2018年川崎フロンターレ選手講評MF編

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フロンターレはMFが多いので今回はMFだけまとめます!

田坂祐介

2008年から(途中ドイツに行ったけど)クラブを支えてきたベテランで憲剛の次に古くから川崎にいる選手だが今季の目立った出場機会は主にカップ戦くらい。リーグ戦の広島戦にも途中出場していた気がするけどそれもどちらかというと「温情采配」という言葉が妥当で戦力としては微妙な立ち位置にいる。関東2部の青学からぶいぶい言わせてアタッカーとして加入したものの加齢と共にキレがなくなってきたことと、中盤、特に2列目の選手層がかなり厚くなったことでベンチすら入れていないのが現状。人気もほどほどの時代からの古株でフロンターレイズムの継承者であり、クラブのDNA,、川崎の選手がピッチ外で何をしなければいけないか、算数ドリルの撮影がいつか、ブラックバス釣りの楽しさはどこか、などを知る数少ない存在でカップ戦や憲剛、谷口ら不在時はキャプテンマークを巻くなど、憲剛につぐNo.2としてクラブを牽引している。しかし、来季も出場機会が得られないだろうことは明白である。元々は2列目の攻撃的な選手だったが幾多の風間大僧正の魔改造を経て遂にGK以外の全ポジションで出場した記録も。スピードがあるわけでもなく、クロスがうまいわけでもなく、ドリブルがうまいわけでもなく、という感じで目立ったストロングポイントはないけど全ポジションをある程度のレベルでプレーできる点を評価してあげたい。本人としては川崎で引退したいんだろうけど、どうなるかね。戦力というより、精神的支柱として残ってほしいなとは思う。
あ、ちなみに去年のモバフロプレゼント企画で田坂のサイン入りスパイクが当選したのは他でもないこの私です。今でもアクリルガラスのショーケースに入れて飾ってます。家宝にします。

森谷賢太郎

いつまでも少年の目と心を持っている髪サラサラシャレオツハッシュダグ濫用しがちボランチ。今季一番かわいそうな扱いを受けてしまったのは彼だろう。ここまでボランチとして出場してきたがクラブは昨オフにボランチの枠で湘南から下田、流経大から守田を獲得。夏前までは大島ネットのどちらかが欠けた時のファーストチョイスだったがネットが色々あって代わりに守田がレギュラーの座に。夏の市場でネットがTOYOTAへ行き、再び森谷の出場機会が増えると思われたが夏明けから下田が台頭し、遂にベンチにすら座れなくなってしまった。怪我による離脱もあったが復帰したところでレギュラーはおろかベンチに入れるかも怪しいところではある。風間大僧正の教えもあり、間で受けるのはうまいのだが、ボールを受けたところでその次の展開力とビジョンが乏しく、また、フロンターレのボランチとして不可欠なターンができずうまく前を向けないのが致命的。というか、見る限り森谷の適性ポジションはボランチではなくインサイドハーフやシャドーだと思うんだ。風間、鬼木と森谷をボランチで使ってきたけど多分彼が生きるのはそこじゃない。船山よりはシュート精度高いし、飛び出しも上手い。あと、地味にスルーが上手い。それくらい周りが見えてるってことなんだろうけど。
J1下位やJ2クラブならボランチで主軸になれるくらいの実力はあるから移籍しても文句は言えない。まあ、川崎はこのボランチのポジションのクオリティ次第でチームのクオリティも大きく変わる大事なポジションだし、若干飽和気味ではあるんだけど彼ほどの実力者がバックアップとして控えてるのは頼もしい限り。

守田英正

今季、流通経済大学から新加入した色黒大卒ルーキー。とにかく黒い。夏場なんか汗でテカリが出てカブトムシみたいだった。おそらく今季の全新加入選手のなかで最もブレイクスルーを果たした選手。シーズン前のゼロックスでいきなり途中出場してからACLやリーグ戦にも怪我で離脱するまで全試合に帯同、しまいには夏場にネットからレギュラーを奪取(他にも色々と理由はあったが)するなど大車輪の活躍をし、連覇の原動力に。個人的には今季一番の補強だったように思う。
加入前の触れ込みでは「派手なプレーはできないけれど泥臭くハードワークしてチームに貢献します」的なことを言っていたが蓋を開けて見たら、ターンで相手の矢印を外し、ダブルタッチで華麗にかわしてドリブルするなど、『いや普通にうめーじゃねえか』とフロサポをいい意味で裏切ってくれた。今季オフの市場では人気銘柄になりそうだが、川崎のボランチとしてレギュラーでやっていることはJリーグで最高のステータスだと思うから流出することはほぼないでしょう。近くにも1桁番号になりそう。

