あなたが、社長やってみたらどうですか?の巻
最初に入った会社でのランチを思い出す。
お局様が、ランチの時に怒っていた。
私たちは、別に仲が良かったわけではなく、
「女子社員の心の壁を取るために」
定例ランチが催されていた。
ご飯を美味しく食べられるほど、リラックスしたものではなく、
水を継いだり、先輩の話を聞くことで、むしろ気疲れしていた。
ランチ定例会は金曜日だったから、それが救いだった。
このランチを乗り切って、午後の仕事を片付ければ週末だ。
S先輩は怒っていた。
「もう、私のボーナス減らされてたんだから!
私なんて、ここを出たら仕事ないんだから、
従業員の気持ちを考えて欲しいの!」
そうですよね~、ひどい。ボーナスが減るなんて!
と、頷きながら相槌を打った。
取り合えず、ここは、先輩の怒りの寄り添ってみた。
この時だと思う。
私の「社会人スキル」が成長したのは。
しかし、私の中に、何か
「一抹のモヤモヤ」が残ることにも気づいた。
これは、何だろうか。
あれからうん十年。
会社員もやったが、
一人で大きな予算のプロジェクトを任されたり、
リーダー役を任されたり、
経営者の夫と結婚し、
「雇う側の立場」も分かるようになった。
イタリア食材の主任バイヤーだった時、
取引先の窓口は、社長が多かった。
イタリアは家族経営のところが多い。
『経営する側の苦労が分かるだろうか?』
と話をしたことがあった。
日本人は、まだ統制がとれる。
社長が指示すれば、仕事はするだろう。
しかし、イタリア人は・・・カオスだった。
移民も多いし、そんな人たちをまとめる社長の苦労って。
家族だけではなく、従業員の人生も背負っているんだ。
苦しい、厳しい決断も必要だ。
憎まれ役、の時もあるだろう。
リーダーの気持ちは、自分がリーダーをやらないと
分からない。
日本人はリーダーになりたがらない、と言われている。
だから、いつまで経っても、リーダーのことが分からないし、
「雇われ人根性」が消えないのではないだろうか。
「私、雇われているだけですから」と、
思っている人も未だに多いのでは。
でも、それって、今の時代に通用するの?
コロナで、価値観がぶっ壊れているのに。
当事者意識で働けるかどうかが、大きなカギだと思う。
あれから数十年。
あの時のランチ会で、S先輩は怒っていた。
「もう、私のボーナス減らされてたんだから!
私なんて、ここを出たら仕事ないんだから、
従業員の気持ちを考えて欲しいの!」
そっか、私のあの時のモヤモヤが言語化できた。
今なら、私はこう言いたい。
『他の会社で雇ってもらえないような人材を
雇ってくれている会社』に感謝すべきではない
ですか、S先輩。
先輩が、社長をやってみたらいかがですか。
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