この日はノンストップで13時から28時までPTCGOをプレイしました。

デジタルを手にした俺は強い。
前述したRatings for シャドウバースも長い時は1日20時間プレイすることもあったので、それを思えば「レート値がかかってないゲームなんてぬるすぎるぜ」ということであっという間に15時間が経ってしまいました。
まだまだ出来そうだったけど次の日の仕事に支障を来しそうたっだので28時で打ち止め。
この日は具体的に以下の2つの練習をします。

  • ランダムマッチで色々な対面を学習

  • ルームマッチで特定の対面について時間無制限で考える

ランダムマッチでは色々な対面を踏みました。
非V系のデッキは特にサーバーの方々もあまり所持しておらず、一度でも対戦した経験があれば本番でも優位に立ち回れることから良い練習になりました。
さらにランダムマッチでは一定時間以内に操作しないと時間切れになる仕様があり非常にあたふたしてましたが、これも早く思考をまとめる良い練習になりました。
ルームマッチでは前日に引き続きパルキアを中心に、一度は当たると予想していたミュウやレジギガス対面、さらにはギラティナミラーなども練習させていただきました。
こちらでは時間制限を廃止することができるので、ランダムマッチとは逆に深く思考する練習をしました。前日同様自分の考えと上手い人の思考をうまくすり合わせていくことで、各対面の動きを学んで行きました。

またリストの見直しも行いました。
具体的には《サンダース》+《メモリーカプセル》の採用です。
非Vデッキが《そらをとぶピカチュウVMAX》の対策をしっかり取っていると、イージーゲームをさせてもらえず相対的に価値が下がるため、それならばいっそピカチュウパッケージを抜いてしまって、パルキア対面がさらに改善するカードを入れたほうがよいのではないか、という発想からリストの改良が始まりました。
特に《メモリーカプセル》はギラティナとの相性が良く、進化した後にひきさくを使えば非Vデッキに対して無双出来るという要素も後押ししました。

結論から言うとこれはダメでした。
パルキアデッキに対して《サンダース》が強いのは、ピカチュウパッケージのおかげでパルキアに対してベンチを絞って戦うことが出来て、最後にダメ押しとして《サンダース》が立つからうらこうさくが止まった後に押し切れるためというもので、《ギラティナVSTAR》との組み合わせではパルキアに勝つのは難しいという結論に落ち着きました。

☆余談ですが実は《サンダース》を使った対パルキアのプレイ指針に関して自分と友人Bたちとでは意見の相違があり、CL終了後に友人Aに相談したところ自分の意見を支持してくれたので、後日機会があればこのあたりについて議論してみたいな、という気持ちがあったりなかったりします(どうせこのデッキはもう使わないのでわざわざ議論してもという気持ちが勝つ)。

没・サンダース入りアルギラデッキ(ver1.3)

一方で収穫もありました。
この時に同時に試した《かがやくサーナイト》がミラーで強く、またミュウやゾロアーク対面でも《おおきなおまもり》と組み合わせれば多少相性が改善するため、一気に本採用まで評価が上がりました。
このカードを無理矢理どこかの枠にねじ込みたいな~と思いながら就寝。
最終日の自分に任せます。

3日目:デッキチューニング・事前知識の詰め込み

この日は本番の予行演習のために、店舗大会参加予定でしたが、前日にPTCGOをプレイしている最中にお世話になったサーバーの方々にオフラインでの調整に誘われたためそちらに参加させていただきました。
仕事を少しだけ早上がりしてショップへGO。
デッキの話をしたり予備のスリーブを購入したりしながら、前日までと同様に練習に付き合ってもらいます。
この日にまたミュウデッキと練習させてもらった結果、やはり《かがやくサーナイト》は入れたいという気持ちになりその場で購入。
練習に付き合ってもらった方々や友人Aに相談し無理やり枠を捻出して無事60枚のデッキが組み上がりました。
またこの日には大会特有の使えるTipsなどを教えてもらいました。
それらを忘れないようにメモして大会当日のルーティンに組み込みます。
この日は疲れを残さないよう早めに帰宅したので、5時間くらいの練習だったと思います。

アルギラ+そらピカデッキ リスト解説

CL前日に完成させたリストver2.0(解説のためTwitterにあげたものから並び順だけ変更)

