アホ竹 ✔︎︎︎︎
喫煙所に入ってよかったと思える事があった
友達のバイトの面接の待ち時間
健康と興味本位でタバコの離煙パイプを買った
さっそく吸おうと思ったけど、離煙パイプは吸殻入れに入れていいのか?気になって、ゲームセンターの喫煙所横のデジタルポーカー用の椅子に座ってそれを調べていた。すると、店員さんに「利用者のために空けておいてもらえますか」と言われ謝ってそそくさと真意分からずまま喫煙所へ入った。2人くしか入れない狭い喫煙所に先着のおっさんがいた。おっさんは薄ら白髪の坊主のハゲでメガネかけてて歯は黄色くて少なくて、アホすぎる竹中直人みたいなおっさん(以降 アホ竹)だった、これは反面教師にしようと思いながらタバコに火をつけた。
すると、アホ竹がなんかコッチ向いて口パクパクしている。ぼくがイヤホンをしていることにも気づかずに声かけてきたので、聴いていたmoniの『ラブリー』を止めて「はい?」と聞き返した、すると滑舌の甘いガタガタな声で「さっきなんか注意されてたよね」イジってきた。なめんな、その日 見た目の怖さには自信があった、緑髪 長い顎ヒゲ 柄シャツ、なんだお前は。「あー、ゲーム使ってなかったんで注意されました」「、、へぇー」なんなんだよ、そんなことでぼくのラブリー止めんな。再度右耳のボタンでラブリーを再生する。「トゲトゲのラブリー妄想中♪どれだけキスしたこ、、、」アホ竹がまた口パクパクしだした、次はぼくの頭上を見ている。聞き返すのも感じが悪いので「いやーそうですねー」と言いながらまたラブリーを止めた。
何の話だ、ぼくの頭上を見ながら「いくらぐらいしたの?」緑髪の話だ。
「3000円くらいで」
「3000円!?ワシらの時代は7.8000円したからの」
アホ竹は''ワシらの時代おじさん''だった。長話を覚悟
「えー、まあ物価が高くなっていく分、自分で出来るようになったのも増えたんじゃないですかね」
自分でも何言ってるか分からない。アホ竹は頷く。
「そうやなあ、色入れる前に金髪か銀髪にしたりしたの?」「そうですね、一回は金髪しました」
「ワシらの時代は色入れるのと別で脱色しないかんかったからの、少しでも安くしようと、頭にビールかけたりオキシドールかけたりして、どうにかこうにか」
なんか聞いたことある、昔はビールかけていただとか、にしてもアホ竹はテンプレおじさんで、、、ハゲている!!アホ竹は現在ハゲている!!これ触れちゃダメかな、絶対その過去ありきでハゲてるじゃん!!え!?
「いやー、頭ひねってたんですね」
頭にしか目がいかない、安く工夫して髪を染めようとするうすらハゲのアホ竹は未来のぼくなのかもしれない、そう思うと親近感が湧いてきた。
「そーだよね、物価高くなって、セブンスターなんか80円だったんだよ?今となっては600円!」
「タバコ税いつ止まるんですかね」
「だから電子タバコはじめてさ、」
「そうですよね、初期投資高い分 安く済むというか」
「そうなんだけど、二回使っちゃったら壊れちゃって」
「えー、ザンネン」
「初期投資は高くてすぐ壊れてアレはもうダメだよ、ありがとね」と言い残して、アホ竹は喫煙所を去った
思ったより、アホ竹はアホじゃなかった
ちょっと難しそうな言葉を使って賢くなった気分だ
ぼくと対等に喋ってくれる理想的な大人だった
喫煙所の中からみるアホ竹の後ろ姿は全然アホすぎる竹中直人ではなく残念な渡辺謙だった ハゲには変わりない
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