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アメリカの美術系大学の単位と成績評価ってどうなってるの?

一般的にアメリカの大学と言えば、

・成績Aを取るのがめちゃくちゃ大変
・授業中にガンガン発言しないとダメ
・課題図書が多すぎて土日もずっと読書

みたいなイメージが先行しているかもしれません。


確かにアイビー・リーグだったら本当にそうかもしれないけれど、じゃあアメリカの美大だったらどうなのか。


ということで今回は、ぼくがアメリカで留学しているカリフォルニア芸術大学(通称カルアーツ)の実情について、単位や成績評価に関することを中心にまとめてみようと思います。


毎学期、必要な単位数が決まっている!

カルアーツは2学期制で、学部の留学生は学期毎に最低12単位を履修する必要があります。でないと学生ビザが維持できません。


何が何でも12単位は死守せねばならない。しかも『あなたは12単位に足りていないので、あと2つ授業を履修して!』みたいな感じで大学がアラートを出してくれることは皆無なので、完全に自己責任で気を付けて管理する必要があります。


ぼくも自分の履修データを見ながら何回も単位を数えています。留学生は12単位以下だと履修登録完了できないようにシステムで管理してくれれば良いのに、何もしてくれません。


宿題があるクラスは2~3単位、無いクラスは1.5単位がもらえます。なので最低12単位となると、週に4〜6つの授業があるスケジュール感ですね。ちなみに授業のコマ割は以下の通り。


授業のコマ割
1限:9:00~11:50

お昼休み

2限:13:00~15:50

3限:16:00~18:50

4限:19:00~21:50


余談ですが、単位の総取得数によって学年が決まる大学もあります。アートセンターなどがそう。


インターンも単位になる

学生ビザをキープするために学期毎に最低12単位を履修する必要があるということは、1年生から4年生まで同じペースで授業に出続けるということです。


『え、それじゃあ学外でインターンとかできないの?』


できます!インターンは学校に申請すれば単位として認定されるので、留学生もビザキープをしながら学期中にインターンをすることができます。認められる単位数は週あたりの勤務時間によって変わりますが、概算ですし申告ベースなのでよほど狂った勤務時間を申告しない限りは問題なく承認されます。


授業のお試し期間があるので、気になる授業はとりあえず履修する!

アメリカの大学だと履修登録期間の後にadd/drop期間というものが設定されています。大学にもよりますが、カルアーツだと最初の授業から約2週間は履修の追加・削除をすることが可能です。


少しスケジュールに余裕があるから授業を追加したり、逆に思っていたよりも大変そうだから授業を減らしたりして、この期間で各自調整をします。


ただし、授業にも定員があり、人気の授業は大体定員オーバーになっているのでadd/drop期間に追加することはできません。絶対に履修したい授業は履修登録期間に申込むことが大切です。少しでも気になる授業はとりあえず履修しておいて、一回授業に出てからどうするか考える、というのがオススメ。


授業を追加するには、とりあえず授業に出席し、先生に頼んで所定の書類にサインをしてもらい、それを大学に提出することで完了します。かなりアナログな方法。この期間はみんな書類を片手に廊下を歩いています。授業の削除は簡単で、オンラインで申請するだけです。


GPAを高く保つために有効な、履修解除という方法

GPA (Grade Point Average)とは、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値のこと、あるいはその成績評価方式のことをいう。米国の大学や高校などで一般的に使われており、留学の際など学力を測る指標となる。日本においても、成績評価指標として導入する大学が増えてきている。ウィキペディア(Wikipedia)より

少しでも多くの奨学金をもらいたい留学生にとって、GPAを高く保つ事は何にも増して重要な項目です。


しかし、

『思っていたより難しくて単位が取れそうにない…』

『期待していた授業内容と違ったので、もうやる気がない』

という事態に陥り、単位取得が危うくなることも。


単位を落とすとGPAに影響してしまう…。そんな時に便利なのがLate withdrawという対応。


これは上記のadd/drop期間の終了後でも履修を解除できるというもの。成績表にはWと記載されますが、GPAには一切影響せずに履修を解除することができます。勇気ある撤退は身を救う。


ただし、12単位を下回らないように注意が必要です。ちなみにadd/drop期間でキャンセルした授業はレコードには一切記録が残りません。


履修登録期間→add/drop期間→Late withdraw期間→以降は履修の変更不可

というのが全体の簡単な流れです。


課題は制作物の提出のみ。課題図書もエッセイもない

アメリカの大学生は寝ても冷めても課題に追われている、というイメージがあるかもしれません。カルアーツも当然そうなのですが、キャラクターアニメーション学科の課題は制作のみで、課題図書やエッセイの宿題が出されることはほとんどありません。


基本的にはラボでひたすら絵を描いたりアニメーションを作ったりキャラクターデザインをしたりMayaをいじったり、というのがデフォルトです。


もちろん一般教養科目だと、授業によっては課題図書やエッセイはあります。ちなみにぼくは、これまでのアメリカ留学3年間で英語の本をちゃんと読み切ったことが一度もありません。恥ずかしいです。


単位の評価の仕方

HP:High Pass

P :Pass

LP:Low Pass

NC:No Credit

W:Late Withdraw(GPAには影響しません)

カルアーツの単位の評価は上記の通り。NCとWは単位がもらえません。欠席は3回まで可能、4回以上で無条件でNCとなってしまいます。


カルアーツの場合は、宿題をそれなりに提出して欠席が3回以内であれば、まず単位はもらえます。授業内の発言頻度は全く関係ありません。黙っててもHPを量産できます。課題の提出を少し怠ってもHPを量産できます。


普通の大学だと100%出席しないとAはもらえないかもしれないですけど、美大のカルアーツはやっぱりちょっと違って、『欠席は3回まであるから賢く使いなさい。必要なときは授業を休んで休憩してね』と先生が言うほど。校風でしょうか。


まとめ

今回は、アメリカの美大の単位や成績評価に関してまとめてみました。留学生活のイメージが湧いたでしょうか。


単位を落としてしまわないように、スケジュールが忙しすぎないか、今履修している授業は全てパスできそうか、難しすぎてついていけてない授業はないか、などを確認しながら生活することが大切です。


引き続きアメリカ美大留学に関する情報をまとめていきます。ではまた!



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