採用カード・不採用カードについて軽く解説していきます。

採用カード

まずは採用したカードについて解説します。

《アルセウスV》4枚・《アルセウスVSTAR》3枚

デッキの主軸となるカードです。
初動でこれを動かせるかどうかで勝率に如実に差が出ます。
万が一サイドに落ちていたり初動で《博士の研究》をプレイせざるを得ないような状況で、進化ができないと非常に困るのでVSTARは3枚推奨。特定の対面以外では2枚立てることはほぼないので、4枚は入れすぎかなと思います。

《ギラティナV》2枚・《ギラティナVSTAR》2枚

メインアタッカーその1。
ロストインパクトがVSTARポケモンを基本的に一撃で落とす上に弱点・抵抗が存在しないので、VSTARデッキミラーだとほぼほぼサイドレースに勝利できるスーパーテンポモンスター
しかし、起動があまりに重く1試合で2枚使う展開がほぼないので2-2での採用。
ロストバレット対面など、非V系統には進化せずひきさくを連打する展開も多いので忘れないこと(基本的にはピカチュウで戦うが、サイド落ちしてる場合などはしっかりと選択肢に入れます)。

《そらをとぶピカチュウV》2枚・《そらをとぶピカチュウVMAX》2枚

メインアタッカーその2。
パルキアの弱点をつける上にレジなどの種ポケモンデッキからは一切ダメージを受けない。おまけに高耐久という汎用的メタカードの王者のような性能。
《基本雷エネルギー》+《ダブルターボエネルギー》で起動するダイバルーンは軽く非常に優秀で、対パルキアでアルセウスを経由せずに勝つパターンも存在します。
またにげるに必要なエネルギーが0なこともあって初手ポケモンとしても非常に優秀な性能を誇ります。
この要素があまりに優秀なため《そらをとぶピカチュウV》は枠があれば3枚採用でも良いと思っていますが、進化後は必ずしも2面立てる必要がない(パルキア対面でもピカチュウ+ギラティナで良いことが多い)ので、その場合も《そらをとぶピカチュウVMAX》は2枚採用を推薦します。

《バケッチャ》1枚

スタジアムを割れる唯一無二の性能。
スターバースを使う前に《頂への雪道》を貼られてしまうとこのデッキは回答が無いので、つよわいけど必須枠です。

《ネオラントV》1枚・《クロバットV》1枚

デッキの潤滑油。
このデッキは思ったよりも中身がスッカスカなので、潤滑油はできるだけ詰め込みたいです。

毎ターンサポートカードをプレイこそしっかり回るデッキなので事故回避要因として《ネオラントV》は1枚採用。
サポートをプレイしてさらにドローしたい、あるいはサポートをプレイせずにドローしたい(先攻1ターン目や《ボスの指令》を探したいときなど)時に便利なカードなので《クロバットV》も1枚採用。
両ポケモンともパルキア対面では《クロススイッチャー》で呼び出されて落ちてしまうことが多いので、出す時は本当に必要があるのか考えること。

《クロバットV》は《おおきなおまもり》をつけるとたまにパルキアの一撃をかわすので覚えておくと良いです。

《かがやくサーナイト》1枚

浅く広く見られるゆるゆるメタカード枠。
ギラティナミラーやミュウ・ゾロアークに対して《おおきなおまもり》と組み合わせることで、こちらのアタッカーをワンパンラインから逃がすことが可能になります。たまにサイコキネシスで殴ります。

《クイックボール》4枚・《ハイパーボール》4枚

デッキの潤滑油その2。
必要なカードを持ってくる以外も《博士の研究》をプレイする前に適当にいらないカードを持ってきて山を圧縮する用途や、《セレナ》《クロバットV》のドロー量を増やすためにわざと手札を減らす用途でも使います。
パルキアなど、相手のデッキに《やまびこホーン》が入っている場合、トラッシュするカードには細心の注意を払うこと。

《しんかのおこう》1枚

感覚的には《そらをとぶピカチュウVMAX》と《ギラティナVSTAR》の2.5枚目くらいのノリ。
3枚積みたいけど積めないカードの代わりに安定感をあげるために1枠で圧縮して採用するカード。
当然、場合によっては《アルセウスVSTAR》を持ってくるし山圧縮でも使います。

