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【ハルとカグヤ】

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これは地球が滅びた後のお話。
人類は、『宇宙の自然と文化遺産の保護施設』となる巨大宇宙船を置き土産に、地球を脱出し新天地を目指して旅立って行きました。

宇宙船"カプセルセンター ノア・テラス号"内にあるのは、植物園のスプリングゾーン、水族館のサマーゾーン、動物園のオータムゾーン、図書館(文化・テクノロジーデータバンク)のウィンターゾーン。

スプリングゾーンの中核に配置されているのは、宇宙中の植物の保存を目的として造られた、巨大種芋のカグヤ。人間の細胞も持っており、肉塊のようにぶよぶよです。
カグヤはどんな植物の花粉でも受粉し子を生んだり、植物の特徴を持った人間を生み出し、ゾーン内の植物や自分のお世話をさせたり、採取担当職員として宇宙に派遣したりします。

ハルはカグヤによって、繁殖力が取り柄のよくある雑草から生み出されました。その容姿は、あまりにカグヤ好みでした。そして、言ってしまったのです。
「ワ、ワタシト ツキアッテクダサイ…!」
「君が僕のお母さん? いいよ。君のお名前は?」
「カグヤッテイイマス!」
「カグヤだね。僕の名前はなんと言うの?」
「エート…ハルクン!ゾーンノ ナマエヲ アゲル!」
これが、ふたりのなれそめです。


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ハルは大変な謙遜家で全体主義。自分にほぼ価値を見出だしておらず、誰の言いなりにでもなり、簡単に体や命を投げ出します。
沢山株増えちゃったから、草食動物が幾らか僕らを食べて間引きしてくれないかな~的な雑草の本能のようなものがそのまま思考の癖に残っており、カグヤに即OKしちゃったのも、カグヤが悲しむのにすぐ体を張って死んじゃうのも、そのあたり。
細胞が回収され蘇り『ごめんね、次はがんばるね』と言いながら、またすぐ体を張っちゃいます。

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真っ二つになると、時間をかけて再生し2人になる程度の再生力も持っています。
1人余計だったら死ぬか殺すねとか、また死ぬかもしれないからカグヤの所に1人送っておく?とか、雑なセリフが通信機から送られてきて、カグヤは(そういうトコは改めてほしいなっ)て思ってます。

カグヤのことは可愛い女の子だと思っているし、自分より生物として強い品種だから尊敬しているし、彼女な分特別扱いもしているけど、もし誰かに告白されて、彼女がいると言っても退かれなかった場合…
『本当に僕が欲しいの?』と聞いて、頷かれれば自分の体を半分にちぎり、微笑んで『はいどうぞ』してしまう。
『残りはそのうち、ちゃんと生えてくるから』

採取カプセルに連れられ、早期回復のために戻ってきたハルから怪我の理由を聞き『ヒドイ、ハルクン!ワタシガイルノニ!』とカグヤが言うと『もう一人の僕も体は同じだけど、カグヤの僕は僕一人だよ。分かれた僕は、今カグヤとお話している記憶はないもの。もう別人だよ』と言う。
カグヤ(ソウイウイミジャナイノニ~)
ハルクンは自分だけのものがいいカグヤだけど、皆に優しいところも含めハルクンはハルクンなんだし好き。って思っている…けど、やっぱり出来る限りやめてほしい。

別の子の元に行った方のハルはハルで『僕のことはハル2って呼んでくれたらいいかな。嫌だったら好きな名前をつけて良いからね』とか言ってどん引きされていると思う(あなたは2番目って公言されているようなものだし)

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施設から出られないカグヤの移動方法についてはこちら

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🖼️イラスト集(上記画像からリンク)


余談、ハルのスペルはharuじゃなくて、なんとなくかっこいいからって理由でhaluなんですが、意味を調べるとフィンランド語で『願望、欲望』等を差すそうです。

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