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リュックの中身

路を歩いていた
果てしなく 長い道のりを

隣も 前も 後ろも
たくさんの
ひと 人 ひと・・・

すると皆
リュックを背負っていた。

私は 隣の人に聞いてみた
「なぜ リュックを 皆 背負っているのですか?」

彼は笑みを浮かべて答えた
「あなただって 背負っているじゃあありませんか。」

私は驚いて後ろに手をやった

確かに リュックだ
いつの間に?

「生まれた時からですよ」
彼は続けた。
「生まれてすぐ 小さいリュックが与えられて
この路を歩くようになる。
でもしばらくは
そのリュックの中身の多くを 親がもってあげるのです。
中身は その人によって様々です。
同じではありませんが 歩けないほどではありません。
ただ歩く仕方や早さは同じではありません。」

とても苦しそうな顔をしている人がいた。
ずいぶん重そうなリュックだ
汗だくで辛そうだし、
時々 休んでいる

その人に 後から急いで来た人がぶつかった!
「おい!なにしてんだよ!
休みたいのは皆同じなんだよ!
皆同じようなリュックを背負ってる!
自分だけ辛そうな顔してんじゃないよ!

リュックの中身は
健康状態 年齢 置かれている状況
そして経験つまり
置いている状況

同じようなリュックでも
決して『同じ』リュックではない

『あの人に』ぶつかりそうだから
そう思って早く歩くより
『自分の』リュックの中身の重さや形に合わせ
歩く速さと
歩き方を決めれば良い

ぶつかったらぶつかったで
仕方が無いじゃないか
そう それも・・・
出来る範囲で。

人はおのおの自分の荷(リュック)を負う
約束や かけがえのない心さえも


独学の画家 香本博(コウモトヒロシ)です。北海道から沖縄まで約130回の個展を開催してきました。より多くの方に見て知っていただけるよう、絵本出版なども考えています。応援よろしくお願いします。