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短編集「錦上添花」(無料版)

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大好きな植物をお題に、my一次創作で短編を書き始めました。だいたい1000-3000字です。
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#短編小説

44.カスミソウ

砂漠の王国ロブリーズは魔法と“商会《ユニオン》”と待合喫茶《パブ》で動いている。人々は何…

4.アニスヒソップ

帝国メガロポリスは“極寒たる”という枕言葉がよく用いられるだけあって、寒い。 寒いのだが…

3.スイートピー

さて、此の世は三千世界。 其処には二つの国があった。 砂漠の王国ロブリーズと、極寒の帝国メ…

2.ペンタス

どうしてそんな話になったのか分からないけど、こんな事もあるんだなぁ…と思った事がある。 …

1.モンステラ

ここ三千世界の陸(おか)には、北に帝国メガロポリス、南に王国ロブリーズという国が残ってい…

43.ミツバ

■特別管理プロトコル 対象はサーモグラフィーやレーダーで探知可能。“防衛線”は対象の現在…

21.カリン

 寒さが身に滲む紅葉の頃、都市近郊の庭で異様に大きな実が目立ってくる。柑橘と同じ黄色だが手触りはさらさらで、そして何よりも硬い。頭上から落ちてきた日には死者が出るかもしれない… アナスタシアのマナは、つい1時間前に落ちてきた大ダメージ!の元凶を持ってみて思った。植物の事、自分は全く疎いが、煙の貴人なら知っているだろうと予想して。 「あな見事なカリンだスなぁ。」 煙の貴人――諸事情によりマナはそう呼ぶ事にした――はサングラス越しでも分かる笑みを零して言った。 「お嬢さんの素振り