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【開催記録】第58回アート対話カフェ 2024.02.19

6名の参加者の皆さんと共に鑑賞しました。

今回は、写真作品と思わせ、実は画像にある東日本大震災後に創られた「偽バス停」が作品だということを徐々に明かし、参加者と一緒に作品から震災について話し合いました。最後はこの作品の作家である美術作家の佐竹真紀子さんにも参加していただき、作品が創られた背景や想いなどをお話しいただきました。


そして、今回見て頂いた作品はこちらです。

佐竹真紀子「偽バス停」ー養魚場前 作品1


佐竹真紀子「偽バス停」ー深沼 作品2



参加者の発言

作品1
・養魚場前とあるので地域の過疎地というか自分たちで回っているところのランドマークというか設置をしているところ。
作業をしているところかなと思った。

・不思議な所はバス停は普通は埋めないと思うが埋めているのかな?赤白の棒は測量とかに使うと思うが何故埋めているのかと。
あと後ろの山が砂っぽい気がします。自然な山ではなくどこからか持ってきたものを積んだような。

・妄想として被災地だとしたら分からないなりに…震災で養魚場だった場所が今は育てられないとか。例えば。なにかどこかを埋め立てたか人が介入した場所。かつて養魚していたとしたら意図的にこれを設置する理由があるのか?といったことを思いました。

<ここは被災地です>
作品2
・実際にバスが走っているわけではなくバス停だけが色んな箇所におかれているのでしょうか?もしかして。この前にバスが停まるような道の状況ではないし、ここにバスが停まることが想像しづらいシチュエーション。
人が歩いてそこをめぐっていく意味があるのかもしれないが…

・バス乗り場の中に仙台市交通局とあるけど、たぶん偽のバス停なんだろうな…本当のバスが通れなくなった場所に偽と書いたバス停を置いて
バス停を復活させているということ。昔の往来とかをバス停のシンボルでつないでいるのでは?

偽の字を発見していたきました。かつてのバス停の場所では?とみていただきました。そうなんです。
「偽バス停」という作品のタイトルになります。作者がなぜこの作品を置いたのか感じたことがあればきかせてください

・なんかちょっと違和感があるんだけど、ここまで海の水がきたと養魚場、深沼と注意を促しているのかと…。

・それぞれもしかして複数の人が設置していってなんらかの意味、そこを通りそれを見れば何らかのメッセージをよみとれるようなもの、
そういうものがあるのかなと思いました。

<ファシリテーターから1>
こちらの作品「偽バス停」というタイトルで何か所かに置いています。災害に対する警告や人の想いを感じて頂けたかなと思います。
人の想いだったり過去にここにバス停があるんじゃないかなと思ったり。そういったところに繋がったのかなと思います。

<作品を制作した美術作家・佐竹真紀子さんから>
 興味深く驚きながら聴かせていただきました。ここからはこの作品の不思議や怪しさについてお話してみます。
 場所の話からすると作品2の深沼と書いているところは砂地、海のすぐ近くにあった場所で荒浜という名前の地域です。まちごと津波で流れてしまったあとで家を再建してはいけないというルールできた町。住まないけれど色々と人々が勝手に何かを作って居場所を作っている地域です。
 なぜバス停を作ったのか…
 私はこの地域にゆかりがある人間でありませんでしたが、何度かこの地に通っているうちに~住民の方が建てた~黄色いハンカチを立てたり住めないけれど人々が痕跡をのこしている町。ということを感じました。しかしバスは終点までいかない状態。「私ここにきたよ。」というサインみたいなものを残したいのがきっかけでした。許可を取るのは大変なので勝手にバス停をつくって置きましたが、何で置いたの?と周りの人からは怒られない。軽やかな…住めなくなってもこの場所が好き、この土地から離れられない人達、誰かが来るのを…新しい何かがくるのを待っているような感じが人々の中にあってバス停って、そういうのんびりとした「待ち」というのと合うような…そんな思いも感じ、19本も立ててしまいました(笑)。災害のあったまちには行って良いのかな?と思ったりするけど町の人達は結構たわいもないようでかけがえのない話をしていてそういう常観も教えてもらうような感じでした。いよいよ「このバス停変だぞ」と思い始めた人達と仙台市営バスを貸し切ってまわるイベントを一度することになりました。偽のバス停が一日だけ本物のバス停になったことがあります。ひとりでバス停を立てていたらプロジェクトみたいになっていった…そんな感じです。
 いろんな人たちの手や気持ちが合わさってできていった。最初は個人的に始めた偽バス停なのですが、最終的にはまちの人達を含めて、皆さんとで表現できたプロジェクトになったと思っています。

<ファシリテーターから2>
地域の方やそれ以外の方を巻き込んでアート作品となっていった。
みんなで思いをはせるという…人と人とが繋がるといったことが見えてきたことが良かったと思います。
これを機にこちらの作品から災害に想いをはせていただけたらと今日はこの作品を選ばせていただきました。

美術作家・佐竹真紀子さんの作品「偽バス停」
ちなみに現在、作品を見ることはできません。撤去されたから…です。
所蔵先のない、作品でした。

最後に

皆さんも1日の終わりに、対話型鑑賞会に参加してみませんか?
ご参加お待ちしております!

次回イベントはこちらから!

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