《ポケモンいれかえ》1枚・《ふうせん》1枚

よく使うのはベンチで進化した《アルセウスVSTAR》をバトル場に出すとききだと思います。サイド落ちすると困るのと終盤でも絶対に出番があるカードなので合計2枚の採用としています。
両者の比較ですが、例えば《ふうせん》は後手1ターン目に《博士の研究》で流したい手札の時に、あらかじめつけておけるのが優秀です(2ターン目に逃げる→トリニティノヴァの流れなど)。
一方で《こだわりベルト》や《おおきなおまもり》と同時につけれないため、《ふうせん》がついていることでケア範囲が狭まることもあり得ます。
ピーキーな性能なので丸くするために1枚ずつの採用としました。
他の採用カード次第ではどちらかに採用が傾く枠だと思います

《こだわりベルト》1枚・《おおきなおまもり》1枚

それぞれ1枚あるだけで相手のケア範囲を貫通出来る良カード。
《おおきなおまもり》は割と状況によってつける場所が変わる難しいカードですが、《こだわりベルト》はまだ簡単な印象です。よくあるのは
・《ダブルターボエネルギー》がついた《そらをとぶピカチュウVMAX》:《パルキアVMAX》に《おおきなおまもり》がついてもワンパンできるライン
・《ギラティナVSTAR》:相手のVSTARポケモンにつく《おおきなおまもり》をケアしたいとき
・《アルセウスVSTAR》:相手にHP210のポケモンがいるとき(200-20+30)

《博士の研究》4枚・《マリィ》4枚

このデッキの潤滑油その3。
ほぼ毎ターンどちらかのサポートはプレイすると考えた方が良いです。
《マリィ》は相手を妨害する良いカードですが、特定のカードが絶対に欲しい時はリスクを考慮してでも《博士の研究》をプレイした方が良いことが多いです。
《博士の研究》はトラッシュなので、中盤は最終ターンにほぼ探すことになる《ボスの指令》と《セレナ》の枚数だけは確認した方が良いです。

《ボスの指令》2枚・《セレナ》1枚

サイドプランに関わるカード。
2-2-2を狙うときは、最終ターンにほぼプレイすることになります。
用途のほとんどがVポケモンを呼び出すことなので《セレナ》に1枚散らしています。
2枚以上は《セレナ》のトラッシュが重いのと、せっかく有利な非V系のデッキへの勝率を落としてしまうことに繋がるので非推奨。

《キバナ》1枚

《アルセウスVSTAR》が絡まなかった試合や《ギラティナVSTAR》を複数回動かす場合に最後の捲り札となり得るカード。
かなり用途が限定的ですが、これでしか解決できない場面が絶対に存在するので1枚だけ採用。
環境次第では動かしていいカードの第一候補枠として見ています。

《頂への雪道》3枚

「先2雪道マリィ最強っす」
デッキの脆い部分をごまかすカード。
これを貼って相手が止まってくることをお祈りすることも少なくない。
相手に一度は割られる前提で2回貼りたいことも多いので3枚採用。
ここも1枚は動かしていい枠だと思っています。

《ダブルターボエネルギー》4枚

デッキの根幹。
後手1トリニティチャージはすべてをまくる呪文である。
ロストインパクトのロスト先としても優秀だったり、にげるに必要なエネルギーとしても優秀。このカードのおかげでこのデッキは成り立っています。

《基本雷エネルギー》3枚・《基本超エネルギー》3枚・《基本草エネルギー》3枚

採用アタッカーによって変化する枠。
最初のデッキ確認で各エネルギーのサイド落ち枚数はしっかり確認しましょう。

不採用カード

次に採用を検討したが不採用としたカードについて説明します。

《ビッパ》《ビーダル》

最初に試してすぐに弱いと判断したカードです。
このカードの主張として《ツツジ》や《マリィ》に対して強いという点がよく挙げられます。
しかしこのデッキは終盤ではすでに盤面が完成していることが多く、特に必要なカードが少ないことが多いです。
2-2-2でサイドを取り切るパターンの時は《ボスの指令》が欲しい場面が多発しますが、例えばパルキアの場合《ツツジ》を使用すると《メロン》や《キバナ》を使用できないことから、エネルギー状態がよっぽど良くない限りサイドレースをひっくり返すことが難しく、追加ターンをもらえることがしばしばあります。
また最も重要な1ターン目の初動に全く絡まないカードであり、事故率を上げているだけのカードなので即刻不採用としました。