脇坂泰斗

ここまででほとんど出場機会なし。ソニー仙台戦で先発したもののフィジカルコンタクトが甘くなかなかボールに関与できず交代。長らく探してきた憲剛の後継者としてゆくゆくは14番を背負うことを期待されている。大学時代は文句なしの実績を積んできたので実力は間違いない。フィジカルや球際の部分をつけていって憲剛のそばでたくさんのことを盗んでほしい。頑張れ王子。

下田北斗

ボランチの控えとして夏場からコンスタントにベンチ入りし、札幌戦では加入初ゴールを記録。流石に甲府、湘南と渡り歩いただけあってよく走れるしサイドチェンジなどロングボールの質も高く、コーナーキック時に憲剛以外の選択肢ができたことは地味に大きい。顔はのほほんとしてるが札幌戦でゴールした時のガッツポーズはめちゃかっこよかった。ここまで自慢のミドルは得点に結びついてないがまあ、いつか決めるでしょ。ほくてぃには申し訳ないんだが普通すぎてこれといって書くことがない。ごめんな。でもチャントのホクティダンスは大好きだからこれからも長く川崎でプレーしてほしい。

田中碧

小学校時代に友達とサッカーやってる時その中に一際上手い奴がいてなんだこいつと思っていたらその後フロンターレのセレクションに受かったと聞いて納得した思い出。昔はイケメンキャラだったはずだけどトップチームに入って寝顔を散々公開させられ、天然キャラがついてしまった。ポジションはボランチだがフロンターレのボランチはレベルが高いので出場機会を得るのは大変だと思うがホームグロウン制度の恩恵を受けられるので長い目で成長を見届けてほしい。頑張れ。こいつ本当に上手いから(経験談)
追記:東京戦でフル出場してた。もっと余裕ないかと思っていたが予想以上によくやれていたなという印象。ユース時代からボランチ以後のポジションでやっていたこともあって攻守にわたってポジショニングもよく、インターセプト成功も少なくなく、中盤のフィルター役としてよく機能していた。背も177cmとボランチ陣の中では高めでフィフティの空中のボールの競り合いにも強かったのもポイント。
このレベルでできるなら来季はそこそこ出番があるだろうな。鬼木も安心して起用できると思う。頑張れ。

長谷川竜也

女性人気プレイヤー。ファン感では壁ドンしながらうどんを渡すという謎企画をやらされていたプロモ部の被害者の一人。昨季にキレのあるドリブルと決定力を見せつけブレイクしたものの今季は齋藤学の加入もあり、なかなか出場機会を得られず本人にとっては悔しいシーズンになったのでは。そもそも2列目の左サイドハーフは阿部、斎藤、ノボリ、来季には三好と激戦区なので仕方ないところもある。守備面を見れば阿部やノボリに遅れをとっているのは明らかで、やはり齋藤学というJリーグきってのドリブラーの存在感は大きく、他の選手と差をつけられていない印象。得点がほしい場面での途中出場が多いのを見れば鬼木からの攻撃面での信頼は厚いと思われるが今季はそういう難しい状況で結果を残せなかったのが痛かった。いつかの試合でトップ下で出場していた時にかなりのびのびといいプレーができていたので彼の本職はもしかしたらトップ下なのかもしれない。サイドだとどうしても手詰まりになって窮屈そうに見える時があるので前後左右のスペースを使えるトップ下でのプレーをもっと見てみたいところ。確か大学時代もポジションはトップ下だったし。能力的にいえば他のクラブ、J2なら主力クラスなので出場機会求めてレンタルとかもあるかなー。

中村憲剛

言わずと知れた川崎のバンディエラも今年で38歳。それでもなおピッチに立ち続け川崎のサッカーを表現し続け、精神的支柱としてクラブを引っ張っている。諸先輩方(G大阪の遠藤、磐田の俊輔ら)より先に引退はできないと明言してたのでまだまだ現役のつもりらしい。「今季の憲剛は過去5年で最高のパフォーマンス」「去年の憲剛より上出来」「今季の憲剛は過去最高の憲剛」「過去最高と呼ばれた去年を超えた中村憲剛史上最高のシーズン」などJリーグ界のボジョレー・ヌーヴォーとも揶揄される彼のプレーは年々進化を続けている。並外れた戦術眼と視野で相手チームの弱点や急所をを見つけそこをえぐりまくり、ホーム鹿島戦ではサイドバックとして出場した当時19歳の小田逸稀のバックパスを中村憲剛(37)がかっさらいゴールを決めトラウマを植え付けるなど大人げない性格の悪さを見せつけた。
まだまだ衰え知らずでほぼ全試合に出場しゴールやアシストでも38歳とは思えない立派な成績を残していて、全く文句はないです。
ピッチ外でも中村憲剛の指導により小林悠、大島僚太、守田英正らがA代表入りを果たした。あと何年プレーするのか、引退したら解説業をするのか、監督をするのか、まだまだあと数年先も楽しみな選手。

