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【レポート】信州アーツ・クライメート・キャンプ〈会議〉第2回「アート×気候危機 ~不可能かもしれないビジョン~」

10月1日、上田市の上田映劇にて、第一部:ドキュメンタリー映画『グレート・グリーン・ウォール』の上映と、アフリカンダンス・パフォーマンス、第二部:長野県在住のアーティストをスピーカーとして、映画の感想をシェアし、自身のアート活動と「気候変動」についてどのように接点をもうけてくのかのディスカッションが行われました。

 映画『グレート・グリーン・ウォール』は、気候変動を食い止めるための植林を行うプロジェクト「グレート・グリーン・ウォール」(緑の長城)を推進するため、マリ出身のミュージシャン、インナ・モジャがアフリカ横断の旅に出るところから始まります。彼女は、自身の音楽や仲間のミュージシャンとのコラボ活動を通して、各地で出会う人々の体験や想いを知り、時に打ちのめされ、それでも決意を新たにしながら、「不可能かもしれない」この壮大な計画について、あきらめることなく、歌と言葉を世界に発信し続けていきます。 

第二部の開始前には、上田市を中心に活動されている「サブニュマ」の皆さんによるアフリカンダンスパフォーマンスが披露されました。▼

アフリカンダンスサークル「サブニュマ」の皆さんによるパフォーマンス

「リーダー」である竹内さん(たけちゃん)が会場に手拍子を促し、軽快だけど迫力のある太鼓の力強い音をバックに、裸足で我を忘れて踊るダンサーの熱気で、会場は一気に「アフリカン」な雰囲気に!圧巻のパフォーマンスに会場も盛り上がりました!「アフリカは文字がないところもあるから、音やダンスで対話をするんです。」とのこと。「対話すること」を繰り返し言われていたたけちゃんと、ダンサーとの躍動感あふれる即興的なコラボは、まさに身体と音の「対話」でした。 

第二部は、モデレーターに、藤川まゆみさん(NPO法人上田市民エネルギー理事長)と、ロジャー・マクドナルドさん(インディペンデント・キュレーター)、スピーカーには、白井ゆみ枝さん(画家・アーティスト)、佐藤公哉さん(音楽家・作曲家)、竹内利彦さん(サブニュマ)を迎え、「アートと気候変動」をテーマにディスカッションが行われました。 

スピーカーの佐藤公哉さん(左上)、竹内利彦さん(中央上)白井ゆみ枝さん(右上)、および、モデレーターの藤川まゆみさん(左下)、ロジャー・マクドナルドさん(中央下)

ディスカッションでは、映画を観て、それぞれの感想を元に、自身のアート活動と気候変動の関わり、これからはどのように「課題」と向き合えるのかについて話がされました。アーティストが作品を通して「態度」を表明すること、課題を共有する責任、地球という同じところにいるという責任。それらは、「証人」であり、「目撃者」であるという自覚をもって活動を続けていくことであり、アーティストの創作活動に、「環境問題」をテーマとすることがデフォルトになりつつあることも踏まえ、気候変動を肌で感じてはいるが、「アート活動には喜びをもち、やはり希望をもち続けていたい。」との言葉には、アーティストとしての誇りを感じました。 近くの人と何をしたいか、わずかでも自分で動いていくこと。 白井さんの「普段の日常から、気候や環境の課題を意識する態度も必要。そういうものが、結果として作品に出てくると思うから。」というコメントは、「できることから」を続けていくことで、一見、不可能で壮大だと思われるものでも、映画のなかで、「バタフライ効果ね。」と、インナがつぶやいたように、小さな「効果」が立ち上がってくることを期待しつつ、自身を見直すきっかけになりました。

(文:菅田真理子)


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