《ともだちてちょう》《ふつうのつりざお》

デッキの仕様上どうしてもトラッシュに必要なカードが落ちることが多いので、そういった事故を回避する保険カード。
ですが、落ちたカードを前提にプランを再構築できることや、本当に必要な試合が10試合に1試合あるかどうか程度なので、枠の奪い合いで不採用としました。
枠に余裕があれば採用してたかもしれないカードの1つです。

《イーブイ》《サンダース》《メモリーカプセル》

前述の通り。
本当にパルキアしかいない環境の時は《そらをとぶピカチュウV》と合わせて採用していたと思います。
詳しくはこちらの記事を参考にするのが良いと思います。

《崩れたスタジアム》

パルキアに対しては元々ベンチを絞って戦うので意味無し。
《そらをとぶピカチュウVMAX》だけでレジにも勝てるので意味無し。
《そらをとぶピカチュウVMAX》を採用しない場合は考えてもいいと思いますが、前述の通り"雪道マリィ"がこのデッキの脆い部分を補っているので、入っても1枚だと思います。

《ドラピオンV》

対ミュウの相性差をひっくり返す、ミュウだけのための決戦兵器。
確かにこのデッキは普通にプレイすればミュウに不利がついてそうですが、ミュウの使用率がそもそもそこまで高くないこと、先述した《かがやくサーナイト》と《おおきなおまもり》戦術で耐久ルートがあること、最強呪文雪道マリィで止まることがしばしばあることから、過剰メタで総合勝率を落としていると判断しました。
体感ですが15%近くミュウがいるなら採用しても良いカードだと思います。

CL当日の結果振り返り

簡単に各試合を振り返って行きます。

Day1 1回戦 ○先攻 パルキア

先攻アルセウスで良いスタートを切ります。
相手に後手1で雪道を貼られて《バケッチャ》を誘われたので2-3-1でサイドを取り切られる展開が怖かったですが、テンポを渡さずに危なげなく勝利。

Day1 2回戦 ○先攻 ロストギラティナ

後手1で2枚《バトルVIPパス》をプレイされて顔が歪みますが《ギラティナVSTAR》のサイド落ちなどに助けられて、アタッカーを取り切り勝利。

Day1 3回戦 ○後攻 パルキア

後手1トリニティチャージでしっかり捲って勝利。

Day1 4回戦 ✕先攻 パルキア(時間切れ)

自分がバカすぎて勝ち確定の盤面でミスをして落としてしまいます。
さらにその後、自分の手番が返ってきたら確定情報で勝ちというところで、相手ターンで時間が切れて両者敗北。
初心者みたいなミスをして萎えてましたが、冷静に自分が本当に初心者だったことを思い出してメンタル復帰します。

Day1 5回戦 ✕先攻 ロストギラティナ

先程のミスのせいで天罰が下ったかのような初手。
《ギラティナV》スタートで手札がサポート5枚+《頂への雪道》+《こだわりベルト》で初手投了を考えるレベル。
相手も平均以下くらいの回り方でしたが、まくれる要素がなくあっという間に敗北。

Day1 6回戦 ○先攻 アルセウスギラティナピカチュウ

初めて当たる完全同系ミラーにテンションが上がります。
試合自体は先攻でしっかりテンポを渡さずに勝利。

Day1 7回戦 ○先攻 キュレム

《キュレムVMAX》が鋼弱点なことを知らずにダイバルーンで殴る恥を晒しますが、《頂への雪道》が強すぎて相手止まって勝ち。

Day1 8回戦 ○後攻 パルキア(配信卓)

後述します。

Day1 9回戦 ○先攻 ロストバレット

相手が《ドラピオンV》スタートでデッキタイプがわからず、アタッカーにギラティナを選択してしまいますがこれが大裏目。
ですが軌道修正して《ギラティナV》を進化せず《おおきなおまもり》をつけた状態で何度もひきさくを打って、アドを取ってギリギリ勝利。
この試合で目標だったDay2進出を決めました。