大島僚太

静学から高卒で加入した18歳の青年もいまや既婚者に。W杯メンバーに呼ばれるも直前でコンディションを落としてしまい出場は叶わず、悔しい思い出を残した年だった。今季も相変わらずスーパーで、ぬるぬるしたドリブルと正確無比なパス、それを可能にする広い視野を武器に川崎の10番にふさわしいプレーを披露。W杯後からは積極的にミドルを撃つなどシュートの意識が向上し、清水、神戸戦でワールドクラスの連携からフィニッシュしゴールを記録。シーズン後半は怪我でコンディションを落としたもののまだまだ成長途中。来季はさらにゴールに直結するプレーを期待したい。目指せ10G10A。

阿部浩之

昨季に比べると数字的には物足りない気もするがサイドハーフの選手の中では献身性と試合を読む力はピカイチ。シュートのバリエーションも多く両足でシュートできるのも魅力で右利きにも関わらず左足でのゴールの方が多かったらしい(それはもう左足が利き足なのでは)。特に名古屋戦では代名詞とも言われるミドルシュートを披露し、ランゲラックが守るゴールをぶち抜いたのは記憶にも新しい。優勝決定後にインスタグラムを開設し、徐々に川崎の空気に染まってきた感があり、「来季はもう一つ何か獲りましょう」と早くも残留宣言とも取れるコメントが。サイドハーフのポジション争いは熾烈だが来季も切磋琢磨して『優勝請負人』として川崎フロンターレ念願のカップ戦トロフィーと3冠3連覇をもたらしてほしい。そろそろ川崎に家を建てよう!!!

鈴木雄斗

高卒でJ2水戸に加入しJ2でブイブイ言わせてきた男が満を持してJ1デビュー。通称ラルフ。J1初出場となったアウェイ柏戦でATにJ1初ゴールとなる逆転弾を叩き込み、ラッキーボーイぶりを発揮。入団会見で「ポジションが定まってないのでとにかくハードワークして頑張ります」と語っていたがシーズンを戦っていく中で鬼木監督もラルフ自身も役割をつかんだ感がある。先発で出場するよりは182cmの恵まれた体躯を生かしたパワープレー要員として、また、サイドハーフに配置して敵の平均的に小柄な選手が多いと言われるSBにマークを当てることでロングボールに対して優位をとって起点を作るお仕事を見つけた。家長に弟子入りしたかは知らないがシーズン途中からボールキープがかなり上手くなっていて、自分の身体をようやく武器として使えるようになった印象。繊細なタッチやプレーをする選手が多い川崎の選手の中でもとりわけプレーがダイナミックで清々しさすら覚えるが、雑とも言えるプレーがたまにあるのがキズ。先発で出れないいまの現状をどう捉えているかわからないが彼の仕事は彼にしかできないオンリーワンな役割でベンチにいてくれると戦術のオプションが増えるのでこれからも川崎でダイナミックなプレーを見せてほしい。

家長昭博

今季のJリーグMVP級の功労者。風間八宏が就任した時から獲得を熱望していたもののなかなか条件が折り合わず、そうこうしているうちにリーグ戦でも優勝争いを演じるものの2位。そんな哀れなシルバーコレクターに同情してくれたかは知らないが獲得してから昨季、今季と2連覇達成。やはり彼がラストピースだったかと確信させられた。プレーのクオリティや身体の強さはガンバ時代や大宮時代を見て知っていたが、天才と言われるほどの選手がハードワークして味方を使えるようになるとこんなにも恐ろしいものかと。とにかくすごかった。本当にすごいとしか言えないプレーばかりでした。この連覇は家長のおかげです本当。圧巻のプレーだったので取り立てて言うことは何もないです。ごめんなさい。いつ移籍するかだけど、昔から傭兵タイプであまりクラブに愛着を持つようなタイプではないし、いまこうして優勝クラブで結果を出してるのででていくことはないでしょうな。飽きたらまたどこか移籍するでしょう。

齋藤学

元横浜の10番は靭帯断裂の治療をしながら川崎に入団。横浜FM戦で予定より早く復帰するもなかなか調子は上がらず「ハマのメッシ」とは程遠いパフォーマンスだったがシーズン後半には徐々に頭角を現し、コンスタントにベンチ入りし始め天皇杯の湘南戦で移籍後初ゴール、ホーム神戸戦でリーグ初ゴールを記録。横浜時代から変わらずシュートがアレなタイプだが繋ぎやパスセンスは悪くなく、ランニングも上手い選手。神戸戦では鮮やかなスラロームを披露するなど、調子が上がってきているのは確かなので来季にも実力を見せつけてほしい。楽しみな選手。

カイオセザール

夏に完全移籍で加入するも出場どころかベンチ入りすら無し。このままでは横浜のカイオのようにただ日本観光に来たインスタグラマーどまりである。頑張って試合に絡んでくれ。
夏のシーズン途中の加入だったし、フロントもここまでは想定内だと思う。おそらく来季に標準を合わせての獲得だと思うので来季に期待。
サーティワン、美味しいよね。

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