Day2 1回戦 ○先攻 アルセウスギラティナ

2回目の同系ミラー。
順当に先攻で展開して《おおきなおまもり》をつけた《ギラティナVSTAR》で1:2交換を狙ってイージーウィンを目指しますが、相手の方もワンチャンスをしっかり通そうとしてきて辛勝。お見事でした。

Day2 2回戦 ✕後攻 ゾロアーク

練習してない対面その1。
おまけに不利対面&初手が渋かったのでなすすべなく敗北。

Day2 3回戦 ✕先攻 れんげきウーラオス

本当に知らない対面来た、って内心でめっちゃ焦ります。
相手がシャッフルしている間に《オクタン》の効果とかめっちゃ読ませてもらいました。
裏の進化前の《れんげきウーラオスV》を落として1-2-3プランを狙いますが、《モミ》を綺麗に2回使い回されて負け。

Day2 4回戦 ✕先攻 キュレム

キュレムは鋼弱点であることはしっかり覚えていましたが、プランを間違えて敗北。
ここに来て明確に練度が足りなくて負ける試合を経験してボロが出てきたなと感じます。

Day2 5回戦 ○後攻 ディアルガ

相手が事故ってる間に《ディアルガV》を2枚落としてイージーウィン。
最後は寂しそうにベンチにコイルが2枚だけ残されてました。

最終結果

Day1:7-2/Day2:2-3 156位でフィニッシュ。
Day1はパルキアに1敗と大事故で1敗と、一応自分の想定通りの負けを踏んで予定通りの突破。
Day2では想定外の不利デッキを踏んでポケカの厳しさを知りました。
自分のプレイングが完璧なら11-3でフィニッシュできてそうだったので、次回のCL京都では最低でも11-3、BEST32を目標に頑張りたいと思います。

配信卓振り返り

最後に配信卓のプレイ時に何を考えていたのかを振り返ります。
非常に難しい試合だったので各ターンごとに分けて思考を落としていきます。
また、各ターンごとに自分で反省についても記載しておりますが、もっと良い選択肢がある、という場合にはぜひTwitterのDM等でご指摘いただけると幸いです。

1ターン目

パルキア相手に後攻を取ったので全力で《ダブルターボエネルギー》を探しに行く動きを目指しています。
まずは《クイックボール》で山を確認。
山の確認ではすべてを把握することは難しいので、以下のものだけ確認することを事前に決めています。

  • 《アルセウスV》《アルセウスVSTAR》以外のポケモンの数:枚数が少なく、ゲームプランに関わるため

  • 《ポケモンいれかえ》《ふうせん》の有無:序盤でベンチの《アルセウスV》をバトル場に出すのに1枚使用/その後終盤で1枚使えるかどうかがゲーム進行に関わるため

  • 《キバナ》の有無:不利展開をまくる時に使う。主に《ギラティナVSTAR》が何回動けるかに関わるため

  • 基本エネの枚数:主に《ギラティナVSTAR》が何回動けるかに関わるため

  • 《こだわりベルト》《おおきなおまもり》の有無:対パルキアの場合、相手の《おおきなおまもり》がついた《パルキアVSTAR》がケアできるかどうかと、ベンチに出して良い枚数が変わるため

この確認で《そらをとぶピカチュウV》《基本超エネルギー》《かがやくサーナイト》が落ちていることを把握します。
サポートやグッズの枚数などは数えられないので見ていません。

まずは《ダブルターボエネルギー》をめくるために《セレナ》で手札を3枚落としてドローを進めています。

ここは明確にミスだったと思っています。

ここでの思考は事前に決めていた通り《ダブルターボエネルギー》を全力で引きに行くというというものでしたが、対戦相手の初手に《パルキアV》が出ていないことから先攻2ターン目で《アルセウスV》が落ちることもなく、さらには初手にエネルギーを貼れていないことから非常に動きとしては弱い部類に入ります。
したがって、こちらもある程度弱い動きで返しても問題なく、手札にあった《基本草エネルギー》を《アルセウスV》に貼るだけでも十分にフラットな進行でゲームできたかなと思います。
事前にプランを固めすぎていたことの弊害で、一番反省しているポイントです。

ここでは《基本草エネルギー》を手札に抱えながら3枚ドローするプレイが正解だったと思います。
ドロー枚数が1枚減りますが、それでも動きとしては十分強く、最低保障が残ります。
「正直このターンたくさん引くし、ダブルターボめくれなくても基本エネくらい引くやろ~」という気持ちでしたが、結果として引かずに敗北濃厚な初手となったので大反省です。

さて現実は《セレナ》のドロー先で《ダブルターボエネルギー》を引かなかったのでさらにドローするために《クロバットV》を探しに行きます。
ここで《ギラティナV》の2枚目をトラッシュしていますが、これも明確にはミスとは言えないものの、もう少し考えて良かったポイントだと思います。

ここでの思考としては、《ダブルターボエネルギー》を引かなかった場合はさらに《クロバットV》でドローすることを決めており、もし《ギラティナV》もベンチに出したときの相手のあくうのうねりの最大値が220点です。
これは《かがやくゲッコウガ》のげっこうしゅりけんと合わせて《そらをとぶピカチュウVMAX》がきぜつするラインなので嫌っています。
また、2Tに確実に《そらをとぶピカチュウVMAX》は進化する予定でしたが、手札的に《ギラティナV》は進化出来ない可能性があり、ベンチの《ギラティナV》と《クロバットV》を一撃で落とされて《そらをとぶピカチュウVMAX》や《アルセウスVSTAR》を無視しながら進む進行が考えられます。
こちら視点は《アルセウスV》と《そらをとぶピカチュウVMAX》が両方一撃で落ちないことを前提にターンをもらいに行っていることや、サイドレースで《やまびこホーン》+《ボスの指令》を要求をすることで要求値を上げるゲームを目指したいので、その展開は非常に好ましくありません。
そのためここでは《ギラティナV》をゲーム中に使わない選択肢を取っています。

しかしサイドの取り方として、《そらをとぶピカチュウVMAX》が《パルキアV》を2枚、《アルセウスVSTAR》が非Vポケモンを2枚落とすプランの場合、このターンにエネルギーが貼れないことがそのまま2Tのトリニティノヴァを打てないことに繋がり敗着となります。
この場合、3枚目の《パルキアV》を落とさないとサイドレースで負ける可能性が高く、サイドから《そらをとぶピカチュウV》を拾えないとアタッカー不足に陥る可能性が高くなります。
つまり、《基本草エネルギー》を手札から落として《ダブルターボエネルギー》を引きに行く選択を取る場合、最低値を取った時の勝ちの目を残すために《ギラティナV》を出した方が良いかもしれない、というのが試合を振り返った後の自分の感想でした。
(手札に見えている《おおきなおまもり》をつければ相手の裏取りをかわすことも出来るというのも要因の1つです。相手の《パルキアVSTAR》に《おおきなおまもり》がついた時に、こちらが《こだわりベルト》を装備できないことが敗着になる可能性はありますが)

いずれにせよ、この《ギラティナV》は簡単に捨てていいカードではなく、もう少し思考に時間を費やすべきでした。

さて《クロバットV》の5枚ドローで何も引かず「終わった……」の顔をしています。
山の圧縮だけしてターンを返します。
この時点で8割以上負けたなって思っています。

2ターン目

非常に難しいターンです。
《たっぷりバケツ》を使用して《基本水エネルギー》を2枚回収したのに、その2枚をトラッシュしてエネルギーを貼らずにターンが返ってきました。
とりあえずこの情報だけで、手札にはエネを手貼りするより大事な次のターンに必要なカードが揃っているということがわかります。
しかし、こちらも《ダブルターボエネルギー》を引けないとそもそもゲームにならないので、《マリィ》をプレイするか《博士の研究》プレイするかの選択肢で非常に悩んでいます。

例えば1Tにベンチにも《アルセウスV》を出しておいた展開だと、ベンチの《アルセウスV》を進化→スターバースで《ダブルターボエネルギー》を回収してバトル場の《アルセウスV》でトリニティチャージを打ちながら《マリィ》でハンドを流す、などの展開も可能でした。
この対面でベンチを広げること自体はリスクですが、バトル場の《アルセウスV》に《おおきなおまもり》をつけていることもあり、落とす場合にもうらこうさく等で1枚サーチさせるカードが《こだわりベルト》になるのでその展開も強かったな、と少し後悔しながらプレイしています。

悩んだ結果、自分の動きを優先して《ダブルターボエネルギー》を全力で引きに行くため《博士の研究》をプレイしました(確か山上6枚目だったので結果論的にも正解でした)。
次のターンから《そらをとぶピカチュウVMAX》でまくりに行くので、《アルセウスV》は進化せずトリニティチャージを打つ選択肢を取るために《アルセウスVSTAR》はトラッシュに送っています。
一応、進化して技を打たず《アルセウスVSTAR》ではなく《そらをとぶピカチュウVMAX》にエネルギーをつける展開もありますが、その場合、《おおきなおまもり》がついた《パルキアVSTAR》を落とすためには《こだわりベルト》が必要となり、かなり要求値が上がります。
スターバースで持ってくるカードとして《こだわりベルト》は非常に弱く、動きを制限したくないのでここは進化しない選択肢を選びました(単純にトリニティチャージを打って山を圧縮したいという目的もあります)。
もし《アルセウスV》に《おおきなおまもり》がついていなかった場合、《やまびこホーン》または《こだわりベルト》で《アルセウスV》が落とされるのを嫌って進化していたと思います。
《おおきなおまもり》がいい味出してる。

3ターン目

このターンの初動は細かいですが《しんかのおこう》が先でした。
元々手札に《アルセウスVSTAR》があったという情報アドバンテージを相手に与えてしまっています。

相手の手札はサーチ先のカードをすべて使用したので情報としては0です。
その他得られる情報といえば相手が《クロススイッチャー》を使用したということです。
パルキアというデッキタイプに入っているベンチの呼び出しカードは《クロススイッチャー》4枚と《ボスの指令》1枚の合計3回分であることが多く、ここで3回のうちの1回を使用したという情報量はかなり大きいです。
なぜなら、これ以降ベンチに置いた進化前ポケモンなどを呼び出されて落とされる可能性が大きく減ったためです。
さらに《アルセウスVMAX》の残りHPが290でベンチの枚数が増えても1ターンでは落ちないこと、逆に《そらをとぶピカチュウVMAX》のHPは190なので絶対に1ターンで落ちてしまうことから、ベンチへの展開が許される展開となります。
またこの《そらをとぶピカチュウVMAX》がベンチに逃げた場合、再度バトル場に呼び出されて落とされる可能性も低くなっており、安全にベンチに下げることが可能です。
もう少し具体的に言うと、

  • このターンで相手の《インテレオン》を落とした場合、《回収ネット》を使えないので相手のうらこうさくの総枚数が減り、《クロススイッチャー》が揃う可能性が低くなること

  • さらにエネルギーを手貼りできない場合は《メロン》などのサポートをプレイする必要があり《ボスの指令》がプレイできなくなること

これらが《そらをとぶピカチュウVMAX》を比較的安全に下げられる根拠になります。
相手視点は《そらをとぶピカチュウVMAX》にダメージを負わせてプレッシャーを与えたいのに、こちら視点はそれでも1-1交換以上が可能性が高くなっているという駆け引きはこのゲームの面白いところですね。

相手にあまり効果はないかもしれませんが、しっかり《マリィ》をプレイして自分の不要牌を山に戻して、《インテレオン》をトリニティノヴァで倒してターン終了。
この時点山に残っているエネルギーが《基本雷エネルギー》1枚だったはずで、それはサイドから拾った《そらをとぶピカチュウV》に貼りたかったので、このトリニティノヴァは追加効果を使用しません。
一応確認のために山札を見るかと思いながら、無意識にサイドを先に見てしまってジャッジに静止されていますね。
どうせエネルギーはつけない予定だったのでミスではないですが、こういう処理順問題はDCGの人間には非常に厳しい。
純粋にゲームのことだけを考えながらプレイできるDCGと違って、他のことを思考しながら慣れない操作をするの難しすぎて「紙のプレイヤーはみんな手と脳が分離してるの?」って思ってます。

サイドから取ったカードが《そらをとぶピカチュウV》で、先程の根拠からベンチに比較的安全に展開出来るので、ここで勝ちをかなり意識し始めます

4ターン目

前ターンに概ね読んだ通り相手が《メロン》を使用して《ボスの指令》をかわせたので、《そらをとぶピカチュウVMAX》が生存してターンが返ってきました。
まずは《ポケモンいれかえ》を使って《そらをとぶピカチュウVMAX》をバトル場に出します(ここで《おおきなおまもり》がカメラに見えるようにしてください、とジャッジに怒られています笑)

進化前の《そらをとぶピカチュウV》にこだわりベルトをつけているのは前述の通り、《ダブルターボエネルギー》をつけても《おおきなおまもり》をつけた《パルキアVSTAR》を一撃で落とすためです。

このターンも相手の動きが弱かったので《マリィ》をプレイするか悩みますが、手から貼れるエネルギーがなかったので自分の動き優先で《マリィ》をプレイします。
《ダブルターボエネルギー》を引けてこの時点でほぼ勝ちを確信しました。

5ターン目

ここで《基本雷エネルギー》を直接持ってこれたのはラッキーでしたが、スターバースが残っているのでボール系統または《バケッチャ》の素引きでも良いのでかなり受けは広かったと思います。
逆に引けたことでスターバースを打つかどうかの検討をする時間が生まれました。

《バケッチャ》を置いてスターバースを打った時の裏目は、ベンチの《アルセウスVSTAR》と《バケッチャ》が同時にげっこうしゅりけんで落とされてサイドを取りきられる展開です。
ですが、そのために必要なエネルギーを貼るのに少なくとも3ターンかかり

  • そもそも残り時間的に2ターン以上は無さそうなこと

  • 次の自分の初動が確保できないことの方がリスクであること

  • バケッチャをバトル場にロックされても《ふうせん》と《ダブルターボエネルギー》という解決札がしっかりデッキに残っていること

を考慮した結果、《バケッチャ》を経由してスターバースを使用し、《そらをとぶピカチュウVMAX》と次の初動になるサポートカード(《博士の研究》or《マリィ》)を手札に加えるほうが価値が高そうだなと判断しました。

6ターン目

《ダブルターボエネルギー》が手札にあったので、《頂への雪道》か《ふうせん》を引けば勝ち!って言いながら《博士の研究》をプレイして勝利。
形勢が逆転してからも最後まで相手にワンチャンスを作られて非常に苦しい試合でした。

おわりに

ここまで目を通していただいてありがとうございます。
楽しんでいただけましたでしょうか。
あるいは何かの参考になる部分はありましたでしょうか。
読んでいただいた方の心のどこかに引っかかる記事になっていれば幸いです。

最後に一つだけ伝えたいのは、自分は3日で出来る手を極限まで尽くしましたが、それでもDay2進出は運が良かった結果だったということです。
それは当然CL当日のデッキ事故の少なさも含まれますが、それ以上に他のゲームで知り合った友達がたまたまポケカがすごく上手くて、たまたま予定が空いていて教えてもらえることになったこともすべて自分の運がとても良かったからです。
ですから、自分にできたから誰にでもできるなんて傲慢なことを言うつもりはありません。
ただ、自分の考え方が、今からポケカを始める人あるいは今までポケカを楽しんできた人がもっと競技に真剣に取り組む楽しさを与えるきっかけになればいいなと思っています。

長くなりましたが、本記事は以上となります。
ここまで読んでいたただいてありがとうございました。

最後に、冒頭で述べた通り、以降の有料部分で友人に聞かれたことやTwitter上で見た疑問についてQ&A形式で回答したいと思います。
(「インタビューで歴3日であることをなぜ明かしたのか」や「配信卓の感想」など)
収益は教えてもらった方々へのお礼に使いたいと考えていますので、もしこの記事を楽しんでもらえたなら投げ銭感覚で購入していただけると幸いです。

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もし本記事を読んでカードゲームの競技プレイに興味を持ったという方がいらっしゃいましたら、自分のこちらの記事にもぜひ目を通してみてください。
内容は簡単にまとめると「汎用的に選択肢を絞り込む思考パターンを作るために、探索アルゴリズムを応用してみる」というものです。
題材はShadowverseとなっていますが、特にゲームを知らなくても読める内容になっていますので、お楽しみいただければ幸いです。


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